皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
子どもの虫歯は年々減少傾向にあるといわれていますが、文部科学省の調査によると、8歳の約46%の子どもが虫歯になっているとされています。
子どもの歯が虫歯だと指摘されたけれど、どのように治療をするのかわからず不安になっている保護者の方もいるかもしれません。
本記事では、子どもの虫歯の治療法について詳しく解説します。子どもの虫歯の予防方法についても併せて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
参照元:文部科学省「令和3年度学校保健統計(確報値)の公表について」
目次
子どもの虫歯の特徴
子どもの虫歯には大人と異なるさまざまな特徴があります。まずは、子どもの虫歯の特徴についておさえておきましょう。
虫歯になりやすく進行も早い
子どもの歯は、虫歯になりやすいうえに進行が早い点が最大の特徴です。歯は石灰化が進むことで硬くなりますが、石灰化が完全に終わるまでは2~4年程度かかります。
特に歯が生え始めたばかりの頃はまだ石灰化が進んでいないうえに、エナメル質が薄く、柔らかいです。そのため、虫歯になると一気に進行します。
大人の場合、虫歯になってから神経に達するまで1年程度かかりますが、子どもの場合は5~6か月程度で神経に達するといわれているのです。
虫歯になりやすい箇所が年齢で異なる
子どもの場合、虫歯になりやすい箇所が年齢で異なります。3歳までの子どもは、一般的に上の前歯が虫歯になりやすいです。特に、歯と歯の間や歯のつけ根に虫歯が起こりやすいといわれています。
一方、3歳以上、特に6歳臼歯が生えてくる年齢になると、臼歯の溝(小窩裂溝)が虫歯になりやすいです。
特に学齢期になって自分で歯磨きをするようになると、歯ブラシがなかなか奥まで届かないことや磨く場所が偏ることから、臼歯の溝が虫歯になる子どもが増えるのです。
虫歯を見た目で判断できない
虫歯と聞くと特に大人では歯が黒や茶色になっていることを思い浮かべるかもしれません。
しかし、子どもの虫歯は黒くならず、白色のままであるため、見た目で虫歯と判断することが難しいです。子どもの歯が虫歯の場合、歯が白くてもざらつきを感じます。そのため、歯がつるつるではなく、ざらざらしていれば虫歯である可能性があります。
痛みを感じにくい
子どもの歯は痛みの感覚が未熟であることから、痛みをあまり感じないとされています。そのため、神経の深くにまで達して初めて痛みを訴える子どももいます。
大人の歯の歯並びに影響する可能性がある
子どもの歯が虫歯になり、歯を抜くことになると、大人の歯の歯並びに影響を及ぼす可能性があります。
先に子どもの歯を抜歯してある程度隙間ができていると、その隙間を埋めるように隣の歯が生えてくるため、傾いたり、本来生えてくるべき位置ではないところから生えたりするのです。そのため、歯並びが悪くなり将来的に矯正治療が必要となる可能性もあります。
子どもの虫歯はどのように治療する?
子どもの虫歯治療は進行度によって異なります。ここからは、子どもの虫歯の治療方法について進行度別に解説します。
C0の場合
C0は、虫歯になりかけている状態です。まだ完全に虫歯にはなっていない状態であるため、歯を削る処置は行いません。
とはいえ、放置すると進行する可能性があるため、ブラッシング指導やフッ素塗布をして経過を見ます。
C1の場合
C1はエナメル質部分に虫歯がある状態です。まだ神経まで達していないため、虫歯になっている部分のみを削り取り、削った部分はレジンで埋めます。エナメル質を削っても痛みはほとんどありません。そのため、歯を削るときに麻酔は使われません。
C2の場合
C2は虫歯が象牙質にまで達している状態です。象牙質を削ると痛みが生じる可能性があるため、麻酔をしてから治療を行います。歯を削ったあとはレジンで埋めて治療は終了です。
しかし、削る範囲が大きく、レジンでは埋めきれない場合には、型を取って後日詰め物をします。
C3の場合
C3は虫歯が神経にまで達している状態です。神経に達しているため、神経を抜く必要があります。局所麻酔をして神経を取り除いたら専用の器具で洗浄し、お薬を詰めます。
子どもの場合は、生活歯髄切断法といって虫歯に感染した神経を一部分だけ切り取る治療が選択されるケースもあります。
C4の場合
C4は歯の根元部分しか残っていない状態で、残根状態と呼びます。この場合は歯を残せないので抜歯をする以外の選択肢はありません。抜歯後は、大人の歯の生え方が将来の歯並びに影響しないように永久歯が生えるスペースを確保する治療も行われます。
何歳から虫歯治療を受けられる?
