皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。
しっかり治療したはずのインプラントが抜けることはないのかと不安に思う方も多いでしょう。
今回はインプラントが抜けることはあるのか、原因・対処法・注意点などに関して解説します。
インプラントは抜けることがあるのか
インプラントは審美性がよく、咬合力が優れていることに加えて、長期間使えるのが魅力です。治療完了後から10年経過しても使用できている方の割合は9割といわれています。
ただし、セルフケアやメンテナンスがなされていることが前提です。これらを怠れば数年で抜けてしまうこともあり、最悪の場合はインプラント治療が不可能になることもあります。
トラブルがあったときに落ち着いて対処できるようインプラントの構造を理解し、どの部分が抜けたのかを確認しましょう。基本的にインプラントは以下の3つの構造でできています。
<インプラントの構造>
上部構造 |
セラミックなどでできた、差し歯や入れ歯でいう人工歯部分を指す |
アバットメント |
上部構造とインプラント体を連結するパーツである |
インプラント体 |
顎骨に埋め込まれる人工歯根を指し、チタンなどでできている |
インプラントが抜ける原因と対処法
インプラントが抜ける原因はさまざまですが、どれも対処法としては事前に予防することや定期的なメンテナンスを行うことです。それでも起きてしまったトラブルに関しては、すぐに歯科医院に相談しましょう。
インプラントが抜ける原因は、以下のとおりです。
- 不適切なセルフケア
- メンテナンスを怠った
- 歯ぎしりや食いしばり
- 噛み合わせの不具合
- 喫煙
- インプラントの劣化
- 歯科医院側の問題
それぞれを解説していきます。
不適切なセルフケア
治療が完了したあとはさまざまなトラブルを回避するため、自分でインプラントをしっかりケアすることが非常に重要です。ケアを怠ってしまったり、正しいケアが行えていないと、インプラントが抜ける原因であるインプラント周囲炎を発症します。
インプラント周囲炎とはインプラントの周囲にある歯茎や骨が細菌感染を起こし、さまざまな症状を引き起こす疾患です。
インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります。
- 歯茎が腫れて赤くなる
- 出血する
- 排膿する
- 痛みがある
- 歯茎が痩せる
- インプラントがぐらつく
インプラント周囲炎の原因は口腔内細菌です。また、歯周病の原因菌がインプラント周囲炎を助長させることがわかっています。これらの細菌は、歯磨きが不十分なことで歯に付着するプラークに含まれていることから、正しい歯磨きを行い、細菌の増殖を防ぎ、感染を予防する必要があります。
インプラントが抜ける原因となるインプラント周囲炎を防ぐため、以下のことに注意してセルフケアを行いましょう。
- 力が入らないようペンを持つように歯ブラシを持つ
- 細かく動かして磨く
- デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシを併用する
- 食後に歯を磨く
上記のセルフケアは、インプラント周囲炎だけではなく、歯周病予防にもつながります。
メンテナンスを怠った
インプラントと治療が完了したあとは、定期的にメンテナンスが必要です。
メンテナンスでは主に行われることは以下のとおりです。
- インプラントや歯茎などの確認・検査
- ブラッシング指導
- 歯石の除去
- クリーニング
歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントが抜けるといったトラブルにつながりやすくなります。インプラントを長持ちさせるためには、トラブルを未然に防ぎ、口腔内を清潔に保つことが大切です。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な力をかけ、大きなダメージを与えます。
天然歯の歯根には歯根膜と呼ばれる薄い膜があり、噛んだ圧力を吸収・分散させる役割を果たしています。インプラントには歯根膜がなく、歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がダイレクトに歯茎や骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こし、インプラントが抜ける原因にもつながります。
本来であれば、インプラント治療を始める前に歯ぎしりや食いしばりを緩和する治療を行うのが理想的です。
ただし、インプラント治療後に発症した場合は、マウスピースをするなどして対処します。
噛み合わせの不具合
