皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込んで失った歯を再建する方法です。ご自身の歯のような噛み心地を得られる素晴らしい治療だとわかっていても「痛くないのかな?」「麻酔はどんなものを使用するの?」など、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
今回は、インプラント手術で使用する麻酔について解説します。
目次
インプラントの手術では麻酔を使用する?
インプラントの手術に麻酔は必須です。インプラント治療には、歯茎を切開し人工歯根を顎の骨に埋め込む工程があります。
麻酔には、痛みを和らげる効果のほかに、血管を収縮させ出血を抑制するという重要な役割があります。そのため、切開を伴う手術を行う場合は麻酔が必要です。
麻酔にはいくつかの種類があるので、ご自身に合った方法を歯科医師と相談して選択しましょう。
インプラントの手術で使用する麻酔の種類
インプラントの手術で使用する麻酔は、大きくわけて2種類あります。局所麻酔と静脈内鎮静法です。
補助的な麻酔として、ガス麻酔と表面麻酔があります。どの組み合わせで使用するのかは、歯科医院によって異なります。
保険適用外となる静脈内鎮静法は、歯科医院によって費用が異なるのが一般的です。インプラント手術前は歯科医師や歯科衛生士とコミュニケーションをとり、工程や費用、実施している麻酔方法などをしっかりと確認するとよいでしょう。
それぞれの麻酔の種類について、詳しく解説します。
局所麻酔
インプラント手術では、局所麻酔という注射器で患部に注入する麻酔術を行います。薬液で用いられるのは、キシロカインが一般的です。
キシロカインには、痛みを制御する働きとともに、血管を収縮させて出血を抑える作用があります。そのため、持病をお持ちの方には適さないこともあります。
高血圧などの持病をお持ちの方には、身体への負担が考慮された配合率の異なる薬液も使用可能です。持病をお持ちの方は、歯科医師に相談しましょう。
局所麻酔のメリットは、以下のとおりです。
- 処置をする部分だけに限定して行うので負担が少ない
- 保険内で治療できるため麻酔代がかからない
- 比較的短い時間で通常の生活に戻れる
局所麻酔のデメリットは、以下のとおりです。
- 意識がはっきりしているので手術への恐怖を感じやすい
- 高血圧など持病がある場合は使用制限がある
静脈内鎮静法
治療に対する不安感が強い方には、静脈内鎮静法を用いることがあります。麻酔薬を静脈に投与することで、意識が朦朧として恐怖を感じづらくなる効果が期待できます。
静脈内鎮静法には手術の痛みを抑える効果はありません。そのため、注射器を用いた局所麻酔と併用して行うのが一般的です。
手術の恐怖が和らぐのであれば追加費用がかかってもよいという方は、検討するとよいでしょう。
静脈内鎮静法のメリットは、以下のとおりです。
- 意識が朦朧とするため恐怖を感じづらい
- 医師と会話できる
静脈内鎮静法のデメリットは、以下のとおりです。
- 注射による麻酔と併用する必要がある
- 手術当日は車の運転を控え安静にする必要がある
- 保険適用外の処置なので100,000円ほどの追加費用が必要になる
ガス麻酔
ガスを吸入して不安感を軽減する方法があります。笑気ガスと呼ばれ、歯科医院で用いられることが多いガスです。
ボンベに入ったガスを吸引することで効果を発揮します。注射による麻酔の前段階で用いられることが多いでしょう。
ガス麻酔のメリットは、以下のとおりです。
- 注射針や手術の恐怖を緩和できる
- 点滴のように針を刺さなくてもよい
ガス麻酔のデメリットは、以下のとおりです。
- 実施していない歯科医院がある
- 笑気麻酔だけでは、痛みや出血を抑制する効果を得られない
表面麻酔
歯茎に注射針を刺すときのチクリとした痛みが苦手な方もいらっしゃるでしょう。キシロカインという麻酔薬が含有されたゼリーを、あらかじめ歯茎に塗布する方法があります。
緩やかに感覚が麻痺するので、ジェルの処理をせずに針を刺したときに比べると痛みを感じづらくなります。
表面麻酔のメリットは、以下のとおりです。
- 注射針のチクッとした痛みを軽減できる
表面麻酔のデメリットは、以下のとおりです。
- 薬液が浸透して効果が出るまで時間がかかる
インプラントの手術で使用する麻酔は安全?
