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インプラント治療における歯科医院選びの重要性と選び方!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

優秀な歯医者

インプラント治療において、歯科医院選びは非常に重要です。インプラント治療は虫歯や歯周病治療などの一般歯科とは異なり、外科手術が伴うため、より高度な知識と技術が求められます。

今回は、インプラント治療における歯科医院選びの重要性と、選び方について詳しく解説します。

インプラント治療における歯科医院選びの重要性

歯の治療

インプラントは外科手術を伴う治療です。そのため、一般的な歯科治療よりも高度な技術が要求されます。

安全にインプラント治療を進めるには、歯科医院選びが非常に重要です。インプラント治療における歯科医院選びの重要性は、以下のとおりです。

インプラントが脱落する可能性がある

インプラント治療においては、顎の骨とインプラントが適切に結合しないと、最悪の場合インプラントが抜け落ちるリスクがあります。ドリルによるオーバーヒートが、失敗の一因です。

骨に穴をあける際にドリルが過度に加熱されると、骨組織にダメージを与えるのです。インプラントと顎の骨の安定した結合が妨げられる可能性があります。

インプラントの固定が不完全になり、抜け落ちる原因となります。適切な速度でのドリリング、冷却システムの使用、医師の経験と技術が、インプラントが脱落するリスクを最小限に抑えるために重要です。

また、インプラント体を埋め込む際の位置決めも極めて重要です。角度や深度が正確でない場合、インプラントと顎の骨が適切に結合できず、インプラントが不安定な状態になる恐れがあります。

不安定なインプラントは通常よりも負荷を受けやすくなり、ぐらつきや脱落につながるのです。正しい位置にインプラントを埋め込むことは、インプラントの成功と長期的な安定にとって不可欠です。

神経損傷のリスクがある

インプラント治療を受ける際、下顎の重要な神経である下歯槽神経を傷つける可能性があります。主に、歯科用CTを使用して歯・神経・血管の位置を事前に正確に把握していない場合に発生します。

しかし、先進的な医療機器を完備し、適切な事前検査を実施する歯科医院を選べば、神経損傷のリスクを大幅に減らすことが可能です。

上顎洞へ迷入するリスクがある

上顎は下顎骨に比べて骨壁が薄く、特に臼歯部では歯槽骨の高さが不足していることが多いです。構造的な特徴を考慮せずにインプラントを強引に埋め込むと、インプラント体が上顎洞へ侵入するリスクが高まります。

上顎洞内へのインプラント体の迷入は、上顎洞内での炎症を招く可能性があるでしょう。再手術を行って摘出する必要があります。

インプラント治療を行う前に上顎洞の構造を十分に評価し、適切な計画を立てることが重要です。

被せ物が外れる

インプラント体は、骨に埋め込むインプラント体と被せ物から構成されています。インプラント体と被せ物の連結部にあたるのが、アバットメントです。アバットメントの適切な締め付けによって、しっかりと物を噛むことが可能になります。

アバットメントの締め付けが不適切だと、被せ物が外れるリスクが高まります。さらに、噛み合わせの適切な調整がなされていない場合、インプラントに過度な負荷がかかり、被せ物が外れる原因になるでしょう。

インプラント治療を行う歯科医院では、適切な締め付け技術と噛み合わせの調整技術が必須です。

インプラント治療を受ける歯科医院の選び方

歯医者選び

では、安心してインプラント治療を受けられる歯科医院の特徴はあるのでしょうか。インプラント治療を受ける際の歯科医院の選び方について解説します。

説明が丁寧に行われる

初診時のカウンセリングや問診は、医師の対応を見極める大切な機会です。医師が患者様の話を丁寧に聞き、直接目を見て話してくれるか、専門用語を使わずにわかりやすく状況を説明してくれるかを注意深く確認しましょう。

医師が患者様の不安を理解し、信頼できる関係を築こうとする姿勢があるかを見極めましょう。

高品質なインプラントを採用している

インプラント治療の費用は、歯科医院によって異なります。1本あたり100,000~150,000円の低額から、高い場合は600,000円以上と幅広いです。

治療の品質を保証する判断基準として、インプラント体の実績や信頼性が挙げられます。国内外の多くのメーカーのなかでも、特にシェアが高いとされる3大インプラントメーカーの「ストローマン社(スイス)」「ノーベルバイオケア社(スイス)」「デンツプライシロナ社(スウェーデン)」の製品は、高い評価を受けています。

異常に低価格を打ち出している歯科医院では、品質が劣るインプラントを使用している可能性があるでしょう。将来的に追加の手術や治療が必要となることがあるため、費用だけでなく治療品質も考慮して歯科医院を選ぶことが重要です。

設備が充実しており衛生管理を徹底している

清潔な環境は、医療において非常に基本的な要素です。特に、感染予防は外科手術を含むインプラント治療において不可欠でしょう。

手術中に行う医療行為や出血などにおける感染リスクを最小限に抑えるために、衛生管理が徹底された歯科医院を選ぶ必要があります。

インプラント治療を成功させるには、最新の検査機器が重要です。CTスキャナーや口腔内スキャナーなどの設備が整っているかを確認しましょう。

CTスキャナーや口腔内スキャナーなどの機器を使用して、骨の厚さや神経、血管の位置、噛み合わせの状態などを詳細に把握することで、より安全で精度の高い治療計画を立てることができます。

歯科医院の設備に関する情報は、ホームページやパンフレットに詳細に掲載されていることが多いです。治療を受ける前に、必ず確認しましょう。

保証制度が充実している

インプラント治療に関する保証制度は、多くのメーカーや歯科医院によって提供されています。一般的には、約5~10年とされています。

保証制度がしっかりと設けられていることは、歯科医院の患者様に対する誠実な取り組みや思いやりを示す要素の一つです。治療の品質や技術に自信が持てない場合、長期の保証を提供することはリスクになるでしょう。

そのため、保証制度の有無や内容を確認することで、歯科医院の信頼性や治療の質をある程度見極めることができます。保証では、インプラント体の素材の欠陥や施術の不具合をカバーすることが多いですが、定期的なメンテナンスが条件となる場合もあります。

保証の範囲や条件、必要なメンテナンスの頻度などを理解しておくことが重要です。

料金体系が明確に示されている

インプラント治療は自費診療に該当するため、治療内容や期間、費用は歯科医院によって異なります。また、統一された制限が存在しません。歯科医院によって提供する治療内容や価格設定に大きな差が生じることがあります。

費用の不透明さはトラブルを招く原因になりやすいため、治療前には費用の明細、支払い条件、追加費用が発生する可能性について十分な説明を受けることが重要です。費用に関する透明性は、歯科医院を選ぶ際の重要な判断材料の一つとなります。

すべての情報を把握し、予想外の出費に直面することのないように注意しましょう。

通いやすい立地にある

インプラント治療を受ける際は、治療内容や歯科医師の技術のほか、通院のしやすさも大切な要素です。インプラント治療は複数回の通院が必要になることが多く、遠方の歯科医院だと負担に感じる可能性があります。

ご自宅の近くや、交通の便がよい場所にある歯科医院を選ぶことで、治療期間中のストレスを減らせるでしょう。通院しやすい歯科医院であれば、インプラント治療後のフォローアップや定期検診もスムーズに受けられます。

治療経験が豊富である

インプラント治療においては、歯科医師の経験が治療成果に直結します。特に、患者様の骨の状態がインプラント治療に適していない場合、骨造成といった高度な技術が求められるでしょう。

複雑な手術を成功させるには、理論的な知識に加えて実践的な経験が不可欠です。経験が豊富な医師による治療は、成功率が高くなると考えられます。

そのため、インプラント治療を検討している方は、歯科医師の扱った症例数を確認し、どの程度の実践経験を有しているかを把握することが重要です。経験豊かな医師であればあるほど、複雑で困難なケースにも対応できる可能性が高まります。

インプラント治療以外の知識も豊富である

インプラント治療は、単に失った歯を補うだけのものではありません。口腔内全体の健康を考慮した総合的なアプローチが求められます。

インプラントを長持ちさせるためには、歯周病の予防や治療、正しい噛み合わせの確保など、さまざまな歯科治療の知識と経験が必要です。また、セラミック治療などの高度な技術を必要とされることもあるでしょう。

歯科医院選びの際は、歯科医師の総合的なスキルや経験を確認することが大切です。歯科医院のホームページなどで、歯科医師の経験年数や経歴、得意とする分野、取り組んできた症例などの情報をしっかりと確認しましょう。

医師が定期的に研修会などに参加している

医療は日進月歩で進化しています。3年前や5年前の技術や知識で、現代の治療を提供し続けるのは困難といえます。

歯科医師が常に最新の治療法や技術を学ぶためには、研修会や勉強会への参加は不可欠です。職務に真摯に取り組む歯科医師たちは、研修会などを活用して自らのスキルをアップデートしています。

治療を受ける際は、最新の知識と技術を持つ医師から治療を受けたいと望むでしょう。定期的に研修や勉強会に参加し、自らの知識を更新している歯科医師を選ぶことが、よりよい治療結果につながります。

スタッフの対応が丁寧である

インプラント治療は長期間にわたることが多いため、選ぶ歯科医院の環境やスタッフの対応が治療体験に大きな影響を与えます。通院がストレスの原因となる場合、治療の継続が困難になる可能性があるでしょう。

治療を受ける際、歯科医院のスタッフがチームとして円滑に業務を遂行しているか、患者様とのコミュニケーションが適切にとれているかなどを確認しましょう。スタッフ間の関係が良好で焦りや混乱が見られない歯科医院は、安心して治療を任せられるでしょう。

まとめ

歯科医院のスタッフ

インプラント治療において歯科医院を選ぶ際は、多くの要因を考慮する必要があります。治療の技術や知識は日々進化しているため、歯科医師が定期的に研修会などに参加しているか確認しましょう。最新の知識を持っているかを確認することが大切です。

また、信頼されているメーカーのインプラント体を使用しているかどうかも重要なポイントです。あまりに安すぎる治療費は、品質に問題がある可能性があるので注意しましょう。

インプラント治療は手術して終わりではなく、その後のフォローアップや継続的なケアが必要となります。通いやすさなど、長期的な視点で歯科医院を選ぶことが大切です。

インプラント治療にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療後に頭痛がする原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

ソファに座って頭を抑える女性
「インプラント治療後に頭痛がする」「インプラント治療後に頭痛がする場合はどうしたらいい?」など、インプラント治療後の頭痛に悩まされる方もいるでしょう。インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で、頭痛がすることがあります。

