皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
整った歯並びは、口腔内の健康維持のためにも重要です。整った歯並びを得るために、お子さまの矯正治療を考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、矯正治療にはいろいろな種類があり、どんな矯正治療を選べばいいのか悩む方が少なくありません。特に「床矯正とは?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
このコラムでは、矯正治療の中でも、おもに子どもを対象にした床(しょう)矯正について詳しく解説します。治療のメリット・デメリットや、治療の開始時期、費用などをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
床矯正とは
床矯正とは、主に子どもを対象とした矯正治療の一種です。歯を移動させて歯並びを整えるのではなく、歯列の幅を広げて正しい位置に歯が並ぶようにサポートする治療です。
顎の幅が狭く、歯がきれいに並ばないと診断された子どもには有効と考えられています。
床矯正の矯正装置
ネジがついたレジンで作られた床と、歯に引っかけるワイヤーが一体化した床矯正装置を使用します。床につけられているネジを徐々に広げていくことで、ゆっくりと歯のアーチを拡大していきます。
矯正装置は、1日10時間〜14時間程度、場合によっては20時間ほど装着する必要があります。
床矯正とほかの矯正方法との違い
歯が重なっている歯列を矯正する場合、従来の矯正治療では歯が真っ直ぐ並ぶためのスペースを確保するために抜歯することがあります。床矯正では、歯列を広げてスペースを作ります。
床矯正の対象者
骨が成長している時期に少しずつ歯列の幅を広げる治療です。そのため、基本的には乳歯から永久歯への生え替わりが始まっている混合歯列期の子どもが対象です。
骨格によっては大人でも実施できますが、成長期の子どもに比べると効果が薄れる傾向があります。また、大人の場合は顎の骨の成長が完了しているため矯正時間が長くかかり、ほかの矯正治療と組み合わせて治療することが多いです。
床矯正の特徴
床矯正では、歯を大きく移動させたり、細かく位置を調整したりすることはできません。床矯正だけで治療が終わる症例は限られており、床矯正を終えた後にワイヤー矯正やマウスピース矯正に移行するケースも多いです。
歯列を広げるため顔が大きくなることを心配する人もいますが、歯列を広げても顔が大きくなる方は基本的にいません。
床矯正の機能訓練
持って生まれた歯並びが悪い人もいますが、歯を舌で押す舌癖を始め、口を開けていたり、指しゃぶりをしていたりなど、様々な癖が原因で歯並びが悪くなることもあります。せっかく矯正しても、歯並びを悪くする悪癖をそのままにしていると後戻りの原因になります。
治療の効果を高めるためにも、後戻りを防ぐためにも、床装置の使用と合わせて機能訓練を行うケースがあります。機能訓練では、食べ方の指導や唇や舌の癖の改善、呼吸や飲食、発音時に唇や舌が正しい使い方ができるようにトレーニングを行います。
機能訓練を実施するかどうかは歯科医院や患者さまの症例によって異なります。指導がなくても、癖の改善を意識したほうが矯正の効果が出やすいといえます。
床矯正の注意点
床矯正で噛み合わせが悪くなった、口元が突出したなどのトラブルが起きることもあります。床矯正を考えている場合は、床矯正に慣れていて、デメリットも含めしっかり説明してくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。
十分な検査を行わずに床矯正を進める場合は、とくに注意が必要です。
床矯正のメリット
床矯正にはメリットもデメリットもあります。まずは、メリットを確認しましょう。
歯を抜かずに治療できる可能性が高い
床矯正の目的は、歯がきちんと並ぶように歯列を広げることです。床矯正だけでは十分に歯並びが整わない場合は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などで歯の位置を調整します。
その際にも、歯列のスペースが広がっていることで、健康な歯を抜歯せずに治療ができる可能性が高くなります。