子どもの虫歯治療ができるのは一般的に3歳を過ぎてからとなります。この年齢以下だと、まだ言葉の発達が不十分であるため歯科医師とのコミュニケーションが取れず、治療中に動いたり暴れたりして治療が十分にできない可能性があるためです。
3歳以下の子どもに虫歯の治療を無理矢理行うと、歯科医師に対する恐怖心を植え付けてしまい、その後の検診や治療に影響が出ることもあるでしょう。そのため、3歳以下の場合はよほどの理由がない限り虫歯の進行を食い止める処置をメインに行います。
ただし、子どもの成長発達には個人差があるため、歯科医師と相談しながら治療のタイミングを検討します。
子どもの虫歯を予防する方法
ここでは、子どもの虫歯を予防する方法を詳しく解説します。
毎日歯を磨く
毎日の歯磨きは虫歯を予防するために最も効果のある方法です。食後はなるべく早く歯を磨きましょう。小さいうちは自分で完璧に歯を磨くことは難しいです。そのため、保護者の方が仕上げ磨きをしてきちんと磨けているかチェックしてあげましょう。
歯が生えそろうまでは、保護者の方の仕上げ磨きのみでもよいですが、歯が全て生えそろったら自分で歯磨きをする習慣を身につけると良いです。
また、歯ブラシは年齢と口のサイズに合ったものを使用し、磨き残しが生じないように順番を決めて磨きましょう。歯磨きは食後だけでなく、寝る前にも行ってください。
間食のタイミングを見直す
砂糖を含んだ飲食物をだらだらと食べていると口の中に砂糖が長時間残り続けるため虫歯になるリスクが高まります。そのため、間食のタイミングを見直すことが重要です。
特に小さい子どもは胃が小さいため、間食をして食事で補えない栄養を摂らなければなりません。間食をするときは時間を決め、なるべく砂糖が少ないものを食べましょう。
飴などの甘く、口の中にずっと残り続けるお菓子は控えたほうがよいかもしれません。また、寝る2時間前の飲食も控えましょう。
フッ素を塗布する
フッ素には歯を強くする効果があります。また、虫歯菌の働きを抑制する効果もあることから、虫歯予防にフッ素塗布は有効です。近年ではフッ素が含まれた子ども用歯磨き粉も増えているため活用するとよいでしょう。
シーラントで奥歯の溝を埋める
シーラントとは、虫歯になりやすい奥歯の溝を物理的に封鎖する方法です。シーラント材に含まれるフッ化物によって再石灰化作用を促進する効果が期待でき、丈夫な歯を作り上げてくれます。
シーラントは割れる可能性がありますが、子どもの虫歯リスクが高い部分にアプローチできるため、活用したい虫歯予防方法といえるでしょう。
定期的に歯科検診を受ける
虫歯を予防するためには、定期的に歯科検診を受けることも重要です。定期的に歯科検診を受けていれば、虫歯などの異常を早期に発見できます。また、日頃の歯磨きでは落としきれない汚れもクリーニングで落としてもらえるため、虫歯予防に高い効果が期待できるのです。
まとめ
子どもの虫歯は進行が早いです。また、見た目での判断が難しく、痛みもほとんどないため発見が遅れ、気が付いたときには神経にまで達しているケースも少なくありません。子どもの虫歯の治療は3歳頃からが目安です。治療法は虫歯の進行度によって異なります。
特に子どもが小さいうちはしっかりと歯を磨いたり定期的に検診を受けたりして虫歯を予防し、健康な歯を維持しましょう。
お子さんの虫歯にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!