今回は、インプラント治療後の頭痛の原因や対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

インプラント治療後に頭痛がする原因

顎に手を当てて考える男女

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛が起きる場合があります。インプラント治療後に頭痛がする原因は、以下のとおりです。

噛み合わせに問題がある

インプラント治療では骨格などを考慮して噛み合わせを調整しますが、インプラント治療後に噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪いと顎の周りの筋肉が緊張し、頭痛を引き起こすでしょう。

顎の関節にも負担がかかるため、顎の痛みや開口障害などの症状が現れる顎関節症を発症する可能性もあります。噛み合わせが悪くなる原因は、以下のとおりです。

インプラントのぐらつき

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジが緩むと、人工歯がぐらつきます。インプラントにぐらつきがあると、歯並びや噛み合わせが悪くなって頭痛を引き起こすのです。

アバットメントのネジが緩む原因は、強い力がかかったことによる金属疲労や、上部構造(人工歯)に不具合があること、歯がすり減ったことなどが挙げられます。顎関節がずれたことや、インプラント周囲炎の影響で骨吸収が進んだことも、アバットメントのネジが緩む原因になるでしょう。

人工歯のすり減り

インプラントを長期間使用すると、人工歯がすり減ることがあります。人工歯がすり減ると、噛み合わせが悪くなるでしょう。特に食いしばりや歯ぎしりの癖がある方はインプラントに強い力がかかるため、人工歯がすり減りやすいです。

上顎洞炎になっている

インプラント治療では、上顎洞という部位に炎症が起きることがあります。上顎洞とは、鼻の周りにある副鼻腔という空洞のうち、頬の内側にある空洞です。

上顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む際に、上顎洞内にインプラント体が迷入したことや、インプラント体が上顎洞を穿通したことなどが原因となります。

上顎洞では頭痛のほかに、鼻づまりや発熱などの症状が現れるのが一般的です。鼻から膿が出る、鼻の奥に違和感を覚える、目がだるい・重いなどの症状を訴える方もいます。

インプラント周囲炎になっている

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの組織が細菌感染による炎症を起こしている状態です。重度のインプラント周囲炎では、顎の骨が溶けてインプラント体が不安定になり、噛み合わせに悪影響を及ぼします。

インプラント周囲炎は、口内のケア不足、歯科医院でのメンテナンス不足などが原因になることが多いです。進行すると歯がグラグラと動揺し、最悪の場合抜け落ちるため早期治療が大切です。

初期の段階では自覚症状がありませんが、進行すると歯茎の赤み、腫れの症状が現れ、歯茎から出血する場合もあります。歯茎から膿が出る、歯茎が痩せる、噛み合わせが合わなくなるなどの症状が現れる方も多いです。

インプラントを入れたところが痛む、インプラントが動揺しているなどの症状がある場合は、インプラント周囲炎が進行している可能性があるので、歯科医院を受診してください。

インプラント治療後に頭痛がする場合の対処法

歯科医院で治療をする男性歯科医師

インプラント治療後に頭痛がする場合は、原因に合わせて対処する必要があります。頭痛がする場合の対処法は、以下のとおりです。

噛み合わせを調整する

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジに緩みがある場合は、上部構造を外してネジを締め直し、噛み合わせを改善します。ネジの緩みは、レントゲンで容易に診断可能です。

人工歯のすり減りが噛み合わせに影響している場合インプラント体の調整は必要ありませんが、上部構造のみ交換します。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯や顎への負担を軽減するためにマウスピースの装着が必要になる場合もあるでしょう。

上顎洞炎を治療する

上顎洞炎を放置すると炎症が広がり、中耳炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。上顎洞炎が疑われる場合は、すぐに歯科医院を受診し早期治療を行うことが大切です。

インプラント治療後に上顎洞炎になった場合は、以下の治療を行います。

薬物療法

抗菌薬・鎮痛薬を服用して炎症や痛みを抑える治療です。上顎洞炎が慢性化すると、長期にわたる服用が必要になるでしょう。

歯科治療

薬物療法と併せて、感染源を除去する治療を行います。上顎洞内にインプラント体が入り込んでいる場合は、インプラント体の摘出が必要です。

上顎洞洗浄療法

内服治療で炎症が改善しない場合は、耳鼻科で上顎洞洗浄療法という治療を行います。上顎洞内に針を刺し、生理食塩水と抗生剤で上顎洞を洗浄する治療法です。

外科的治療

内服治療や上顎洞洗浄で炎症が改善しない場合、外科手術を行います。行われる外科手術の方法は、以下のとおりです。

  • 上顎洞根治手術

歯肉を切開して骨に穴をあけ、炎症が起きている上顎洞の粘膜を除去する「Caldwell-Luc法(コールドウェル-ラック法)」と、骨を広範囲に削る「Denker法(デンカー法)」があります。

  • 内視鏡下鼻内手術

副鼻腔の開口部を広げて炎症による閉塞を解除し、換気・排泄を促して炎症を改善する治療です。内視鏡鼻内手術では、上顎洞に迷入したインプラント体を摘出することもできます。

インプラント周囲炎を治療する

インプラントの脱落を防ぐためには、インプラント周囲炎の早期治療が大切です。インプラント周囲炎の治療は、非外科的療法と外科的療法の2つに分けられます。

非外科的療法

非外科的治療では、インプラント周囲の炎症を抑えるために行われる治療です。主に行われる内容は、以下のとおりです。

  • 周囲の歯石除去
  • 歯周ポケット内の洗浄と薬剤の注入
  • 抗生物質の投与
  • ブラッシング指導
  • 生活指導

喫煙やストレスの蓄積は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。生活習慣を改善するために、指導を行うことがあるでしょう。

インプラント周囲炎の予防・改善には、毎日の口腔ケアが非常に重要です。正しいブラッシング方法を身に付け、口腔ケアの質を高めましょう。定期的に歯科医院を受診して、歯をクリーニングしてもらうことも重要です。

外科的治療

インプラント周囲炎が進行して歯槽骨の吸収が進んでいる場合は、外科的治療を行います。

歯茎を切開してインプラント体の表面を清掃・殺菌するのが一般的です。感染した組織を取り除く場合や、インプラントを除去する場合もあります。

骨の再生が必要なケースでは、自分の骨や人工骨を用いて骨移植を行うでしょう。骨形成を妨げる繊維芽細胞が入り込まないよう、メンブレンという人工膜で覆って歯槽骨の再生を待ちます。

まとめ

インプラントの模型を持って説明する歯科医師

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛がすることがあります。

原因の一つであるインプラント周囲炎は予防できるため、毎日の口腔ケアを徹底しましょう。歯科医院で定期的にメンテナンス・クリーニングを受けることも重要です。

頭痛の原因によっては、インプラントの除去や外科手術が必要になる可能性もあります。早期に原因を把握し、治療を行うことが大切です。インプラント治療後に頭痛などの症状がある方は、歯科医院を受診して原因を把握し対処法を相談しましょう。

インプラント治療後の頭痛にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントがぐらつくときはどうしたらいい?原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントのレントゲン写真

一度埋入すると安定して使用できるインプラントですが、さまざまな原因によってぐらつく場合があります。インプラントの手術では、顎の骨の厚さやしっかりと結合することなど、さまざまな問題をクリアして初めて手術が成り立つため、どこかが不十分であるとインプラントの効果が失われてしまいます。

今回は、インプラントがぐらつく原因と対処法について解説します。インプラントにトラブルがあった場合に正しい対処ができるよう、ぜひ参考にしてください。

インプラントがぐらつく原因

斜めに浮かんだインプラント

インプラントがぐらつく原因はいくつかあり、どれも起こりうるものです。ぐらつく場合は、いずれかを疑ってみるとよいでしょう。順番に解説します。

インプラント周囲炎が進行している

インプラントがぐらつく主な原因の1つに、インプラント周囲炎があります。インプラント周囲炎は、インプラントに接触する歯茎部分に炎症が起こる状態で、歯周病に似た症状ともいえるでしょう。

インプラント周囲炎が起こると、インプラントを支える歯槽骨が破壊され、これが引き金となり、インプラントがぐらつき始めます。インプラント周囲炎が進行すると、最終的にはインプラントがはずれてしまうことがあります。

インプラント周囲炎は、口腔内の清掃状態・全身の健康状態・喫煙の有無など、さまざまな要因により引き起こされます。特に、口腔環境が悪化すると、細菌の繁殖が原因でインプラント周囲炎を発症しやすくなるため注意が必要です。

骨結合が不十分である

インプラントがぐらつく主な原因の1つに、骨結合が不十分であるということが挙げられます。

インプラント治療は人工の歯根を顎の骨に埋め込むもので、歯根と骨とがしっかりと結合しなければなりません。これにより、自然な歯のように噛む力を分散し、健康な口腔環境を維持することができるのです。

しかし、いくつかの要因から骨とインプラントの結合が不十分な場合、ぐらつきを感じることがあります。例えば、手術後の経過や術者の技術、インプラントの材質や形状、患者さま自身の骨の質や健康状態などが影響を及ぼします。具体的には、骨の吸収が進行することや骨が薄くなるなど、インプラントがしっかりと固定されず、ぐらつくことがあるのです。

また、全身の健康状態や口腔内の衛生状態がよくないと、うまく骨と結合しないこともあります。

骨の厚みが足りていない

インプラントがぐらつく原因の1つに、骨の厚みが足りていないことが考えられます。

インプラントを安定させるためには適切な骨の厚みが必要ですが、骨の厚みが不十分な場合、インプラントは適切に固定されず、ぐらつきを感じることがあるでしょう。具体的には、歯を失うとその部分の骨が徐々に吸収されてしまいます。その結果、骨の量が減少し、骨の厚みが足りなくなることがあります。

インプラントを支えるための基盤が弱くなり、インプラントはその位置を保つことが困難になるのです。

アバットメントが緩んでいる

インプラントがぐらつく原因として考えられる原因の1つは、アバットメントが緩んでいることです。

アバットメントとは、インプラント体と義歯の間につけられるパーツで、インプラント体を安定させ、義歯をしっかりと支える役割を担っています。

しかし、何らかの理由でこのアバットメントが緩んでしまうと、インプラント体の安定性が失われ、ぐらつきを引き起こします。この緩みは、適切なケアがされていない場合や口腔内の炎症などが原因で起こることがあるのです。