取り外しができる
固定式の小児矯正装置もありますが、床矯正の装置は取り外しが可能です。食事や歯磨きは通常通りできるため食事に制限がなく、虫歯などのトラブルを防ぎやすいメリットがあります。
また、楽器の演奏やスポーツをする際にも外すことができるので、学校生活にも影響を及ぼしにくいです。
装置が目立たない
床矯正の装置はワイヤー部分が少ないため、装置を着用していることが目立ちません。また、就寝時と日中1〜2時間を目安に装置を着用するので、自宅以外では装着しないことが多いです。
治療の痛みが少ない
床矯正の装置は、ゆっくりと力を加えて歯列を拡大します。そのため、ほかの矯正方法に比べると治療時の痛みが抑えられるとされています。
将来的な治療費を抑えられる
床矯正では歯並びが整わなかった場合は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に移行します。その際も、治療期間は短縮され、費用も安く抑えられることが多いです。
床矯正のデメリット
健康な歯を抜かずに矯正ができるのは大きなメリットですが、床矯正による治療の効果は誰でも得られるわけではありません。ここでは、床矯正のデメリットについて解説します。
治療効果が望める症例が限られている
床矯正では、歯の位置の細かい調整や大きな移動はできません。歯並びの凸凹が大きそうな場合や、前後のずれが見られる場合は、床矯正だけでは改善しないことが多く、その後にワイヤー矯正など、ほかの矯正治療も必要になります。
自己管理が必要
床矯正で何より重要になるのは、治療する本人の協力です。取り外しできる矯正装置のため、規定の装着時間を守らないと治療期間が伸びる可能性があります。また、十分な効果が見込めなくなることもあるでしょう。
自分で装置の着用時間を調整する必要がありますが、子どもの場合は難しいので保護者の方の協力も欠かせません。
滑舌が悪くなる
床装置の床の厚みで、最初は違和感を覚えたり、滑舌が悪くなったりすることがあります。ほとんどの場合は次第に慣れて気にならなくなります。
治療期間が長い
床矯正は、体の成長に合わせてゆっくりと進める治療法です。そのため、治療期間が長く、6歳から治療を始めても12歳頃まで治療が続くことも珍しくありません。
歯科医院による定期的な検診や調整も必要です。また、床矯正が終わって次の矯正に移行する場合は、さらに長期的に治療が続くことになります。
装置が破損する可能性がある
床矯正の装置は、丁寧に扱わないと破損することがあります。子どもが外出先で外した場合、保管の方法次第では破損・紛失することも考えられます。その場合は、装置の作り直しが必要です。
床矯正は何歳から?
治療効果を考えると、骨の成長中である6〜11歳くらい頃の生え替わりの時期が良いでしょう。治療の開始時期は、前歯の永久歯4本が生え変わったタイミングとされています。
ただし、永久歯が生えるタイミングには個人差があります。治療開始のタイミング次第では治療効果が見込めないこともあるでしょう。
床矯正を検討している場合は、早い時期に一度歯科医院で相談しておき、定期検診で適切なタイミングを見極めてもらうとよいでしょう。
床矯正の費用
床矯正は基本的に自費診療となるため、費用は歯科医院によって異なります。治療費の相場は10万〜50万程度です。
治療にかかる一番大きな費用は矯正装置で、15万〜20万円程度、そのほかに初診料、検査費用、定期調整、保定などの費用が含まれます。床矯正のみで治療が終了しない場合、次の矯正の費用も改めて必要になります。
なお、厚生労働省が定めている疾患に該当する場合のみ、保険が適用されます。また、噛み合わせの改善など医療目的の矯正、子どもの矯正の場合は、医療費控除の対象となることが多いです。手続きすることで、治療費の負担を抑えられるでしょう。
まとめ
子どもの床矯正は、顎の成長を利用しながら進める治療です。メリットの多い矯正治療と言えますが、専門性の高い方法であり、口腔内の状態やタイミング次第では思うような効果を得られないこともあります。
矯正治療を考えているときは、歯科医院でしっかりと相談しましょう。
床矯正でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!