皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
小児矯正は、乳歯から永久歯に生え変わる子どもの頃に始める矯正治療のことです。早期に歯列矯正を行えば顎の成長をコントロールできるので、審美性はもちろん機能性にも良い影響を与えます。
矯正治療は大人になってからもできるため、子どもが大きくなってから矯正すればよいと考える方がいるかもしれません。
しかし、歯列矯正には成人矯正と小児矯正があり、治療方法や得られる効果に大きな違いがあります。
今回は、小児矯正の種類や費用の目安、子どもが矯正するメリットとデメリットについて紹介します。
小児矯正とは
子どものための矯正治療で、永久歯が生え揃う前や生え揃ったタイミングで行います。成長期に矯正治療を行うと、成長中のやわらかい顎の骨も調整できるため、顎が正しい位置になるように大きさやバランスをコントロールできます。
小児矯正は、将来的に正しい歯並びや噛み合わせを得るための、重要な治療と言えるでしょう。
小児矯正が必要な症例
小児矯正が必要とされる症例は、以下のとおりです。
開咬(オープンバイト)
食べ物を上手に噛み切れないお子さんは、開咬(オープンバイト)の可能性があります。開咬とは、奥歯を咬み合わせた時に前歯が咬み合わず開いてしまう状態のことです。
12〜20歳の日本人の1割程度が開咬の傾向があるとされています。
受け口(下顎前突)
子どもの横顔を見た時に下顎が前に出ている場合、受け口の可能性があります。受け口とは、舌の歯列が上の歯列より前に出ている状態のことです。
通常の咬み合わせは、上の歯が下の歯より外側(唇側や頬側)に位置します。受け口は、下の歯が上の歯より外側にある状態です。
出っ歯
上の前歯が前に出ている場合や、食べ物が嚙みづらい場合、出っ歯の可能性があります。出っ歯とは、上の前歯が突出している状態のことです。
通常では、上下の前歯が咬み合って食べ物を噛み切りますが、出っ歯は上下の歯がうまく咬み合いません。食べ物を適切に噛み切れず、胃腸に負担をかけることもあります。
叢生
歯と歯が重なって生えている状態を、叢生(乱杭歯)といいます。一部の歯が歯列から外れて生える八重歯も、叢生の一種です。
過蓋咬合
上下の歯をかみ合わせると下の歯が見えない状態のを、過蓋咬合といいます。通常は、上下の歯を咬み合わせると下の歯の半分以上は見えますが、過蓋咬合の方は下の歯が見えないほど上の歯が覆います。
小児矯正の種類と費用:3〜12歳
子どもの矯正は、第一期治療と第二期治療の二つに分かれます。3〜12歳前後のタイミングで行われるのは、第一期治療です。
1期治療の目的は、骨格・歯並びの調整、悪習慣の改善、永久歯のスペース確保などです。一般的な開始時期は6〜12歳前後ですが、3歳児検診などで受け口を指摘されたり、悪習慣を治せなかったりする場合は、早めに治療を開始するケースもあります。
ここでは、1期治療の種類と費用について解説します。
床矯正
床矯正は、取り外しが可能な装置を使って歯列を拡大し、歯が正しい位置に生えるスペースを作る治療法です。装置に埋め込まれたネジを定期的に回して、徐々に歯列を広げていきます。
費用の相場は、20〜40万円です。
急速拡大装置
急速拡大装置は、主に上顎の骨を広げるために使用される矯正装置です。装置を上顎の奥歯に固定し、専用のスクリューを使って少しずつ顎の幅を広げて歯が生えるスペースを確保します。
床矯正と似ていると感じるかもしれませんが、急速拡大装置は固定式で取り外しができません。力を加え続けられるので、効果が高い治療法とされています。
費用の相場は、3〜5万円程度です。
マイオブレース
マイオブレースは、取り外し可能なマウスピース型の装置です。直接歯を移動させるわけではなく、口腔機能の改善を目指します。口呼吸を改善したり、舌の正しい位置を覚えたり、適切な飲み込み方を学んだりすることで、歯並びの改善をサポートするのが特徴です。
マイオブレースは、日中1〜2時間と夜間の装着が推奨されており、歯にかかる圧力がわずかなため痛みや不快感が少ないとされています。歯科医院でのトレーニングを組み合わせて行います。
費用は約20万〜40万円程度で、症例によって異なります。
プレオルソ
プレオルソは、幼児や小学生向けに開発された取り外し可能なマウスピース型の矯正装置です。成長期の子どもの顎や歯の発育に合わせて、歯並びを正しい位置に導くとともに、顎の成長をサポートします。
プレオルソの特徴は、柔軟な素材でできているため装着時の不快感が少ないことです。睡眠時と日中数時間の装着で効果が期待できる点も特徴でしょう。
治療費は約3〜20万円が相場です。
インビザライン・ファースト
インビザライン・ファーストは、透明なマウスピース型の矯正装置です。透明で目立たないため、見た目を気にする子どもや保護者に非常に人気のある治療法です。
インビザライン・ファーストの最大の特徴は、歯列の拡大と歯の移動を同時に行えることです。食事や歯磨きの際には簡単に取り外せるため、口腔内の衛生を保ちやすい点もメリットです。
治療期間は、個人差がありますが一般的には約6ヶ月〜18ヶ月で、費用は約40万〜70万円とされています。
小児矯正の種類と費用:中学生以上
中学生以上、永久歯が生えそろってから行う小児矯正は第二期治療と呼ばれます。第一期治療だけで治療を完了できなかった場合や、第一期治療の期間を過ぎてしまった場合に行います。