インプラントの手術で使用する麻酔は、基本的には安全といってよいでしょう。持病やアレルギーをお持ちの方は、注意が必要です。
持病
高血圧などの持病をお持ちの方は、使用する麻酔に注意してください。麻酔薬には、痛みを緩和する役割のほか、出血を抑制するための血管収縮剤が配合されています。
歯科医院で麻酔をした際に、動悸がしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。治療に対する緊張感だけではなく、薬が身体を巡ったことによる症状です。
麻酔薬は、十分に効果が出るよう薬剤濃度が調整されています。高血圧の方に対して通常の方と同様の麻酔薬を使用すると、動悸などの症状が強く出る恐れがあります。濃度を変更した麻酔薬を使用する必要があるでしょう。
お薬手帳を持参するなど、事前に持病についてしっかりと歯科医師と共有してください。
また、飲食直後は血糖値が上昇します。手術直前の飲食は避けてください。術前の食事は、治療の数時間前に終わらせましょう。
アレルギー
手術の際は、さまざまな薬液を使用します。そのため、術前に歯科医師と薬剤のアレルギーについて共有することが重要です。
消毒薬として代表的なアルコールは、器具の衛生保持に使うことが多いです。ヨード系の薬材を使用することもあるでしょう。
麻酔の安全性が確保されていても、アレルギーがある薬剤で器具が消毒されている危険性があります。思わぬところで医療事故にあわないよう、事前にしっかりと情報を共有しましょう。
インプラントの手術後の麻酔の効果はどれくらいで切れる?
歯科用の麻酔は、1時間半〜2時間ほどで切れるとされています。
ただし、麻酔の効果には個人差があります。麻酔の効果が切れづらい体質の方もいらっしゃるでしょう。飲酒する習慣をお持ちでない方は、効果が切れづらい傾向にあります。
麻酔が効いている間は、口腔内の感覚が鈍化します。無理に飲食しようとすると、口腔内の粘膜を誤って噛む、熱さがわからず火傷するなど、怪我をする可能性があるでしょう。
手術の数時間前に消化のよい食材で食事し、治療後はしばらく飲食しなくてもよい状態に整えてから手術にのぞんでください。
麻酔が切れて痛みがあるときの対処法
麻酔が切れると、傷口が痛みます。インプラント手術では、顎の骨に穴をあけるので強く痛むこともあるでしょう。
麻酔が切れて痛みがあるときの対処法は、以下のとおりです。
痛み止めを飲む
多くの場合、術後は抗生剤と痛み止めが処方されます。特に、抗生剤は患部の治癒のために重要です。処方された内服薬は指示どおりに飲んでください。
インプラント手術後の痛みは、基本的に痛み止めの服用でコントロールできます。術後2〜3日でピークを迎え、徐々に落ち着きます。
痛み止めを飲んでも痛みが落ち着かない場合は、何らかの問題が起きているかもしれません。歯科医院を受診して相談してください。
また、痛みが強いからと、市販薬を併用するのは危険です。容量や用法を守り、処方薬を服用しましょう。
アイシングする
痛みや火照りがある場合は、アイシングが有効です。
ただし、冷やしすぎることは避けてください。血流が悪化し、自然治癒を遅らせることがあります。
保冷剤を直接頬に当てる、氷を口内に入れるなど、冷やしすぎないようにしましょう。額に貼って使用する冷却ジェルは、アイシングに使いやすいです。
ツボを押す
痛みを緩和するツボがあります。代表的なのは、手の親指と人差し指の間にある「合谷(ごうこく)」というツボです。
ツボの押し方は、以下のとおりです。
- 手の甲が見えるように左手を開く
- 右手の親指を左手の親指と人差し指の間に乗せる
- 右手の親指以外の4本の指は、左手の手のひらに当てる
- 右手の親指でツボを数秒間押す
- 数秒力を入れたら休憩し、再び力を加える
- ツボを押して休憩する、を繰り返す
左手のツボを押す場合の方法をご紹介しました。右手のツボを押す場合は、左右の手を入れ替えてください。
医療機関に相談する
セルフケアでは対処できないほどの痛みが続く場合は、医療機関に相談しましょう。口腔内の状況確認のほか、処方薬を変更する、消毒をするなど、適切に対応してもらえます。
痛みが長く続く場合や、痛みが悪化する場合は、何らかの問題が起きている可能性があります。異常を感じたら、遠慮せずに受診してください。
まとめ
インプラントの手術には麻酔が必須です。麻酔が初めての方は緊張するかもしれません。
インプラント治療をする歯科医院には、さまざまな麻酔薬や麻酔方法が用意されています。術前に歯科医師とよく相談することで、より安全で安心な治療を受けられるでしょう。
積極的にコミュニケーションをとり、前向きに治療を受けてください。
インプラントの手術にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!