皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
「子どもの受け口が気になるけれど、いつごろ治療を始めればよいのか」「どうすればいいのかわからない」と悩む保護者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、子どもが受け口になる原因や放置することによるリスク、治療方法や予防策について詳しく解説します。お子さまの健やかな成長をサポートする参考にしてください。
目次
受け口とは
受け口とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を指し、反対咬合や下顎前突と呼ばれることもある噛み合わせの異常です。通常、正常な噛み合わせでは上の歯が下の歯を覆う形が保たれますが、受け口の場合はその逆となり、噛み合わせに異常が生じます。
受け口の種類
受け口には、主に3つのタイプがあります。
1つ目は、歯の生える位置の異常が原因で生じる歯槽性受け口です。上の前歯が内側に向かって生えたり、下の前歯が外側に向かって生えたりすることで発生します。
2つ目のタイプが、骨格のバランスが原因で生じる骨格性受け口です。下顎が大きい、または上顎が小さい場合に発生します。
3つ目は、噛み合わせを補正しようとする動作が原因で生じる機能性受け口です。顎を前に出して噛む必要が生じる状態の場合に発生します。
子どもが受け口になる原因
子どもが受け口になる原因は1つではなく、多岐にわたります。これらの要因が複雑に絡み合うことで受け口が形成されることがあるため、早期に原因を特定し適切に対応する必要があります。
遺伝的要因
受け口は遺伝的要因によって発生することが多いとされ、親から受け継がれる骨格の特徴が影響を及ぼします。例えば、家族に下顎が発達しすぎている、または上顎の成長が不十分な特徴を持つ人がいる場合、子どもも受け口になる可能性が高まります。
生活習慣や癖
幼少期の生活習慣や癖も受け口の原因となることがあります。例えば、指しゃぶりや長時間の哺乳瓶の使用、適切な舌の位置が保たれない状態、さらには頬杖をつく習慣などが、歯並びや顎の発育に影響を与える可能性があります。
健康問題
慢性的な鼻づまりやアレルギー性鼻炎などの健康問題も、受け口の原因となることがあります。これらの問題があると、口呼吸が習慣化し、顎や歯列の発育に影響を与えることがあります。
乳歯の生え方や早期の喪失
乳歯が正しく生えそろわなかったり、虫歯や外傷で早期に失われたりすると、歯並びが乱れやすくなります。特に、前歯の位置に影響が出ると、下の歯が前に出やすくなり、受け口を誘発することがあります。
子どもの受け口を放置するリスク
子どもの受け口を放置すると、見た目や機能面、さらには心理的な側面においてさまざまなリスクが生じる可能性があります。以下に詳しく解説します。
咀嚼機能への影響
受け口は噛み合わせが不適切な状態であるため、食べ物を十分に噛み砕くことが難しくなることがあります。これにより、消化器官に負担がかかり、消化不良や栄養吸収の低下を引き起こす恐れがあります。
また、前歯や奥歯に過剰な負担がかかることで、歯の摩耗や歯周病のリスクが高まる可能性もあります。
発音や言語能力への影響
受け口の状態では、舌の動きが制限されるため、特にサ行やタ行の発音が難しくなることがあります。これにより、言葉が不明瞭になり、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
特に、幼少期は言語能力が発達する重要な時期であるため、早期の対応が求められます。
見た目への影響
受け口を放置すると、成長に伴い下顎がさらに前方に突出し、顔全体のバランスが崩れることがあります。この結果、顎がしゃくれて見えるなど、外見上のコンプレックスを抱える原因となる可能性があります。
思春期以降は外見を気にする年齢でもあるため、心理的な負担が大きくなることが考えられます。
将来的な治療が難しくなる
成長期に適切な治療を行わない場合、骨格が固定化され、大人になってからの治療がより複雑で難しいものになる可能性があります。治療が複雑化すると、治療費用も高額になることがあります。
場合によっては外科手術が必要になることもあり、身体的・経済的な負担が大きくなる可能性があります。
受け口の矯正は何歳から受けられる?