永久歯を正しい位置に移動させ、歯並びや噛み合わせを改善することが目的です。主な方法は、以下の2つです。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを使用して歯を少しずつ動かす矯正治療です。マウスピースは取り外しが可能で、食事や歯磨きの際に外せるため衛生管理がしやすいのが大きなメリットです。また、透明で目立たないため、見た目を気にする中高生に非常に人気があります。
ただし、マウスピースの装着時間・交換時期を守れない場合は十分な治療効果が出ない可能性があります。自己管理ができない場合は不向きでしょう。
費用の相場は、40〜80万円程度です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットを歯に装着してワイヤーを通して歯を動かす治療法です。長年にわたって多くの症例を治療してきた実績があり、幅広い症例に対応できるのが大きな強みです。
ワイヤー矯正の装置は取り外しができないため、歯に一定の圧力をかけ続けることが可能です。自己管理の必要がなく、治療効果が高いのが特徴です。
ただし、ブラケットやワイヤーが口内に接触するため、口内炎が起こりやすい、食事の際に不便を感じるなどのデメリットもあります。
費用は60〜90万円程度が一般的です。
小児矯正をするメリット
歯列矯正は大人になっても始められますが、子どもの時に歯列矯正を行うとさまざまなメリットが得られます。
顎の成長をコントロールできる
成長段階にある子どもは、顎の骨も柔らかく発達をコントロールすることが可能です。上下の顎が成長の成長が完了していると歯列を拡大するのは難しいでしょう。
成長段階で矯正できると、顎の骨が適切に成長するように誘導できるのです。
成人矯正の必要性が減る
小児矯正で歯並びや噛み合わせを整えると、大人になって歯列矯正が必要になる可能性を減らせます。成人矯正が必要だったとしても、抜歯のリスクを減らせるでしょう。
成人矯正のみを行う場合、スペースを確保するために抜歯をすることも少なくありません。小児矯正で歯列を拡大できていれば、抜歯の必要がなくなる可能性が高いです。
将来の口腔トラブルのリスクを減らせる
歯並びが悪いと、歯が重なって生えている部分などに汚れが溜まりやすいです。歯並びが整っていて綺麗に並んでいる方と比べると、虫歯や歯周病のリスクが高いといえるでしょう。
小児矯正で歯並びを整えれば、将来的な口腔トラブルのリスクを減らせるのです。
小児矯正をするデメリット
小児矯正にはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。
痛みや違和感を覚える
初めて矯正装置を取り付ける子どもが多く、歯列矯正の初期は痛みや違和感を覚えるでしょう。装置によっては、話しにくさを感じる場合もあります。
小児矯正では、これまで口の中になかった装置を長期的に装着することになります。子どもは適応力が高いとされていますが、慣れるまではストレスになるでしょう。治療効果を高めるためには、精神的なサポートも重要です。
矯正期間が長くなる可能性がある
小児矯正は、幼児や学童期から始めます。1期治療の期間は1〜3年程度とされていますが、1期治療で理想とする歯並びにならなかった場合、2期治療に進む必要があります。
1期治療を行っていれば2期治療の期間を短縮できる傾向にありますが、1年以上必要なケースもあるでしょう。この場合、矯正期間が長くなるため、お子様のモチベーション維持が困難になるかもしれません。
むし歯や歯周病のリスクがある
矯正治療中は、むし歯や歯周病のリスクが高まります。取り外せない矯正装置の場合、装置や装置の周囲に汚れが溜まりやすく落としにくいためです。
取り外せる矯正装置であっても、矯正装置の装着中は唾液が十分に循環しません。唾液には、口内の汚れを洗い流す自浄作用や、細菌の働きを抑制する殺菌作用があります。これらの作用がうまく働かないことで、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
むし歯や歯周病を予防するためには、丁寧な歯磨きによるセルフケアが重要です。歯と矯正装置の隙間は歯ブラシが届きにくいため、歯間ブラシやデンタルフロスなどを取り入れましょう。
子ども本人の努力が必要
小児矯正は長期にわたるため、子ども本人の努力が不可欠です。子どもの歯列矯正は、保護者が子どもの歯並びや噛み合わせを心配して始めるケースがほとんどです。
しかし、実際の治療では、保護者よりも子ども本人が気を付けなければならないことが多いです。子ども自身が苦痛に感じて、矯正治療をやめることも少なくありません。
最後まで矯正治療を続けるためには、子どもがどのようなことに不便を感じているか、悩んでいるか耳を傾けるようにしましょう。矯正中は食べやすい食事を提供して、少しでも子どもの負担を減らすことも重要です。
まとめ
今回は、小児矯正の種類と、子どもが歯列矯正するメリットとデメリットについて解説しました。小児矯正は、乳歯から永久歯に生え変わる頃から歯並び・嚙み合わせを矯正する方法です。
子どもの時に歯列矯正を始めると、成長段階に合わせて歯や骨の位置を整えられます。矯正装置に慣れるまで違和感や痛みを覚えるなどのデメリットもあります。子どもの歯並びや噛み合わせが気になる方は、歯科医師に相談してみましょう。
小児矯正でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!
当院の一般診療メニューはこちら、インプラントや訪問歯科も対応しております。ネット予約も可能ですので、ぜひご活用ください。