皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
お口の中にできるがんのことを、口腔がんといいます。口腔がんには、舌がんや歯肉がん、頬粘膜がんなど複数の種類がありますが、初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、ある程度病気が進行してから気づくケースも多いです。
しかし、発見や治療が遅れれば、他の部位への転移がみられたり致死率が上がったりすることも考えられます。定期的に検診を受けて、早期発見・治療に努めることが重要です。
今回は、口腔がん検診でわかることや費用の目安、流れと内容などについて解説します。保険適用や医療費控除の可否、放置するリスクもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
口腔がん検診でわかること
口腔がん検診は、歯科医院や歯科口腔外科などの歯科医療機関で受けることが可能です。ここでは、口腔がん検診でわかることについて確認しましょう。
視診・触診でわかること
口腔がんは、目で見て触れることができる部位に発症します。そのため、口腔内を目で見たり触ったりすることにより確認できます。口腔がんは首のリンパ節へ転移するケースもあるため、頸部の触診も行うことが一般的です。
光による視診でわかること
口腔がん検診では、蛍光観察装置を用いた視診も行います。特殊な光を当てて口腔内をチェックすることで、病変組織を発見できます。
病理検査でわかること
視診や触診などで気になる部位が見つかった場合には、細胞診や組織診などの病理検査を行います。
細胞診では、表面組織を綿棒でこすって顕微鏡で確認することで、がん細胞の種類や悪性度などがわかります。より詳しく診断するために、麻酔を行ったうえで病変部位を小さく切り取って組織診(生検)を行うこともあります。
画像診断でわかること
画像診断では、病変の詳しい位置や大きさなどを確認することが可能です。画像検査の種類は、以下の通りです。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査とは、産婦人科で胎児の様子を確認する際などに用いられる検査方法で、プローブと呼ばれる装置を直接患部に当てて映像で体内を確認します。
エコー検査では、頸部リンパ節の大きさや内部の状態、リンパ節への転移の有無などがわかります。舌がんや頬粘膜がんが疑われる場合には、小型のプローブを用いて病変の大きさや深さを診断します。
X線検査
X線検査には口内法撮影とパノラマX線撮影があります。口内法はフィルムを口の中に入れて一部の歯と歯周組織を撮影し、パノラマX線撮影は全体を撮影します。歯肉がんが骨に浸潤していないか、転移していないかを確認することができます。
CT検査
CT検査では、体内の断層像を3次元で確認できます。口腔がん検診のCT検査では、座った姿勢で受けられるデンタルCTが用いられることが一般的です。CT検査では、腫瘍の位置や大きさなどを確認でき、治療方法を判断する際に役立ちます。
MRI検査
MRI検査では、骨や歯以外の軟組織の状態を細かく診断できます。腫瘍の大きさ、腫瘍と歯や顎の骨との位置関係などを確認できるので、がんの診断に加え治療計画を立てる際にも使用します。
アイソトープ検査
アイソトープ検査とは、ごく微量のアイソトープ(放射性同位元素)を静脈内に注入し、がんの浸潤の有無を調べる方法のことです。
アイソトープは炎症やがんの転移などによって骨の再生が活発になっている部位に集まる特性があります。この特性を利用して、骨への転移の有無を確認します。
口腔がん検診にかかる費用
口腔がん検診の費用は、検査の内容によって異なります。一般的には、5,000円~1万円程度が目安です。検査の具体的な内容としては、問診・視診・触診・口腔内写真・エックス線写真などが含まれます。
口腔がん検診だけを希望される場合は基本的に保険適用外ですが、口内炎や口腔内のただれなどの症状がみられる場合には、保険が適用されるケースもあります。
なお、自治体が口腔がん検診を実施していることもあり、対象となる方は無料~数百円程度で検診を受けられます。気になる方は、一度お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
口腔がん検診の流れと内容
口腔がん検診の内容は歯科医院によって異なります。ここでは、一般的な口腔がん検診の流れについて解説します。
問診表の記入
まず始めに、問診票を記入します。生活習慣などの確認を行うことにより、口腔がんになる要素がどれくらいあるかをチェックします。
視診・触診
次に、視診と触診を行います。まずは、口腔内に病変がないかを目で見て確認します。さらに、しこりなどがないかを触診でチェックしていきます。
口腔内写真・エックス線検査
口腔内の状態を確認するために、口腔内写真を撮影します。また、内部や周囲の組織の状態を把握するために、必要に応じてエックス線検査を行うこともあります。
口腔内蛍光観察装置による観察・写真撮影
口腔内蛍光観察装置を用いて、お口の中に特殊な光を当てて異常がないかを確認します。また、そのまま口腔内の状態を撮影します。
説明
最後に、検診の結果を説明します。異常が見つかった場合には、治療計画を立てて治療に移ります。異常が見つからなかった場合でも、年に1回は口腔がん検診を受けるようにしましょう。
口腔がん検診を受ける頻度
通常、口腔内の病変ががんになるまでには5年~10年程度かかるといわれています。そのため、最低でも1年に1回は口腔がん検診を受けることで、早期発見につながるでしょう。
また、口腔がん検診とは別に、3か月~半年に1回程度のペースで歯科医師による口腔内のチェックを受けておくとより安心です。口腔がんは他のがんと同様に転移する可能性もあるので、がんになる前の異形成の段階で治療を開始することが重要です。
口腔がん検診に保険は適用されるの?
先にも述べた通り、基本的には口腔がん検診は保険適用外ですが、口内炎や口腔粘膜のただれなどの症状がみられる場合には、保険適用で検査できることもあります。
また、自治体が口腔がん検診を実施していることがあります。一般的に対象年齢が限られていますが、該当する場合には無料~数百円の負担額で検診を受けることが可能です。
気になる方は、お住まいの自治体のホームページを確認したり、電話などで問い合わせたりするとよいでしょう。
口腔がん検診は医療費控除に対象になるの?
医療費控除とは、1月1日~12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の一部が還付される制度のことです。医療費控除の対象は原則治療を目的とするものなので、審美目的の治療や予防目的の健康診断等は対象外となります。
そのため、口腔がん検診も基本的には医療費控除の対象外です。
しかし、口内炎や口腔内の病変による治療の一環として受けた場合などには、対象となることがあります。なお、医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告時には領収証が必要なので、必ず手元に残しておくようにしましょう。
口腔がんを放置するとどうなるの?
もし口腔がんの発症に気付かずに放置していると、病気は徐々に進行します。口腔がんは、初期段階では自覚症状がみられないことがほとんどですが、進行に伴って飲食物がしみる、首のリンパ節が腫れる、口内炎が治らないなどの症状が出てきます。
また、口腔内が腫れたり硬いしこりができたりすることもあるでしょう。放置すると、しこりが次第に大きくなったり深部に入って潰瘍を形成したりすることもあります。その結果、舌や顎、頬などの一部を切除しなければならなくなるケースも考えられるでしょう。
口腔ガンは、最悪の場合には死に至ることもある病気です。口腔がん検診を受けて、早期発見・治療につなげることが重要です。
まとめ
口腔がんは、視診や触診によって発見しやすい部位に発生します。そのため、他のがんに比べれば発見しやすいといわれています。
しかし、初期段階では自覚症状がほとんどないので、普段から定期的に歯科検診を受けていない方の場合は、発見が遅れるケースもあるでしょう。口腔がんへと進行するまでには5年以上かかるため、最低でも1年に1回は口腔がん検診を受けておくと早期発見につながります。
口腔がん検診についてお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!
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