また、ものを噛む際の力や角度、アバットメントの装着時の問題など、さまざまな要因が関与することもあります。

インプラントがぐらつくときにしてはいけないこと

NOの文字

インプラントがぐらつくときにしてはいけない対処法があります。状況を悪化させてしまう可能性があるため、以下で解説することは避けましょう。

インプラントを触る

インプラントがぐらつく症状が現れた場合、無理に触ることや押すことは絶対に避けましょう。これらの行為により、痛みや腫れを悪化させる可能性があります。

ぐらついているインプラントを手でいじると、インプラントがさらに移動してしまう場合があります。また、インプラントにある程度の圧力がかかったために起こる可能性のある、骨や周辺組織への損傷のリスクも増加するでしょう。

口腔内は細菌の多い場所です。手や指から細菌がインプラント周辺に移ると感染症の原因につながることもあるので注意しましょう。

インプラントの部分で噛む

インプラントがぐらつくと感じた時、絶対に避けなければならない行動は、ぐらつくインプラントの部分で噛むことです。

インプラントは自然な歯と同じように機能しますが、一度ズレやぐらつきがあると感じた状態で無理やり噛むと、さらに状態が悪化する可能性があります。インプラント自体の損傷だけでなく、その周りの歯肉や顎骨にも悪影響を及ぼし、炎症や感染症を引き起こす原因になることもあるのです。

また、インプラントが完全に動かないよう固定されていた場合でも、噛むことにより外れてしまうおそれもあります。

外れた部品を自分で取り付ける

インプラントがぐらつくときに、ご自身で問題を解決しようとすることはやめましょう。特に、外れた部品を自分で取り付けることは避けてください。素人が行うと、間違った方法で取り付ける可能性があります。

また、不適切な処置によって、感染症を引き起こしたりインプラントの部品を壊したりすることもあるため注意が必要です。

インプラントがぐらつくときの対処法

歯を治すイメージ

インプラントがぐらつくときの原因や避けたい行動について理解したうえで、ここでは実際の適切な対処法について解説します。ぜひ覚えておきましょう。

ゆるんでいるねじを締める

インプラントがぐらつく原因の1つに、ねじがゆるんでいる場合があります。長期間の使用や噛む力の過度な負荷などで発生するのです。

この問題を解消する基本的な対処法としては、ねじを締める方法があります。ゆるんでいるねじがあったら、ご自身で触る前にまずは担当の歯科医師に相談しましょう。専用の工具を使って正確にねじを締めてもらうことで、ぐらつきが改善されます。無理に自力で締めようとせず、専門的な介入を受けることが大切です。

インプラント周囲炎の治療をする

インプラントがぐらつく原因の1つに、インプラント周囲炎があります。これはインプラントと歯茎の間に細菌が侵入することで起こる炎症です。

対処法としては必ず早めに担当の歯科医師に診察してもらうことが重要です。早期発見・早期治療が進行を抑える鍵となるでしょう。治療方法には、専用の器具を使用した細菌の除去、抗生物質の使用、悪化した場合は手術などが考えられます。

インプラントの再手術をする

インプラントがぐらつく場合の対策の1つが、インプラントの再手術です。

再手術は、まずインプラントを抜き、必要な治療を行います。感染が原因の場合は抗生物質などで治療し、骨が十分に回復したあとに再びインプラントを挿入します。一度インプラントが固定されたあとも、定期的な検診が必要です。

噛み合わせを調整する

インプラントのぐらつきには、不適切な噛み合わせが原因となることも多くあります。インプラントと自然歯が正しく噛み合うように調整することが大切です。

まず、担当の歯科医師に相談し、具体的な原因を確認してもらいましょう。顎の形状や使い方、自然歯との関係性など、さまざまな要素がインプラントのぐらつきを引き起こしている可能性があります。

正確な噛み合わせは、インプラントの寿命を延ばすためにも重要です。問題が発生したら、すぐに歯科医師に相談しましょう。

インプラントを除去する

インプラントがぐらつくときの対処方法として、インプラントの除去という手段もあります。

ぐらつきが見られる場合には、早期に担当の歯科医師に相談することが重要です。ぐらつきがひどい場合や、痛みを伴う場合にはインプラントを除去する治療を選択することもあります。

ただし、これは最終的な選択肢で、通常はほかの治療方法を検討します。この判断は担当の歯科医師と相談のうえで決定しましょう。

インプラントがぐらつくのを予防する方法

レントゲン写真で説明する歯科医

インプラントがぐらつくことにならないよう、日頃から取り組める予防法があります。日々、口内のケアを行う際に心がけておくことで、安定した状態で使い続けられるでしょう。

歯科医院での定期的なメンテナンスを受ける

インプラントのぐらつきを予防する有効な方法の1つは、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることです。

インプラントは定期的なクリーニングとチェックアップが欠かせません。インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぐため、歯科医師による定期的な検診とメンテナンスがおすすめです。ホームケアも重要ですが、専門的なケアにより問題が早期に発見・対処され、インプラントの寿命の延長が可能です。

自宅でしっかり歯磨きをする

インプラントがぐらつく主な原因は、口腔内の衛生状態が悪くなることによる感染や歯周病により歯槽骨が溶けることです。これらの症状を予防する最適な方法は、自宅でのしっかりとした歯磨きです。

特に、就寝前の歯磨きは大切であるため、食べカスや細菌の除去はしっかり行いましょう。その際は、フロスやインターデンタルブラシを使うことも有効です。

違和感や異変に気付いたらすぐに歯科医院に相談する

インプラントがぐらつくのは、装着後のケアや生活習慣、口腔内の状態などが原因となることが多いでしょう。防止策として、日々の口腔ケアを行うことが必要です。

ブラッシングやフロスは日常的に欠かさず行い、食物の残りや細菌の繁殖を防ぎます。加えて、適切な食事、禁煙、定期的な歯科検診も重要です。食事は硬すぎる食べ物は避け、栄養バランスのよいものを心がけましょう。

さらに違和感や異変があった場合、すぐに歯科医院に相談しましょう。早期発見・早期治療で大きな問題を防げます。

まとめ

歯科医院で笑顔の女性患者

インプラントがぐらついた際には、焦ってしまう患者さまも多いでしょう。

しかし、間違った対処を行うと、さらに状況を悪化させることになる可能性もあります。慌てずに適切な対処を行い、早めに担当の歯科医師に相談することで、ぐらつきを改善できます。

また、日々の生活の中で、口内ケアを行う、定期的にメンテナンスを受けるなど、ぐらつきを予防できる方法もあります。インプラントがぐらついたら、放置しておかずに早めに歯科医院に相談し、見てもらいましょう。

インプラントがぐらつくことでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントと差し歯は何が違う?特徴やメリット、治療の流れを解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型

「虫歯で歯を失ってしまったけれど、インプラントと差し歯はどちらの治療法がいいのだろうか」このようなお悩みはございませんか。

虫歯や歯周病が原因で歯を失ってしまった場合の治療法として「インプラント」や「差し歯」を提案されることがあるかもしれませんが、違いがよくわからない方も多いでしょう。

今回は、インプラントと差し歯の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。どちらの治療を受けるか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントとは?

3本のインプラント

まず、インプラントについて以下の項目に分けて解説します。

  • インプラントの特徴
  • インプラントのメリット
  • インプラントのデメリット

以下、それぞれ解説します。

インプラントの特徴

インプラントとは、セラミックやジルコニアなどの素材を使用して人工の歯を作製し、失った歯を補う治療法です。

インプラントを行うには、もとの歯が根っこの部分から欠損していることが必須条件です。もし歯の根っこが残っていたとしても、抜歯すれば行うことができます。

インプラントは、噛む力や見た目は天然の歯と非常に似ており、機能性・審美性に優れている特徴があります。

ただし、治療は保険適用外となってしまうため、歯科医院によっては治療費が高くなるかもしれません。

インプラントのメリット

インプラントの主な3つのメリットは、以下のとおりです。

  • 天然の歯に近い噛み心地を得られる
  • 見た目が自然で違和感がない
  • ストレスなく日常生活を送れる

インプラントで作られた歯は、天然の歯と非常に近い見た目や機能性があります。

インプラントで歯を作る際に使用されるセラミックやジルコニアといった素材は、天然の歯のような色や透明感を作りやすいのです。そのため、食べ物が噛みにくい、人と会話をする際に笑顔を作るのが恥ずかしいということを気にしながら生活する必要がありません。

インプラントは、天然の歯と変わらない感覚で過ごせるため、大きなストレスを感じることもないでしょう。

インプラントのデメリット

インプラントの主な2つのデメリットは、以下のとおりです。

  • 費用が高くなりやすい
  • 歯周病が進行しても気づきにくい

インプラントの最大のデメリットは、費用が高額という点です。インプラントは基本的に自由診療であり保険が適用されないため、治療費の全額を自費で支払わなければいけません。多くの方がふだんは3割負担で支払っているものを、10割負担で支払わなければいけないのです。差し歯や入れ歯よりも費用が高くなり、経済的な負担がかかるでしょう。

また、インプラントは人工の歯を作製するため虫歯になることはありませんが、気づかない間に歯周病が重症化して、かなり悪い状態で発見される可能性があります。ご自身の歯であれば神経が残っているため痛みなどの症状がありますが、人工の歯は痛みを感じることがないため、早期発見が難しいのです。

インプラントで人工の歯を埋め込んだ場合、通常の歯よりもお口の中に雑菌がたまりやすい状態となるため、より歯周病のリスクが高まります。不安定な口内環境で健康な歯を維持するには、毎日のお手入れが非常に重要です。

差し歯とは?

