皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
「インプラント治療後に頭痛がする」「インプラント治療後に頭痛がする場合はどうしたらいい?」など、インプラント治療後の頭痛に悩まされる方もいるでしょう。インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で、頭痛がすることがあります。
今回は、インプラント治療後の頭痛の原因や対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
インプラント治療後に頭痛がする原因
インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛が起きる場合があります。インプラント治療後に頭痛がする原因は、以下のとおりです。
噛み合わせに問題がある
インプラント治療では骨格などを考慮して噛み合わせを調整しますが、インプラント治療後に噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪いと顎の周りの筋肉が緊張し、頭痛を引き起こすでしょう。
顎の関節にも負担がかかるため、顎の痛みや開口障害などの症状が現れる顎関節症を発症する可能性もあります。噛み合わせが悪くなる原因は、以下のとおりです。
インプラントのぐらつき
インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジが緩むと、人工歯がぐらつきます。インプラントにぐらつきがあると、歯並びや噛み合わせが悪くなって頭痛を引き起こすのです。
アバットメントのネジが緩む原因は、強い力がかかったことによる金属疲労や、上部構造(人工歯)に不具合があること、歯がすり減ったことなどが挙げられます。顎関節がずれたことや、インプラント周囲炎の影響で骨吸収が進んだことも、アバットメントのネジが緩む原因になるでしょう。
人工歯のすり減り
インプラントを長期間使用すると、人工歯がすり減ることがあります。人工歯がすり減ると、噛み合わせが悪くなるでしょう。特に食いしばりや歯ぎしりの癖がある方はインプラントに強い力がかかるため、人工歯がすり減りやすいです。
上顎洞炎になっている
インプラント治療では、上顎洞という部位に炎症が起きることがあります。上顎洞とは、鼻の周りにある副鼻腔という空洞のうち、頬の内側にある空洞です。
上顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む際に、上顎洞内にインプラント体が迷入したことや、インプラント体が上顎洞を穿通したことなどが原因となります。
上顎洞では頭痛のほかに、鼻づまりや発熱などの症状が現れるのが一般的です。鼻から膿が出る、鼻の奥に違和感を覚える、目がだるい・重いなどの症状を訴える方もいます。
インプラント周囲炎になっている
インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの組織が細菌感染による炎症を起こしている状態です。重度のインプラント周囲炎では、顎の骨が溶けてインプラント体が不安定になり、噛み合わせに悪影響を及ぼします。
インプラント周囲炎は、口内のケア不足、歯科医院でのメンテナンス不足などが原因になることが多いです。進行すると歯がグラグラと動揺し、最悪の場合抜け落ちるため早期治療が大切です。
初期の段階では自覚症状がありませんが、進行すると歯茎の赤み、腫れの症状が現れ、歯茎から出血する場合もあります。歯茎から膿が出る、歯茎が痩せる、噛み合わせが合わなくなるなどの症状が現れる方も多いです。
インプラントを入れたところが痛む、インプラントが動揺しているなどの症状がある場合は、インプラント周囲炎が進行している可能性があるので、歯科医院を受診してください。
インプラント治療後に頭痛がする場合の対処法
インプラント治療後に頭痛がする場合は、原因に合わせて対処する必要があります。頭痛がする場合の対処法は、以下のとおりです。
噛み合わせを調整する
インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジに緩みがある場合は、上部構造を外してネジを締め直し、噛み合わせを改善します。ネジの緩みは、レントゲンで容易に診断可能です。
人工歯のすり減りが噛み合わせに影響している場合インプラント体の調整は必要ありませんが、上部構造のみ交換します。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯や顎への負担を軽減するためにマウスピースの装着が必要になる場合もあるでしょう。
上顎洞炎を治療する
上顎洞炎を放置すると炎症が広がり、中耳炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。上顎洞炎が疑われる場合は、すぐに歯科医院を受診し早期治療を行うことが大切です。
インプラント治療後に上顎洞炎になった場合は、以下の治療を行います。
薬物療法
抗菌薬・鎮痛薬を服用して炎症や痛みを抑える治療です。上顎洞炎が慢性化すると、長期にわたる服用が必要になるでしょう。
歯科治療
薬物療法と併せて、感染源を除去する治療を行います。上顎洞内にインプラント体が入り込んでいる場合は、インプラント体の摘出が必要です。
上顎洞洗浄療法
内服治療で炎症が改善しない場合は、耳鼻科で上顎洞洗浄療法という治療を行います。上顎洞内に針を刺し、生理食塩水と抗生剤で上顎洞を洗浄する治療法です。
外科的治療
内服治療や上顎洞洗浄で炎症が改善しない場合、外科手術を行います。行われる外科手術の方法は、以下のとおりです。
- 上顎洞根治手術
歯肉を切開して骨に穴をあけ、炎症が起きている上顎洞の粘膜を除去する「Caldwell-Luc法(コールドウェル-ラック法)」と、骨を広範囲に削る「Denker法(デンカー法)」があります。
- 内視鏡下鼻内手術
副鼻腔の開口部を広げて炎症による閉塞を解除し、換気・排泄を促して炎症を改善する治療です。内視鏡鼻内手術では、上顎洞に迷入したインプラント体を摘出することもできます。
インプラント周囲炎を治療する
インプラントの脱落を防ぐためには、インプラント周囲炎の早期治療が大切です。インプラント周囲炎の治療は、非外科的療法と外科的療法の2つに分けられます。
非外科的療法
非外科的治療では、インプラント周囲の炎症を抑えるために行われる治療です。主に行われる内容は、以下のとおりです。
- 周囲の歯石除去
- 歯周ポケット内の洗浄と薬剤の注入
- 抗生物質の投与
- ブラッシング指導
- 生活指導
喫煙やストレスの蓄積は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。生活習慣を改善するために、指導を行うことがあるでしょう。
インプラント周囲炎の予防・改善には、毎日の口腔ケアが非常に重要です。正しいブラッシング方法を身に付け、口腔ケアの質を高めましょう。定期的に歯科医院を受診して、歯をクリーニングしてもらうことも重要です。
外科的治療
インプラント周囲炎が進行して歯槽骨の吸収が進んでいる場合は、外科的治療を行います。
歯茎を切開してインプラント体の表面を清掃・殺菌するのが一般的です。感染した組織を取り除く場合や、インプラントを除去する場合もあります。
骨の再生が必要なケースでは、自分の骨や人工骨を用いて骨移植を行うでしょう。骨形成を妨げる繊維芽細胞が入り込まないよう、メンブレンという人工膜で覆って歯槽骨の再生を待ちます。
まとめ
インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛がすることがあります。
原因の一つであるインプラント周囲炎は予防できるため、毎日の口腔ケアを徹底しましょう。歯科医院で定期的にメンテナンス・クリーニングを受けることも重要です。
頭痛の原因によっては、インプラントの除去や外科手術が必要になる可能性もあります。早期に原因を把握し、治療を行うことが大切です。インプラント治療後に頭痛などの症状がある方は、歯科医院を受診して原因を把握し対処法を相談しましょう。
インプラント治療後の頭痛にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!