受け口の矯正治療は、子どもの成長段階に応じて開始することが重要です。
乳歯列期の治療(3歳〜6歳)
乳歯が生えそろう3歳頃から、あごの成長バランスや歯の噛み合わせに問題がないかを確認し、受け口の治療を開始することが可能です。この時期の治療は、顎の成長をコントロールしながら正しい咬合を形成することを目的としています。
例えば、フェイスマスクやマウスピース型の装置を使用して、下顎の成長を抑制し、上顎の発育を促進する方法が用いられます。一般的には子供の受け口の矯正は早いほど効果的とされ、顎の骨が柔軟で成長が活発なこの時期は理想的なタイミングと言えます。
混合歯列期の治療
6歳から12歳頃の混合歯列期は、乳歯と永久歯が混在する時期であり、矯正治療の効果がさらに高まる時期です。この段階では、永久歯の位置を整えるための矯正装置が使用されることが多く、歯列全体のバランスを整える治療を進めていきます。
永久歯列期の治療
12歳以降の永久歯列期では、骨格が固定化されるため、矯正治療の選択肢が限られる傾向があります。この時期の治療は歯列の調整に重点を置きますが、状況に応じて外科的な介入が必要になることもあります。
子どもの受け口を矯正する方法
子どもの受け口を矯正する方法は、治療を開始する時期や受け口の程度、原因によって異なります。
口腔筋機能療法(MFT)
乳歯列期や混合歯列期の段階では、口腔筋機能療法(MFT)が非常に重要とされています。舌や口の周囲の筋肉を鍛えることで、舌の正しい位置づけや飲み込み動作に必要な筋肉の使い方、さらには正しい呼吸法を習得させる目的で実施します。
歯科医師や専門トレーナーの指導のもと、継続的にエクササイズを行うことで、受け口を引き起こす癖を改善し、顎の健全な成長をサポートします。
マウスピース型矯正装置
取り外し可能な柔らかい素材のマウスピースを就寝中や日中の一定時間装着する方法です。歯並びだけでなく、同時にお口の周りの筋肉、舌の筋肉のバランスを整えることが可能です。日中の装着時間が短いため、日常生活の中で負担なく使いやすい点が特徴です。
上顎前方牽引装置や下顎成長抑制装置
混合歯列期に入ると、顎の骨の成長を積極的にコントロールする治療が行われることがあります。具体的には、上顎前方牽引装置や下顎成長抑制装置が使用されます。
顎の骨に適切な力を加え、成長方向を正しく誘導する目的で用いられます。
ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットと呼ばれる部品を接着し、そこにワイヤーを通して少しずつ歯を動かしていく方法です。ワイヤー矯正は多くの症例に対応でき、歯列全体の精密な調整が可能です。
しかし、歯に部品を直接接着するため、目立ちやすいというデメリットもあります。
透明なマウスピース型矯正装置
近年では、透明で目立ちにくいマウスピース型矯正装置も選ばれています。段階的に形状の異なるマウスピースを交換しながら、歯並びを徐々に整えます。
ワイヤー矯正と比較すると、治療中でも装置が目立ちにくい点が特徴であり、思春期以降のお子さまでも抵抗感なく受けられるでしょう。
外科的治療
骨格的な問題が強い受け口の場合、歯並びを整える矯正治療だけでは改善が難しい場合があります。このようなケースでは、顎の骨を調整する外科的な手術が行われることもあります。
外科的治療は成長が終了した後に検討されることが多く、矯正治療と組み合わせて行われます。
子どもが受け口にならないようにするには
子どもが受け口にならないようにするためには、日常生活の中での習慣や環境を整えることが重要です。
指しゃぶりや頬杖の習慣を改善する
指しゃぶりや頬杖をつく癖などが見られる場合は、早期に改善するためのサポートを行うことが大切です。例えば、指しゃぶりをやめるための絵本やおもちゃを活用することや、頬杖をつかないように姿勢を意識させることが役立ちます。
鼻呼吸を促す
慢性的な鼻づまりや口呼吸は、上顎の発育を妨げる原因となります。これを防ぐためには、アレルギーや鼻炎の治療を行い、鼻呼吸を促す環境を整えることが重要です。
また、鼻呼吸を習慣化するためのトレーニングを取り入れることも有効です。
定期的に歯科検診を受ける
定期的に歯科検診を受けることで、受け口の兆候を早期に発見し、適切に対応できます。また、必要に応じた生活指導を受けることが可能です。
家庭でのケアと生活習慣を見直す
家庭でのケアとして、子どもの姿勢や食事の際の噛み方を意識させることが大切です。また、食事内容も柔らかいものだけでなく硬い食べ物を適度に取り入れることで、顎の発育を促進できます。
さらに、子どもの成長に合わせた適切な生活習慣を形成することが、受け口の予防につながります。
まとめ
子どもの受け口には、遺伝や生活習慣、健康問題などさまざまな要因が関係しています。放置すると、成長に伴い問題が深刻化するため、早期の対応が重要です。
子どもの受け口でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!
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