差し歯を入れ込もうとしている

次に、差し歯について以下の項目に分けて解説します。

  • 差し歯の特徴
  • 差し歯のメリット
  • 差し歯のデメリット

以下、それぞれ解説します。

差し歯の特徴

差し歯は、残っている歯の根っこの上に被せ物を装着することで失った歯を補う治療法です。差し歯の治療をするには、歯の根っこが残っていることが条件です。

差し歯といわれると、人工の歯を歯茎に差し込むイメージをおもちの方が多いかもしれませんが、それはインプラントにあたります。

差し歯のメリット

差し歯の主な2つのメリットは、以下のとおりです。

  • 費用をおさえられる
  • 治療期間が短く負担が少ない

差し歯の治療は、インプラントと違って基本的に保険が適用されるため、費用をおさえられることがメリットのひとつです。

また、治療内容も大がかりなものではないため、インプラントよりも数か月~1年ほど治療期間が短くなります。インプラントよりも費用と期間をかけず、手軽に治療できるでしょう。

しかし、差し歯の治療を受けるには、歯根が残っているのが条件です。誰でもできるわけではないため、歯科医師とよく相談して決めましょう。

差し歯のデメリット

差し歯の主な3つのデメリットは、以下のとおりです。

  • 見た目の自然さに欠ける
  • 被せ物が取れないか不安になる
  • まずは歯を治療する必要がある

差し歯は、インプラントよりも見た目の自然さに欠けます。なかには、銀歯になってしまう場合もあるため、食事や会話の際に気になってしまう方もいらっしゃるでしょう。見た目の自然さを求めたいのであれば、セラミックやジルコニアを用いて被せ物を作製することも可能ですが、費用が高くなります。

また、まれに被せ物が取れることがあるため「外れたらどうしよう」という不安を抱えながら生活している方がいらっしゃるのも事実です。

ほかに考えられるデメリットとして、土台の歯の治療が必要となる可能性がある点があげられます。虫歯があれば、虫歯を治療してから被せ物を装着するのです。

治療にかかる時間と苦痛を考えると、抜歯してインプラントを行ったほうがよい場合もあるでしょう。歯科医師とよく相談して、納得のいく治療法を選択しましょう。

インプラントと差し歯の違いを比較

天秤で2つのものを比較する

インプラントと差し歯の違いは、以下のとおりです。

<インプラントと差し歯の違い>

インプラント 差し歯
治療対象者 歯根がない方 歯根がある方
治療期間 3か月〜1年 1〜2か月
見た目 天然の歯のような色や透明感がある 素材によっては見た目が気になる
寿命 10〜15年 7〜10年
治療費用 自費 保険適用(素材によっては自費)

以下、それぞれ解説します。

治療対象者の違い

インプラントと差し歯は似ていますが、治療方法は全く別のものといえるでしょう。

インプラントは歯の根っこがない方向けの治療であり、差し歯は歯の根っこがある方向けの治療です。歯根の有無によって治療方法が選択されるのです。

治療期間の違い

治療期間は、インプラントより差し歯のほうが短いです。歯根があって、できるだけ早くきれいな歯を手に入れたい方は、差し歯が向いています。

インプラントを希望する場合は、治療が完了するまで数か月かかることを理解したうえで、今後の予定に合わせて治療計画を立てていくことが大切です。

見た目の違い

インプラントのほうが天然の歯に近い見た目を手に入れることができます。見た目だけでなく、噛み心地も天然の歯とそれほど変わりません。

見た目と使用感の自然さを重視するのであれば、インプラントがよいでしょう。差し歯の場合は、銀歯になる可能性や、時間がたつと変色する可能性もあります。差し歯は、インプラントと比べると見た目の面では劣るでしょう。

寿命の違い

インプラントのほうが差し歯より寿命が長いです。

インプラントは審美性も維持しながら、長期間使用できます。具体的には、差し歯と比べると3〜5年ほど長持ちします。多少お金をかけてでも長持ちさせたい方は、インプラントがよいでしょう。

治療費用の違い

治療費用は、差し歯のほうがインプラントより安いです。基本的に差し歯は保険適用なので、全額実費のインプラントと比べると費用をおさえることができます。

ただし、見た目の美しさを求めて被せ物の素材にこだわった場合、自由診療となるケースもあるため注意が必要です。

インプラント治療の流れ

フローという文字をあらわす木のブロック

インプラント治療の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 問診・精密検査
  2. 人工歯根没入術
  3. インプラント体の定着期間
  4. 人工歯のセット

はじめに、問診や検査を行い、歯の健康状態の確認や治療方針の決定を行います。少しでも不安なことがあれば、この時点で歯科医師に相談しましょう。精密検査の結果、もし何らかの異常があった場合は、インプラント治療を行う前に事前治療が必要となる場合もあります。

準備が整ったら、いよいよ人工歯根没入術に入ります。歯の土台部分にあたるインプラント体を歯茎に埋め込む処置を行います。

歯根没入術が完了したあとは、約2〜3か月時間をおいて、インプラント体が定着するのを待ちます。歯科医院によっては、インプラント体が定着するまでの期間に仮歯を装着できることもあります。

インプラント体が定着したら、型取りして人工歯を作製し、装着する流れです。

差し歯治療の流れ

手順を踏む様子をブロックの階段であらわしている

差し歯治療の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 問診・精密検査
  2. 差し歯の土台作製
  3. 型取り
  4. 差し歯の装着

インプラント治療する際と同様に、まずは問診や精密検査を行って口腔内の状態を確認し、治療にあたっての希望をヒアリングします。

ひととおり確認して治療方針が決まったら、差し歯の土台作製です。しっかりした土台を作製するため、虫歯がある場合は先に虫歯の治療を行います。

土台が完成したら型取りです。型が完成したら差し歯を装着し、フィッティングに問題がなければ終了します。

インプラントと差し歯、どちらの治療法がいいの?

両手で疑問の様子をあらわす女性

インプラントと差し歯のどちらの治療法がよいかは人によって異なります。一概にどちらの治療法がよいとはいえません。

ただし、歯の根っこが残っている場合はインプラントが実施できないため、差し歯治療が向いているといえます。また、歯の根っこが残っている場合は、インプラントと差し歯治療の2つの選択肢から決めることも可能です。

お口の中の状態を見てもらったうえで、歯科医師と相談してベストな選択をしましょう。

まとめ

ポイントをまとめる歯科医師

今回は、インプラントと差し歯の違いについて解説しました。

それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあります。インプラントは歯根がない患者さま向けで、外見が自然で寿命が長めですが、治療期間が長く、自費のため高い治療費がかかります。一方、差し歯は歯根がある患者さま向けで、外見に素材による差があり寿命が短めですが、治療期間が短く、治療費は基本的に保険適用が可能です。

それぞれの特徴を比較し、よく歯科医師と相談したうえで、ご自身にとって最適の治療法を選択することが大切です。

インプラントや差し歯でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療後の歯磨き!最適なケアで長持ちさせる方法

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントが数本転がっている

インプラント治療は、インプラント体とよばれる歯の根っこに相当するものを顎の骨に埋め込むことにより、失った歯をおぎなう治療方法です。義歯やブリッジと異なり、健康な歯を削ることなく、数十年にわたって使用できます。

しかし、インプラントを長持ちさせるには正しいケアが必要です。今回は、インプラント治療後に必要なインプラントの磨き方や歯磨き粉を選ぶポイントをまとめます。

インプラント治療後の歯磨きの重要性

笑顔で歯を磨いている女性

インプラントの人工歯は虫歯になることはありません。

しかし、インプラント周りの歯茎は、プラークや歯石が溜まり細菌が繁殖しやすくなります。

細菌が繁殖した状態が長くなると、インプラント周囲の粘膜に炎症が起こり、周囲の歯茎の腫れや出血など歯周病に似た症状が生じます。炎症が強くなると、インプラントを支えていた骨が溶け、最悪の場合インプラントが抜け落ちることがあるのです。

日本歯周病学会の調査によると、インプラント治療後に軽度の炎症がある患者は約30%、骨まで溶ける強い炎症が起こる患者は約10%といわれています。つまり、インプラント周囲の炎症は比較的起きやすいと考えられます。

インプラントを長持ちさせるためにも、日常の歯磨きをしっかり行い、インプラントの周りを清潔に保つことが重要です。

インプラント治療後の歯ブラシ・歯磨き粉の選び方

歯ブラシと歯磨き粉

では、具体的にどのような歯ブラシと歯磨き粉を使えばよいのでしょうか。以下、歯ブラシと歯磨き粉の選び方のポイントについてまとめます。

インプラントの清掃に適した歯ブラシを選ぶポイント

歯ブラシの選び方のポイントは、以下のとおりです。

毛先が細い歯ブラシを選ぶ

インプラントと歯茎の間は汚れが付着しやすい部位なので、きちんと磨くために毛先が細い歯ブラシを使用しましょう。また、インプラントと歯茎の境目を磨くには、毛先がひとつにまとまったタフトブラシも非常に有用です。

歯間ブラシやフロスを使用する

食べ物などの汚れは、歯とインプラントの間に溜まりやすい傾向にあります。そのため、歯ブラシだけではなく、歯と歯の間を磨く歯間ブラシやフロスを使用しましょう。

治療後の期間ごとに歯ブラシの硬さを変える

インプラント治療が終了した直後は、歯茎の傷が完全に治っていません。この状態で硬い歯ブラシを使用すると、歯茎が傷つく原因になります。

歯茎の傷が回復するまでは、柔らかめの歯ブラシを使用しましょう。傷口がよくなったあとは、磨きやすい硬さの歯ブラシを使用しましょう。

インプラントの清掃に適した歯磨き粉を選ぶポイント

歯磨き粉の選び方のポイントは、以下のとおりです。

フッ素入りの歯磨き粉は使用しても問題ない

インプラントにはチタンが使われています。フッ素がチタンに結合すると、チタンの表面がザラザラになり、プラークなどの汚れが付着しやすくなります。

しかし、この現象は高濃度のフッ素を使用した場合であり、薬局やコンビニなどで販売されている歯磨き粉はフッ素の濃度が低いです。そのため、インプラント清掃に市販のフッ素入りの歯磨き粉を用いても問題ありません。

大きな研磨剤が入っている歯磨き粉は使用しない

歯磨きの中には、歯の表面の汚れを取るために研磨剤(けんまざい)とよばれる成分が入っています。

研磨剤が大きいとインプラントと歯茎のすき間に入り込み、歯茎の炎症を引き起こすことがあります。そのため、舌で触って研磨剤のつぶがはっきりわかる歯磨き粉はさけましょう。

また、大きな研磨剤が入っている歯磨き粉の成分には、ケイ素や炭酸カルシウムが含まれているので、ケイ素や炭酸カルシウムを含有した歯磨き粉はさけましょう。

歯科医師に相談する

歯磨き粉には、虫歯を予防するのに特化したものや歯茎の炎症をおさえるのに特化したものなど、さまざまな種類があります。

どの歯磨き粉を購入すべきかわからない場合は、歯科医師に相談しましょう。

インプラントの正しい歯磨き方法

歯を磨いている女性

インプラントを長持ちさせるためには、正しい磨き方が重要です。以下、インプラントの正しい磨き方をまとめます。

毛先をうまく使う

効果的な歯磨きの方法は、歯ブラシの毛先を磨きたい場所にあて、毛先を細かく振動させるように磨きます。

インプラントと歯茎の境目を磨くときは、歯ブラシをインプラントの人工歯に対して45度に傾けて磨きます。45度に傾けることで、毛先がインプラントと歯茎の境目に入り綺麗に磨くことができるのです。

