皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
ザイゴマインプラントは、上顎の骨が薄い患者さまに対して、歯のインプラント治療を可能にする先進的な手法です。従来のインプラント治療が困難だった方でも、ザイゴマインプラントなら可能なケースがあるのです。
この記事では、ザイゴマインプラントの治療費用や治療の流れ、メリットについて詳しく解説します。
目次
ザイゴマインプラントとは?
ザイゴマインプラントは、頬骨(zygomatic bone)を利用したインプラント治療法です。一般的にインプラントは顎の骨に埋め込まれますが、ザイゴマインプラントの場合は頬骨に埋め込みます。
頬骨は顎の骨と比較して吸収されにくく、非常に硬い特性を持っています。そのため、インプラントをしっかりと安定させやすいのです。顎の骨量が不足しているなど、従来のインプラント治療が難しいとされていた方でも、治療を受けられる可能性があります。
ザイゴマインプラントとオールオン4の違い
ザイゴマインプラントは、複数もしくはすべての歯が欠損しており、上顎の骨が十分にない場合に行われる治療です。オールオン4も複数もしくは全ての歯の欠損を補う治療法なので、何が違うのか疑問に思う方も多いでしょう。
オールオン4は、顎の骨が比較的健康な部分に限定して最小4本のインプラントを設置し、片顎全体の機能を回復させる方法です。骨移植を行わずにインプラント治療を可能にしますが、顎の骨に健康な部分がない場合、対応できないでしょう。
ザイゴマインプラントは、顎の骨量が極端に少ない場合でも可能な治療法です。顎の骨ではなく、吸収されにくく硬い頬骨にインプラントを設置するためです。
ただし、下顎の場合は頬骨にインプラントを設置できないので、ザイゴマインプラントは上顎にしか行えません。オールオン4は上顎、下顎どちらにも行えます。
ザイゴマインプラントの費用
ザイゴマインプラントの費用は、通常のインプラント治療費にザイゴマインプラント特有の加算料金が上乗せされるように設定されることが多いです。加算料金は40万円前後でしょう。
具体的な費用は、ザイゴマインプラントを取り扱う歯科医院によって異なる場合があります。
ザイゴマインプラントのメリット
ザイゴマインプラントのメリットは、手術当日に仮歯を装着できるため、手術回数が少ない点にあります。また、骨移植が不要なため、骨量が少ない方でも治療が受けられます。
手術当日に人工歯を装着できる
ザイゴマインプラントの最大のメリットは、頬骨に長いインプラントをしっかりと固定できる点です。しっかりと固定性できるので、手術を受けたその日に固定式の歯を装着することが可能になります。これは、土台が非常に安定しているために実現できることです。
通常のインプラント治療では、インプラント体が顎の骨としっかり結合したことを確認してから歯を装着します。3~6か月の期間を要し、その間は歯がない状態になります。
しかし、ザイゴマインプラントを選択すれば、歯がない期間を気にすることなく、手術直後から新しい歯を得ることができるのです。
骨移植が不要
通常のインプラント治療においては、顎の骨が足りない場合は骨移植を行います。患者さまに精神的・身体的な負担をもたらすことが多く、治療期間も長引く傾向があります。
ザイゴマインプラントでは頬骨を利用するため、骨移植は必要ありません。さまざまな負担を減らしながら治療可能です。
また、骨移植は数か月ほど骨の定着を待つ必要があるので、ザイゴマインプラントなら治療期間も短縮できるでしょう。
手術回数が少ない
骨移植が必要な場合、複数回の手術が必須となります。患者さまの精神的、身体的、経済的な負担は計り知れません。
一方で、ザイゴマインプラント治療は基本的に1回の手術で完結します。治療に伴うあらゆる負担が大幅に軽減されるのです。
ザイゴマインプラントのデメリット
ザイゴマインプラントのデメリットも確認しましょう。
上顎洞炎のリスクがある
ザイゴマインプラントは多くのメリットがありますが、デメリットとして上顎洞炎のリスクが挙げられます。
上顎洞とは、奥歯の上部に位置する骨の空洞です。目や鼻、口に囲まれ、表面は粘膜で覆われています。上顎洞に炎症が起こると、粘膜が厚くなり、膿や分泌物の排出が困難になります。