インプラントの噛み合わせが悪いと、過度な負担がかかった状態が続きます。結果的に、インプラントの動揺や歯茎の炎症を引き起こすため、噛み合わせに違和感がある場合は歯科医師に伝えて調整してもらいましょう。
また、治療直後は咬み合わせに問題がなくても、生活していくうちに変化が現れることも珍しくありません。噛み合わせを確認するためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。
喫煙
喫煙者のインプラント脱落率は、非喫煙者と比較しておよそ2倍と言われています。喫煙がインプラント周囲炎を引き起こす原因となるためです。
タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させます。また、口腔内を乾燥させ、唾液の持つ抗菌作用・殺菌作用・自浄作用を弱めます。これらのことが細菌感染のリスクを高め、インプラントが抜ける原因ともなるインプラント周囲炎を引き起こすのです。
ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。それによって埋め込んだインプラントと顎骨との結合を阻害し、トラブルを引き起こすリスクを高めます。
喫煙は歯周病を悪化させる原因にもなるため、インプラントだけではなく、ほかの歯にも悪影響を与えます。インプラント治療を始める前に禁煙するのが望ましいでしょう。
インプラントの劣化
接着したセメントの劣化で上部構造が外れることがあります。またスクリュー式のアバットメントの場合は、ネジのゆるみや締め付け不足で抜けることも考えられます。
上部構造やアバットメントに問題がなければ、装着のし直しやネジの締め直しで対処できる可能性が高いです。
歯科医院側の問題
インプラントが抜けるなどのトラブルは、不適切な手術によっても起こります。手術前の検査・診断ミスで、顎骨が少なかったりインプラント周囲炎の要因があったりする患者に手術をすると、骨とインプラントの結合が悪くなり、トラブルが起こるリスクは高まります。
また、質の悪いインプラントを使用することによるトラブルもあちを絶ちません。対処法としては、インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医師か、感染対策や事前検査をしっかり行なっている歯科医院かを確認することが大切です。
インプラントが抜けてしまった際の注意点
万が一インプラントが抜けたときは、自己判断で対処せずに必ず歯科医院に連絡しましょう。
歯科医院での治療がスムーズに進むよう、以下のことに注意してください。
- どこの部分が抜けたかを確認する
- 抜けたまま放置しない
- 抜けたインプラントを戻さない
- 瞬間接着剤などで固定しない
それぞれを解説していきます。
どこの部分が抜けたかを確認する
前述のとおり、インプラントは3つのパーツで構成されています。
抜けた部分がどこなのかによって原因と対処法が異なります。どの部分が抜けたのか・残った部分は問題ないのか、鏡を使って見るなどして確認しましょう。
抜けたまま放置しない
歯科医院に行くのが面倒といった理由で、抜けたまま放置しないようにしましょう。
審美性や機能性が低下するだけではなく、インプラントが抜けたことでできた「すき間」から細菌が入り、炎症を起こすことがあります。再治療が不可能になる場合も考えられるため注意してください。
抜けたインプラントを戻さない
無理に戻そうとするのは避けてください。細菌感染したり、抜けたパーツを誤飲したりする恐れがあります。
瞬間接着剤などで固定しない
瞬間接着剤などを使って固定するのは避けましょう。
自分で接着すると噛み合わせに不具合が生じ、インプラントや周りの歯に負担をかける可能性があります。
抜けたインプラントの保管方法
抜けてしまったインプラントは、歯科医院を受診するまでの間、清潔な容器に入れて保管しましょう。
ティッシュなどに包んで保管する方もいますが、誤って捨ててしまったり、破損したりする恐れがあるため避けてください。パーツを紛失したり破損したりすると作り直しが必要になります。再度、治療する期間や費用がかかることになるため、抜けたインプラントは大切に保管しましょう。
インプラントが抜けて歯科医院を受診する際に伝えること
歯科医院を受診した際に、以下のことを伝えると治療がスムーズに進みます。
- 抜けた日時
- 抜けた際の状況
- 最近のインプラントの状態
- 痛みなどの現在の状態
多くの情報を伝えることで、抜けた原因の追及や処置の選択がしやすくなります。
まとめ
インプラントを長期間快適に使うためにも、抜ける原因になることは避け、定期的なメンテナンスを受けましょう。
インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!