歯ブラシの持ち方に注意する

親指、人差し指、中指の3本の指を使い、ペンを持つように歯ブラシを持ちましょう。

この持ち方により、磨いたときに余計な力がかからないため、インプラントを傷つけることなく磨くことができます。さらに、磨くときの角度をコントロールしやすくなります。

磨く順番を決める

磨き残しを防ぐために、歯磨きのときは磨く順番を決めましょう。磨く順番は、一筆書きのように磨くのがよいでしょう。

例えば、最初に右上奥歯の表から左上奥歯の表まで磨きます。その後、左上奥歯の裏から右上奥歯の裏を磨くといったように、順番を決めることで磨き残しを最小限におさえることができます。

フロスで磨いてから歯ブラシで磨く

歯ブラシとフロスを行う場合、フロスで磨いてから歯ブラシを行いましょう。

フロスで磨いたあとに歯ブラシを行うほうが、歯の汚れを効率よく落とすことができ、虫歯予防に効果のあるフッ素が歯全体に行き渡ります。

定期的なメンテナンスでインプラントの寿命を延ばす

インプラントの模型と女性患者

インプラントを長持ちさせるためには、日常生活の歯磨きに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスが必要です。

以下にメンテナンス内容をまとめます。

噛み合わせの確認

噛み合わせを調べる紙を噛んでもらい、インプラントの噛み合わせの状態を確認します。

インプラントの噛み合わせが悪いと、人工歯が割れる原因になるのです。インプラントが強くあたっている場合は、人工歯を削って調節します。

歯茎の確認

インプラント周りの歯茎が腫れていないか、赤くなっていないか確認します。また、インプラントと歯茎の間にある歯周ポケットとよばれるすき間の深さを確認します。

レントゲン検査

レントゲンを撮影し、インプラントを埋めた部位の骨の状態を確認します。

インプラント周りの歯茎の炎症が強いと、骨が溶けていることがあるのです。また、上の奥歯のインプラントに炎症が起こると、上顎洞とよばれる骨の中の空洞の粘膜に炎症が広がることがあります。

レントゲン写真では、上顎洞の状態も確認します。

ブラッシング指導

お口の中を観察し、磨き残しがある場合はブラッシング指導します。

ブラッシング指導では、歯ブラシのあて方やフロスの使い方などを指導します。

歯のクリーニング

歯のクリーニングでは、歯石など日常の歯磨きで取ることのできない汚れを専用の機械で除去します。また、インプラントのクリーニングでは人工歯の部分を取り外し、歯ブラシが届かないところも磨きます。

まとめ

ポイントを指さす男性医師

今回は、インプラント治療後の歯磨きについて解説しました。

インプラントの人工歯は虫歯になることはありませんが、清掃状態が悪いとインプラント周りの歯茎に炎症が起こります。炎症が悪化すると、骨が溶けインプラントが取れることがあります。

こうした事態を防ぐためにも、日頃からブラッシングをきちんと行いましょう。また、インプラントの状態の確認や細かな汚れを取るためにも、必ず定期的なメンテナンスを受けましょう。

インプラント治療後の歯磨きでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントをしたいけどお金がない方へおすすめの方法!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型

従来の治療に比べて、インプラント治療は機能的にも審美的にも優れています。

しかし、インプラント治療は保険が適用されないため、インプラントにしたいけどお金がないとお悩みの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事は、インプラントをしたいけどお金がない方へおすすめの方法を4つご紹介します。インプラントの費用相場や高額になる理由も解説しますので、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療のメリット

メリットをあらわすイメージ図

高額になりがちなインプラント治療の5つのメリットは、以下のとおりです。

 

  • ご自身の歯のようにしっかり噛める
  • 見た目が美しい
  • 周りの歯に影響を与えない
  • 丈夫で長持ちする
  • 顎の骨がやせるのを防げる

 

インプラントの最大のメリットは、失った歯の根の代わりとなり、ご自身の歯のようにしっかり噛めることです。顎の骨に直接インプラント体を埋めこみ、インプラント体の上に人工歯を取りつけるので、しっかり噛めるようになります。

取り外すものではないので、硬いものが食べにくいことや話しづらさを感じることはありません。歯を失ったところに1本ずつ独立した歯を作れるため、ブリッジや入れ歯のように周りの歯に負担をかけないのもメリットのひとつです。

インプラントと従来の治療法の平均寿命を比較してみると、入れ歯が4~5年、ブリッジが7~8年のところ、インプラントは10~15年と長持ちします。インプラントが長持ちする理由は、チタンという素材を使用しているからです。

チタンは金属アレルギーがでない安全素材で、顎の骨と結合しやすい特徴があります。そのため、定期的にメンテナンスすれば、10年、15年と長持ちします。また、インプラントによって顎の骨がやせるのを防ぐことができるので、残っている歯の健康寿命をのばすことにつながります。

インプラント治療にかかる費用

電卓で費用を計算している

インプラントの費用相場は、1本あたり30~50万円(税込)です。

費用に差があるのは、歯科医院ごとに料金設定が異なる自費診療であることと、歯科医院ごとに使用するインプラントの種類が異なるためです。また、インプラントの前に骨を増やす治療が必要となるなど、患者様のお口の状況によってはさらに高額となる場合があります。

インプラント費用をできるだけ安くおさえたいなら、治療前のカウンセリングでインプラント治療にかかる費用や注意点を確認しましょう。

インプラント治療にかかる費用が高額な理由

はてなマークの積み木が並んでいる

インプラント治療にかかる費用が高額になる4つの理由は、以下のとおりです。

1.保険が適用されないため

インプラント治療は、保険が適用されません。そのため、費用が高額になります。

歯を失った際の治療には保険が適用されるブリッジや入れ歯という選択肢があります。

しかし、入れ歯やブリッジは、周りの歯に負担がかかる、しっかり噛めないと感じる場合があり、インプラントに比べると長持ちしないというデメリットがあります。

2.高度な技術が必要となるため

インプラント治療は、歯科医師の高度な技術と経験が必要となるため、費用が高額です。インプラント治療には、インプラント治療前の検査の結果を読み解く力、インプラントを安全かつ精密に埋め込む技術力、人工歯装着後の噛み合わせを想定する力が要求されます。

しかし、高度な技術と経験をもった歯科医師が少ないので、人材確保のため費用が高額になるのです。

3.設備費や材料費がかかるため

インプラント治療は、インプラントを埋めこむために歯茎を切開し、骨を露出させます。

本来、骨は肉に覆われているため細菌感染しませんが、インプラント手術時に細菌感染すると、骨が壊死するなど危険な状態になります。そのため、インプラント治療は、感染対策と徹底した衛生管理が必要です。

また、インプラント治療の成功には良質なインプラントとCTなどの検査設備なども必要となるため、費用が高額になります。

4.治療期間が長くかかるため

インプラント治療は、トータルで6か月~1年程度かかるため、ほかの歯科治療に比べると治療期間が長いといえます。治療期間が長くなる理由は、インプラントを埋めこんだあと、インプラントと顎の骨がしっかり結合するのを待つ期間が必要となるからです。

治療期間には個人差がありますが、上顎で3~6か月、下顎で2~3か月程度かかります。顎の骨との結合を確認できたら、アバットメント装着、人工歯の製作、人工歯の装着の順に治療がすすみます。

このように、インプラント治療は、インプラントと顎の骨が結合するのを待つ期間が長くかかるため、費用が高額になるのです。

インプラント治療を受けるためのお金がない場合

両手で頭をかかえる女性

高額になりがちなインプラント治療ですが、インプラントをしたいけどお金がないとお困りの方もいらっしゃると思います。

以下、インプラント治療を受けるためのお金がない場合の対処法を4つご紹介します。

クレジットカードの利用

インプラントの費用を一括でご用意できない場合、クレジットカードで支払う方法があります。クレジットカードの支払方法は、一括払いだけでなく、分割払い、ボーナス払い、リボ払いなどが可能です。

分割払いの2回払いや夏と冬のボーナスの時期に一括払いできるボーナス払いであれば、手数料がかかることなく支払えます。3回以降の分割払いやリボ払いは、手数料がかかるものの、毎月支払う費用をおさえられるでしょう。

ただし、歯科医院によってはクレジットカード払いに対応していない場合や、対応しているクレジットカードの会社に限りがある場合もあります。インプラント治療を受ける前に、クレジットカードの対応状況を確認しましょう。

デンタルローンの利用

デンタルローンとは、インプラント治療を始めとした歯科治療専門のローンのことです。デンタルローンを利用することで、毎月支払う費用をおさえられるでしょう。

クレジットカードの分割払いなどと同じく手数料はかかりますが、クレジットカードの手数料が15%前後かかるのに対し、デンタルローンは5%前後と安いのがメリットです。

ただし、クレジットカードと同じく、デンタルローンに対応していない歯科医院があることやお金を借りるまでに1週間近くかかることもあるため、注意が必要です。

カードローンの利用

カードローンとは、クレジットカードをもっている方が利用できるローンのことです。

パソコンや携帯電話などから手軽に申し込め、最短で即日でお金を借りられます。また、インプラント治療で追加の処置が必要となっても、追加でお金を借りられるのもメリットです。

しかし、手数料が15%前後と高くなることは理解しておきましょう。

医療費控除の利用

医療費控除とは、インプラント治療を受けた1年間(1/1~12/31)の医療費が10万円を超えた場合に受けられる、税金還付の制度のことです。

確定申告で医療費控除を適用することで、所得税の一部が還付金としてもどってきます。ご自身で確定申告する必要はありますが、結果的にインプラント費用をおさえられるのがメリットです。

医療費控除を適用することでインプラント治療の費用が安くなるわけではありませんが、費用をおさえる方法のひとつとして知っておくとよいでしょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

インプラント治療は、ご自身の歯のようにしっかり噛める、見た目が美しいなどのメリットがあり、従来のブリッジや入れ歯治療よりも優れた治療です。

しかし、保険が適用されないため、治療費が高額になりがちです。また、歯科医師の技術や知識、整った設備や衛生管理などが必要となることも、高額になる理由のひとつです。

インプラントにしたいけどお金がない場合、クレジットカードの分割払い、もしくはボーナス払いで支払う方法があります。また、デンタルローンやカードローン、医療費控除を利用するなどの方法もあります。トータルで治療費がいくらかかるのか知りたい場合は、まずは歯科医院でご相談されてはいかがでしょうか。

インプラント治療でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

骨が少ないけれどインプラントはできる?費用と手術の流れを解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

歯科医師がインプラントを手に持っている

インプラントにしたいけれど「土台となる骨が少ない」といわれたことがある方も多いのではないでしょうか。インプラントにするためには、土台となる骨がしっかりしており、厚みが十分なければいけません。

しかし、骨が少なく厚みが足りないケースはとても多く、場合によってはインプラントを断られてしまうこともあります。

今回は、骨が少ないとインプラントにできないのか、骨が少ない場合の治療方法について解説します。

骨が少ないけれどインプラント治療はできる?