ザイゴマインプラントの施術では、頬骨に穴を開け、鼻腔に沿ってインプラントを挿入します。このプロセスで上顎洞の粘膜を傷つけると、上顎洞炎を引き起こす可能性があります。
上顎洞炎の症状には、歯や歯茎の痛み、鼻の詰まり、黄色い膿の排出、頬の圧迫感、頭痛、発熱などがあります。
上顎洞炎を放置すると、中耳炎や気管支炎、喘息などの呼吸器疾患や、目や脳への影響も考えられます。早期に抗生物質や炎症を鎮める薬を用い、膿を取り除く治療を行うことが重要です。
瘻孔(ろうこう)の形成リスクがある
ザイゴマインプラントのデメリットの一つに、瘻孔(ろうこう)の形成が挙げられます。瘻孔とは、炎症などが原因で生じる身体の異常な管のような穴のことで、身体の一部と他の部分を不正常に繋ぐものです。
ザイゴマインプラントでは、頬骨にインプラントを埋め込むため、その先端が目の横、皮膚や粘膜の近くに位置することになります。インプラントの先端に患者さまが意図せず触れることで、穴が開いてしまうリスクがあります。
瘻孔が形成されると、腫れや炎症、見た目の変化などの症状が現れます。抗生剤による炎症の抑制や外科的な処置による瘻孔の閉塞が必要になるでしょう。
治療時間が長い
ザイゴマインプラントは頬骨に設置されます。頬骨は顎の骨よりも硬いため、インプラントを埋め込む作業により多くの時間が必要となり、結果として手術時間が長くなる傾向があります。
治療費が高額になる
ザイゴマインプラントは治療の難易度が高く、手術時間も長いことから高額になることが多いです。特殊な形状をしたインプラントが必要なことも要因でしょう。
詳しくは後述しますが、治療に対応可能な歯科医院が限られているため、希少性も治療費を押し上げています。
さらに、ザイゴマインプラントは保険適用外の自費診療になります。歯科医院や口の中の状態によって費用は変動しますが、経済的な負担は少なくないでしょう。
治療可能な歯科医院が少ない
ザイゴマインプラントは比較的新しい治療法であり、施術の難易度が高いため対応可能な歯科医院が限られています。技術力が高く経験豊かな歯科医師を見つけることが難しい場合もあるでしょう。
また、上述したように、上顎洞炎や瘻孔などのトラブルが発生するリスクもあります。これらの問題を適切に管理できる高い技術力と豊富な経験を持った歯科医師による治療が必要です。
ザイゴマインプラント治療の流れ
ザイゴマインプラント治療の流れは、以下の通りです。
カウンセリング
カウンセリングでは、患者さまが抱える疑問や不安に対して丁寧に回答します。
精密検査
CTやレントゲン撮影、口腔内外の写真撮影などの精密検査を行います。仮歯作成のための型取りも行われるでしょう。
治療計画の決定・説明
検査結果とデジタルデータを基に、患者さまに合わせた治療計画を立案します。検査結果や治療方針、費用について、患者さまの疑問や不安を解消するために詳細な説明を行います。
ザイゴマインプラント埋め込み手術
骨にインプラントを埋め込み、手術当日に仮歯を装着します。仮歯は患者さまの顔に自然に馴染むように作成されます。
仮歯の調整
患者さまにあう人工歯を製作するため、仮歯の調整を繰り返し行います。顎骨や歯茎の状態に合わせて仮歯の形を調整し、最終的な人工歯の形状を決定します。
人工歯の装着
仮歯の調整を経て得られたデータを基に、人工歯を作製して装着します。
メンテナンス
治療完了後は定期的にメンテナンスを行い、インプラント周囲の健康を保ちます。天然歯と同様のケアでインプラント周囲炎を予防します。
まとめ
ザイゴマインプラントは、顎の骨が薄い患者さまでも可能な革新的なインプラント治療法です。頬骨にインプラントを設置することが特徴です。
ザイゴマインプラントのデメリットとしては、治療の難易度が高く、特殊な形状のインプラントを使用するため、治療費が高額になる点が挙げられます。また、上顎洞炎や瘻孔などのリスクも伴います。
しかし、ザイゴマインプラントは通常のインプラント治療と異なり、手術当日に仮歯を装着できます。食事や会話など、日常生活に支障をきたすことなく快適に過ごせるでしょう。
ザイゴマインプラントの治療を受ける際は、メリットやデメリットをよく理解し、カウンセリングの時点で疑問や不安を解消しておくことが非常に重要です。
ザイゴマインプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!