首をかしげて疑問の様子の男性

結論からいうと、骨が少なくてもインプラント治療は可能です。

しかし、そのためには「骨造成」という治療が必要です。

インプラントは骨に土台を埋め込むので、土台となる骨が少ない、厚みが足りないといった場合は、骨の厚みを増やすための骨造成が非常に重要といえるでしょう。骨が少ない=インプラントができないわけではなく、骨が少なくても骨造成を行えばインプラント治療は可能です。

骨造成とは

歯の治療を行っている

インプラント治療で行う骨造成とは、インプラントの埋め込みに必要となる場所の骨の量を増やす手術のことをいいます。顎の骨が少なく厚みがない方でも、骨造成を行うことでインプラントに必要な顎の骨を確保できます。

歯がない状態が長く続く、重度の歯周病で骨が溶けてしまっている、虫歯などが原因で根っこの先に根尖病巣ができて骨を溶かしてしまっているなど、一度溶けてしまった骨は自然再生しません。まずは骨造成を行い、インプラント治療を進めていく必要があります。

骨造成の主な5つの種類

歯科医師が患者に説明している

骨造成の種類は、主に以下の5つです。

GBR法(骨組織誘導再生法)

GBR法は、Guided Bone Regenerationの略で、日本語では骨組織誘導再生法といいます。インプラント体の埋入と同時に行うのが一般的です。

インプラント体を埋入したあと、粉砕したご自身の骨や骨補填剤を注入し、医療用の特殊な膜(メンブレン)を被せることで、骨の再生が誘導されます。骨を多く増やさなければならない場合は、インプラント埋入と分けて行うこともあります。

適応されるケース

顎の骨の高さ・幅ともに不足しており、インプラントを十分に固定できない場合に適応されます。

期間

骨が再生されるまでに3~6か月程度かかります。

基本的にはインプラント埋入と同時に行うため、治療期間が大幅にのびることはほとんどありません。

しかし、インプラント埋入と分けて行う場合は、骨が再生されるまでの期間を待たなくてはいけないので治療期間はのびます。

ソケットリフト法

ソケットリフト法は、上顎洞挙上術ともいわれ、上顎の奥歯の骨が足りない場合に行う方法です。

インプラント体を埋入する箇所に穴をあけ、ご自身の骨や骨補填剤を注入し、その部分だけ骨の再生を誘導します。インプラント体の埋入と同時に行えますが、上顎以外には行えません。

適応されるケース

上顎の奥歯部分の骨が足りない症例のなかでも、骨の厚さが3~5mm以上の場合に適応されます。

期間

治療期間は3~4か月程度かかります。

インプラント体の埋入と同時に行うため、治療期間が大幅にのびることはほとんどありません。

サイナスリフト法

サイナスリフト法は、上顎洞挙上術の一種で、上顎の奥歯の骨が広範囲で足りない場合に行う方法です。広範囲で骨を再生したい場合に用いられ、ソケットリフト法よりも多くの骨を再生したい場合に行います。

基本的にインプラント体埋入と同時に行われることはなく、まずは頬側の歯肉の側面を切開し、骨造成のためのスペースを設けて骨補填剤を入れ縫合し、骨が再生されるのを待ちます。ソケットリフト法と同様、上顎以外には行えません。

適応されるケース

上顎の奥歯部分の骨が足りない症例の中でも、骨の厚さが3~5mm以下の場合に適応されます。

期間

骨造成を待ってからインプラント治療に入るため、10か月~1年程度かかります。

ソケットプリザベーション

ソケットプリザベーションは、抜歯した場所の骨吸収を防ぐために、抜歯した時点で抜歯後の穴にご自身の骨や骨補填剤を注入し、医療用の特殊な膜(メンブレン)を被せることで骨の再生を誘導する方法です。

適応されるケース

残せなくなった抜歯予定の歯に適応されます。

期間

抜歯した場所の骨が固まるのに4~9か月程度かかります。

骨が固まってからインプラントの埋入を行います。

遊離自家骨移植術(ボーン・クラフト)

遊離自家骨移植術(ボーン・クラフト)は、重度の歯周病などで骨が溶けてしまった骨欠損部にご自身の顎の骨をブロック状に採取し、スクリュー等で固定し骨の再生を誘導する方法です。

適応されるケース

重度の歯周病などで顎の骨が大きく吸収され、インプラント治療ができない場合に適応されます。

期間

骨が定着するのに4~6か月程度かかります。

骨が定着してからインプラントの埋入を行います。

骨造成の費用

費用を計算している様子

インプラント治療は、ほとんどの場合で保険適用されません。骨造成手術においても同様で、骨造成手術はインプラントにするための手術に該当するため、保険適用されません。

自由診療のため、骨造成の費用も歯科医院によって異なり、治療範囲によっても違いがでます。

骨造成にかかる費用の目安は、以下のとおりです。

<骨造成にかかる費用の目安>

GBR法(骨組織誘導再生法) 30,000~150,000円程度
ソケットリフト法 30,000~100,000円程度
サイナスリフト法 150,000~300,000円程度
ソケットプリザベーション 50,000~100,000円程度
遊離自家骨移植術(ボーン・クラフト) 50,000~300,000円程度

 

骨造成・インプラント治療が保険適用される場合

インプラント治療は基本的に保険適用されませんが、厚生労働省が定めた条件を満たせば保険適用されるケースがあります。

保険適用されるケースは、以下のとおりです。

先天的な理由

先天的な理由で保険適用されるケースは、以下のとおりです。

  • 生まれつき顎の骨が3分の1以上連続して欠損している場合
  • 生まれつき顎の骨が形成不全であると診断された場合
  • 生まれつき永久歯が生えてこない先天性欠如歯が6本以上ある場合
  • 生まれつき永久歯が生えてこない先天性欠如歯が連続して4本以上ある場合

後天的な理由

後天的な理由で保険適用されるケースは、以下のとおりです。

  • 腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気が理由で顎の骨が3分の1以上連続して欠損した場合
  • 第三者行為による事故の外傷などで顎の骨を3分の1以上連続して欠損した場合
  • 上記の状態から骨の移植によって顎の骨が再建された場合

以限られたケースにのみ保険適用され、該当するケースがかなり少ないのが現状です。

また、もし条件にあてはまっていても、治療を受ける医療機関においても、以下の条件があります。

保険適用でインプラントができる医療機関の条件

保険適用でインプラントができる医療機関の条件は、以下のとおりです。

  • 入院用ベッドが20床以上ある病院の歯科、もしくは口腔外科である
  • 当直体制が整備されている
  • 歯科または口腔外科で5年以上の治療経験がある、または3年以上インプラント治療経験のある常勤医師が2名以上配置されている
  • 医薬品や医療機器の管理体制が整備されている

以上のように、インプラント治療が保険適用されるには厳しい条件があります。

骨造成手術後の注意点

注意をうながす女性

最後に、骨造成の手術後はどのようなことに注意して過ごせばいいのか解説します。

痛みや腫れ

骨造成手術後は、痛みや腫れがでることがあります。

痛みがある場合は我慢せずに鎮痛剤を服用しましょう。抗生物質も処方されるので飲み忘れのないように正しく服用しましょう。飲み忘れると、細菌感染の原因となります。

腫れは、2~3日後がピークです。1週間~10日程で痛みや腫れが治まることがほとんどですが、それ以上続く場合はすみやかに施術した歯科医院へご相談ください。

食事

約1週間は柔らかいものを中心とした食事をとってください(おかゆ・スープ・ゼリー・うどん等)。また、熱いものや辛い刺激物はさけましょう。

咀嚼する際は、施術した部位で噛まないように気をつけましょう。

飲酒・喫煙

施術後1週間は、飲酒・喫煙ともに厳禁です。

アルコールを摂取すると血行がよくなるため、出血や痛みの原因になります。

喫煙は、タールやニコチンなどの有害物質により歯肉の血行が悪くなり、傷の治りも悪くなります。歯周病のリスクも高まるため、インプラント治療を考えている方は禁煙するのがよいでしょう。

運動・入浴

運動・入浴ともに血行がよくなるため、出血や痛みの原因となります。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動もさけてください。

1週間程度は安静に過ごし、お風呂はシャワーで軽く済ませましょう。

歯磨き・うがい

抜糸までの間は、患部をブラッシングするのはひかえましょう。

歯ブラシがあたって傷口が開く場合や、痛む場合があります。また、うがいを強く行うと傷口が開く原因になるため、回数を減らし、優しく行いましょう。

ただし、歯磨きもうがいも一切行わないのは口腔内が不潔な状態になるため、傷口が開かないように注意しながら口腔内を清潔に保つ必要があります。

骨造成手術後は、過ごし方次第で傷の治り具合が変わってきます。無理をせず、できる限り安静に過ごして下さい。

まとめ

ポイントを指さす女性

骨が少なくインプラント治療を断られたことがある方でも、骨造成によって治療可能となる場合があります。まずは、骨造成をしている歯科医院を選び、相談してみましょう。

インプラント治療では、骨造成を行うことでしっかり噛める歯を目指すことができます。骨造成にはいろいろな種類がありますが、歯や骨の状態は人それぞれ違うので、ご自身にあう骨造成の種類を歯科医院で説明してもらい、納得したうえでインプラント治療を進めましょう。

インプラント治療でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントを除去しなければいけないケースとは?除去方法と費用も解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

3本のインプラントのイメージ図

歯を失ったところに噛む機能をもたせるためには、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの装着が主な治療方法です。その中でもインプラントは、入れ歯やブリッジと比較して装着感が少なく、見た目の審美性もよく、強く噛むことができるため、機能面で優れた治療です。

ただし、インプラント治療後に、インプラントを除去しなければならないケースがあるため、治療前にこの点も含めてインプラントするかどうか検討する必要があります。

インプラント治療とは

インプラントのイメージ図

インプラント治療とはどのような方法であるか、簡単に説明します。

インプラント治療では、インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、定着したらアバットメント(結合部品)と被せ物(上部構造)を装着します。インプラント体を固定するための顎の骨が足りない場合、骨を作る手術も併用して行われるでしょう。

治療期間は、インプラント体の埋入から上部構造の装着まで、数か月から1年ほどかかります。また、インプラント治療は基本的に保険適用外(自由診療)で行われ、インプラント1本を埋入する費用の相場は、20~40万円です。

インプラントを除去しなければいけない原因とは

顎に手を当て不思議そうにしている女性

高い機能性をもつインプラントですが、場合により、治療後にインプラントを除去しなければいけないケースがあります。主な要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。

以下で詳しく解説します。

インプラント周囲炎

インプラントの除去で多い要因が、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とは、埋入したインプラント体の周囲組織に発症する炎症性の疾患です。

インプラント周囲炎になる原因

インプラント周囲炎が発症する主な原因は、清掃不良やメンテナンス不足による細菌感染、インプラント体に過度の負担が加わるオーバーロードなどがあげられます。

インプラント治療の際、医師は適切なインプラント体の選定、綿密な治療計画を組む必要があり、治療後のメンテナンスの重要性を患者さまにご理解いただかなければいけません。患者さまは、定期的に歯科医院で診断とメンテナンスを受け、インプラント治療部位を清潔に保つことが重要です。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎が発症すると、インプラント体の周囲組織の炎症に加えて、インプラント体を支える顎の骨が減少する骨吸収も起こります。

骨吸収が進行すると、インプラント体の固定が弱まり、ものを噛んだ際にぐらついてしまうのです。この骨吸収は度合いにより、歯科医院でリカバリーができないことがあり、インプラントの除去となるケースがあります。

なお、骨吸収を伴わない炎症は、インプラント周囲粘膜炎と区別されており、インプラントの固定に影響は少ないとされています。インプラント部分に異常があると感じたら、早めに歯科医師に相談し、早期発見や治療を心がけましょう。

インプラント体の破損

インプラント周囲炎だけでなく、インプラント体が破損した際にもインプラントの除去が行われます。インプラント体はチタン合金などの金属で構成されており、長期間、体内で力がかかっても耐えるよう形状、表面処理などの工夫がされています。

しかし、耐久性に優れたインプラント体であっても、数十年経つと少しずつ劣化し、破損することがあります。インプラント体が破損した状態で放置すると、インプラント周囲炎や咬合不良などのリスクがあるため、インプラントを除去しなければなりません。

インプラント体の体内への迷入

上の奥歯部分の近くには、上顎洞とよばれる鼻腔(空間)が広がっており、顎の骨が薄いため、インプラント治療の際には骨を作る手術も併用されるケースがあります。そこにインプラント体を埋入すると、インプラント体が上顎洞側へ移動して、まれに鼻腔の中に入り込んでしまいます。

この状態は「インプラント体の迷入」とよばれており、迷入したインプラントは一度除去しなければいけません。迷入したら、鼻から膿が出る、違和感があるなどの症状が出るため、少しでも自覚があれば、治療を受けた歯科医院、もしくは耳鼻咽喉科へご相談いただくとよいでしょう。

神経麻痺

顔には多くの神経が走っています。

お口周りも例外ではなく、医師は治療するうえで神経を損傷しないよう気をつけなければいけません。特に、下の顎に伸びている下歯槽神経は歯根の近くにあり、親知らずの抜歯では、治療後に下唇の知覚麻痺を起こす可能性が2%ほどあるといわれています。

インプラント治療においても、下の顎にインプラント体を埋入する際は神経を傷つけないよう、細心の注意を払います。それでも神経を損傷することがあり、知覚麻痺が確認されたら、インプラントを除去して神経の治療を行わなければいけません。

金属アレルギー

金属アレルギーの方にとって、インプラント治療を行うことができるのか気になる方も多いと思いのではないでしょうか。

結果からいえば、金属アレルギーの方でもインプラント治療は可能です。インプラント体はチタンで構成されるため、金属アレルギーの原因とされる金属(ニッケル・コバルト・水銀・パラジウム・クロムなど)は含まれていないからです。

ただし、ごく稀にアレルギーを発症することがあり、チタンが原因と確認された場合は、インプラントの除去を行います。

インプラント除去の方法

患者と患者の歯を見ている歯科医師

インプラント周囲炎などの要因でインプラントを除去するためには、埋入時と同じく、局部麻酔のもと、外科手術が行われます。

骨吸収が進んでいるケースであれば、軽く引っ張って抜くことができますが、通常は専用の器具を使用して除去します。インプラント体はねじのような形状で、埋入時はトルクをかけるため、除去する際は逆回転させることで抜くことができるのです。

なお、患部の状態によっては、多少骨を削ることもあります。

インプラント除去にかかる費用

費用をあらわすイメージ図

インプラント除去の費用は、保険適用のケースと保険適用外(自由診療)のケースがあります。

以下、それぞれ解説します。

保険適用の場合

保険診療でインプラント除去するには、インプラントを埋入した歯科医院以外の施設で治療を受けなければいけません。さらに、摘出前のレントゲン画像をそろえる必要があります。

一般的なインプラント体の除去は、1本あたり保険点数460点(4,600円)です。保険診療の場合、治療費を3割負担と想定すると、1,400円ほどが自己負担額となるでしょう。

保険適用外の場合

保険適用外で治療を受ける場合は、全額自己負担です。

歯科医院によっては保証制度を設けている場合もあるので、インプラント治療を行った歯科医院にご確認ください。

インプラント除去後に再手術はできる?

両手で疑問のポーズをしている女性

インプラント除去について説明しましたが、除去後に再度インプラント手術を行うことはできるのでしょうか。

できる場合とできない場合に分けて、以下それぞれ説明します。

再手術ができる場合

再度インプラント手術ができる条件は「除去した原因を改善できていること」が挙げられます。

インプラント周囲炎であれば、細菌感染部の除去や炎症の改善、インプラント体の破損であればその除去、神経損傷であればインプラント体の除去と知覚改善などです。

再手術ができない場合

続いて、インプラント除去後に再手術ができないケースをご紹介します。

基本的に、除去した原因が改善できていなければ再手術はできません。具体的には、炎症が治まっていない、癖や生活習慣が改善されていないなどがあげられます。

炎症が治まっていない

インプラント除去後は、一日でも早く再手術して噛める状態に戻したいものです。

しかし、炎症や細菌感染源が改善していないにも関わらず、インプラントを埋入すれば、再度インプラント周囲炎を起こすリスクが高いです。再手術は治療後に計画されるでしょう。

歯ぎしりや食いしばり癖がある

インプラント埋入部の骨吸収が起こる要因は、インプラントに過度の負担があり、歯ぎしりや食いしばり癖がある方にみられます。これらの癖が改善されないうちは、再度インプラント手術を行っても、新しいインプラントに過度の負担がかかるため、癖の改善が必要です。

喫煙習慣がある

インプラント治療において、喫煙者は不利になる傾向があります。タバコを吸うことで血流が悪くなり、インプラントと顎の骨の固定を遅らせる、口内環境を悪化させて細菌感染率を高めるなどのリスクがあるからです。

喫煙者=再手術不可というわけではありませんが、インプラント埋入から除去、再手術の過程で喫煙していたのであれば、喫煙習慣を見直してみましょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

今回は、インプラントの除去について解説しました。

インプラント除去の要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。インプラント除去は保険適用と保険適用外があり、保険適用の場合は3割負担で、インプラント1本あたり1,400円ほどです。インプラントに関するトラブルでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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インプラント治療で後遺症が残ることはあるのか?治療の安全性とリスク

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型と治療前の女性

失った歯を補う治療には、入れ歯やブリッジ、インプラントがあります。

インプラントは、ほかの治療と異なり、健全な歯を削ることなく、物を噛んだ時の感覚が自分の歯と変わらないといわれています。

しかし、このような素晴らしいメリットと引き換えに、顎の骨にインプラントを打ち込む外科的な手術が必要です。そのため、インプラント治療にはさまざまなリスクが伴います。

今回は、インプラント治療に伴う後遺症やリスクと安全性について説明します。

インプラント治療で後遺症が残ることはあるのか?

2本のインプラント

インプラント治療で後遺症が出ることはあります。

ここでは、インプラント治療の安全性とリスクについて解説します。

インプラント治療の安全性

インプラント治療の安全性については、以下の2つが挙げられます。

人体への影響が少ない

インプラント治療では、チタンから構成されたインプラント体を埋め込みます。通常、人体に異物を埋め込むと免疫反応が亢進(こうしん)し、アレルギー反応が起こることがあります。

しかし、チタンはこれらの反応が起こりにくく、人体への影響はほとんどありません。

精密検査により事故が防止できる

インプラント治療を行う前の精密検査として、CT検査があります。

CT検査を行うことによって、血管や神経などの解剖学的な走行を把握することができます。この情報をもとに、インプラントをどの方向に埋入(まいにゅう)すると安全なのか、事前に調べることができ、神経損傷などの事故を防止することができるのです。

インプラント治療のリスク

次に、インプラント治療のリスクについて、解説します。

血管や神経の損傷のリスク

インプラント治療では、顎の骨に「インプラント体」とよばれる、歯の根っこに相当する金属を埋入します。

顎の骨には、血管や神経など、さまざまな構造物が存在しているため、インプラント体を埋め込む際に、血管や神経を傷つける場合があります。特に、下顎には下歯槽動脈(かしそうどうみゃく)、舌下動脈(ぜっかどうみゃく)、オトガイ下動脈といった太い動脈が走行しており、これらの動脈を損傷した場合は、顎の下に血が溜まり、窒息することがあるのです。

上顎洞の損傷のリスク

上の前歯から数えて5~7番目までの歯の根っこ近くには、上顎洞(じょうがくどう)とよばれる空洞が存在します。インプラント体を埋入する際に、この上顎洞を貫通し、傷つける場合があります。

感染症のリスク

インプラント治療では、基本的に2回手術を行います。その過程で、治療部位に細菌が入り込み、感染症を引き起こすことがあります。

インプラント治療のリスクが高い方

リスクをあらわすイメージ図

インプラント治療を行う際に、合併症を引き起こしやすいリスクの高い方を、以下にまとめます。

糖尿病の方

糖尿病は、血中のグルコースが細胞内に取り込みにくくなっているため、血中にグルコースが豊富に存在しています。グルコースは細菌の栄養となるため、血液のグルコース濃度が高い糖尿病の方は、感染症を起こしやすく、傷の治りが遅くなる傾向にあります。

糖尿病がある方でインプラント治療を希望される場合は、かかりつけの内科の先生に相談しましょう。

高血圧症の方

インプラント治療は外科手術であるため、精神的なストレスが大きく、手術中に血圧が上昇することがあります。血圧が高くなりすぎると、手術中に血が止まらなくなる場合や気分が悪くなる場合があります。

高血圧症と診断された方は、かかりつけの内科の先生に相談し、血圧をコントロールしたうえでインプラント治療を行いましょう。

骨粗鬆症の方

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の密度が低下し、骨が弱くなる病気です。インプラント治療では顎の骨にインプラント体を埋め込むため、骨量が少ないとインプラント体が骨と結合しないことがあります。

また、骨粗鬆症のお薬の中には骨の感染を起こしやすくなるものもあるので、場合によってはインプラント治療が行えないことがあります。

妊娠中の方

レントゲンやCT撮影で使用されるX線は、胎児に影響を及ぼすリスクがあります。

また、インプラント手術は時間がかかることがあり、術中に体調の悪化を引き起こすリスクもあります。そのため、妊娠中はインプラント治療を行うことができません。

喫煙する方

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる働きがあり、禁煙をしていない状態でインプラント治療を行うと、傷の治りや骨とインプラントの結合が遅くなります。

また、インプラント治療を行ったあとも、インプラント周囲炎とよばれる、インプラント周りの歯茎に炎症が起こるリスクが増加します。

血が固まりにくい薬を服用している方

心疾患などが原因で血栓ができやすい方は、血栓予防として血が固まりにくくなるお薬を服用していることがあります。

このようなお薬を服用されている場合、止血が難しくなることがあります。

インプラント治療による後遺症の事例

副鼻腔炎の女性

CTやレントゲン検査などで神経や血管の走行を確認することができるため、後遺症が起こることはほとんどありません。

しかし、ごくまれに後遺症を伴うことがあります。

代表的なインプラント治療による後遺症の事例を、以下にまとめます。

副鼻腔炎

上顎の骨には副鼻腔(ふくびくう)とよばれる以下の4つの空洞があります。

  • 前頭洞(ぜんとうどう)
  • 篩骨洞(しこつどう)
  • 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
  • 上顎洞(じょうがくどう)

インプラント体を埋め込む際に、副鼻腔の一つである上顎洞を傷つけた場合は、上顎洞に炎症が起き、副鼻腔炎を起こすことがあります。

副鼻腔炎は、鼻づまりや頭痛など、さまざまな症状を引き起こしかねません。

神経損傷

下顎には下歯槽神経(かしそうしんけい)とよばれる、お口の周りの感覚を認識している神経が走っています。

インプラントを埋め込む方向が悪いと、下歯槽神経を傷つけてしまい、お口周りの麻痺を引き起こすことがあります。ビタミン剤などの服用で改善することがありますが、後遺症としてしびれが残ることがあるのです。

安心してインプラント治療を受けるための歯科医院選び

医師と笑顔で会話する患者

ここまで、インプラント治療に伴うリスクや後遺症について説明しました。

インプラント治療を安全に受けるための歯科医院の選び方を、以下にまとめてみました。

症例数や医師の実績を確認する

インプラント治療は高度な専門性を必要とする外科治療であるため、歯科医院の年間症例数や担当医の実績が重要です。

年間の症例数が多く、日本口腔インプラント学会が認定する「インプラント専門医」が在籍している歯科医院かどうかなどを確認しましょう。

カウンセリングについて確認する

インプラント治療には、さまざまなリスクが伴います。

しかし、これらのリスクを説明せず、安易にインプラント治療をすすめる歯科医院には注意が必要です。インプラント治療を始める前のカウンセリングが丁寧に行われているかを確認しましょう。

安価すぎる値段設定には注意する

インプラント治療の相場は約30〜40万円ほどです。

しかし、歯科医院の中には、相場よりかなり安い10万円台で治療を行っている歯科医院も存在します。このような価格帯の場合、CT撮影などの大事な検査や治療後のアフターケアを行っていない可能性があります。

医療設備を確認する

インプラント治療を安全に行うためには、治療を行う前の精密検査が重要といえます。特に、インプラントをどの位置に埋め込むかを確認するCTの存在は、とても重要です。

また、血圧などの変化をきちんと把握するために、必要な機材や手術中の精神的負担をやわらげることができる鎮静法が行われているか、医院のホームページなどで確認しましょう。

アフターケアについて確認する

インプラントは人工歯であるため虫歯になることはありませんが、インプラント歯周炎とよばれるインプラント周囲の歯茎の炎症が起こることがあります。

インプラント歯周炎が悪化すると、インプラントを除去する必要があります。このようなトラブルを防ぐため、歯科医院が行う定期的なメンテナンスが必要となるのです。

インプラント治療後のメンテナンスをしっかりと行なっているか確認しましょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

今回は、インプラント治療のリスクや安全性などについて説明しました。インプラント手術には、神経損傷などさまざまなリスクが伴います。

しかし、インプラント治療前の精密検査などを行い、事前の治療計画がしっかりしていれば、このようなリスクは比較的低いといえます。そのため、医療設備や治療実績などを参考に、少しでもリスクの少ない歯科医院を選びましょう。

インプラント治療でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントは抜けることがある?原因と対処法、注意点について解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型を手に持った歯科医師

しっかり治療したはずのインプラントが抜けることはないのかと不安に思う方も多いでしょう。

今回はインプラントが抜けることはあるのか、原因・対処法・注意点などに関して解説します。

インプラントは抜けることがあるのか

椅子に座ってパソコンを手に持った女性が考え事をしている

インプラントは審美性がよく、咬合力が優れていることに加えて、長期間使えるのが魅力です。治療完了後から10年経過しても使用できている方の割合は9割といわれています。

ただし、セルフケアやメンテナンスがなされていることが前提です。これらを怠れば数年で抜けてしまうこともあり、最悪の場合はインプラント治療が不可能になることもあります。

トラブルがあったときに落ち着いて対処できるようインプラントの構造を理解し、どの部分が抜けたのかを確認しましょう。基本的にインプラントは以下の3つの構造でできています。

<インプラントの構造>

上部構造 セラミックなどでできた、差し歯や入れ歯でいう人工歯部分を指す
アバットメント 上部構造とインプラント体を連結するパーツである
インプラント体 顎骨に埋め込まれる人工歯根を指し、チタンなどでできている

インプラントが抜ける原因と対処法

木目のテーブルの上に歯ブラシやフロスが置かれている

インプラントが抜ける原因はさまざまですが、どれも対処法としては事前に予防することや定期的なメンテナンスを行うことです。それでも起きてしまったトラブルに関しては、すぐに歯科医院に相談しましょう。

インプラントが抜ける原因は、以下のとおりです。

  • 不適切なセルフケア
  • メンテナンスを怠った
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 噛み合わせの不具合
  • 喫煙
  • インプラントの劣化
  • 歯科医院側の問題

それぞれを解説していきます。

不適切なセルフケア

治療が完了したあとはさまざまなトラブルを回避するため、自分でインプラントをしっかりケアすることが非常に重要です。ケアを怠ってしまったり、正しいケアが行えていないと、インプラントが抜ける原因であるインプラント周囲炎を発症します。

インプラント周囲炎とはインプラントの周囲にある歯茎や骨が細菌感染を起こし、さまざまな症状を引き起こす疾患です。

インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります。

  • 歯茎が腫れて赤くなる
  • 出血する
  • 排膿する
  • 痛みがある
  • 歯茎が痩せる
  • インプラントがぐらつく

インプラント周囲炎の原因は口腔内細菌です。また、歯周病の原因菌がインプラント周囲炎を助長させることがわかっています。これらの細菌は、歯磨きが不十分なことで歯に付着するプラークに含まれていることから、正しい歯磨きを行い、細菌の増殖を防ぎ、感染を予防する必要があります。

インプラントが抜ける原因となるインプラント周囲炎を防ぐため、以下のことに注意してセルフケアを行いましょう。

  • 力が入らないようペンを持つように歯ブラシを持つ
  • 細かく動かして磨く
  • デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシを併用する
  • 食後に歯を磨く

上記のセルフケアは、インプラント周囲炎だけではなく、歯周病予防にもつながります。

メンテナンスを怠った

インプラントと治療が完了したあとは、定期的にメンテナンスが必要です。

メンテナンスでは主に行われることは以下のとおりです。

  • インプラントや歯茎などの確認・検査
  • ブラッシング指導
  • 歯石の除去
  • クリーニング

歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントが抜けるといったトラブルにつながりやすくなります。インプラントを長持ちさせるためには、トラブルを未然に防ぎ、口腔内を清潔に保つことが大切です。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な力をかけ、大きなダメージを与えます。

天然歯の歯根には歯根膜と呼ばれる薄い膜があり、噛んだ圧力を吸収・分散させる役割を果たしています。インプラントには歯根膜がなく、歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がダイレクトに歯茎や骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こし、インプラントが抜ける原因にもつながります。

本来であれば、インプラント治療を始める前に歯ぎしりや食いしばりを緩和する治療を行うのが理想的です。

ただし、インプラント治療後に発症した場合は、マウスピースをするなどして対処します。

噛み合わせの不具合

インプラントの噛み合わせが悪いと、過度な負担がかかった状態が続きます。結果的に、インプラントの動揺や歯茎の炎症を引き起こすため、噛み合わせに違和感がある場合は歯科医師に伝えて調整してもらいましょう。

また、治療直後は咬み合わせに問題がなくても、生活していくうちに変化が現れることも珍しくありません。噛み合わせを確認するためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。

喫煙

喫煙者のインプラント脱落率は、非喫煙者と比較しておよそ2倍と言われています。喫煙がインプラント周囲炎を引き起こす原因となるためです。

タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させます。また、口腔内を乾燥させ、唾液の持つ抗菌作用・殺菌作用・自浄作用を弱めます。これらのことが細菌感染のリスクを高め、インプラントが抜ける原因ともなるインプラント周囲炎を引き起こすのです。

ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。それによって埋め込んだインプラントと顎骨との結合を阻害し、トラブルを引き起こすリスクを高めます。

喫煙は歯周病を悪化させる原因にもなるため、インプラントだけではなく、ほかの歯にも悪影響を与えます。インプラント治療を始める前に禁煙するのが望ましいでしょう。

インプラントの劣化

接着したセメントの劣化で上部構造が外れることがあります。またスクリュー式のアバットメントの場合は、ネジのゆるみや締め付け不足で抜けることも考えられます。

上部構造やアバットメントに問題がなければ、装着のし直しやネジの締め直しで対処できる可能性が高いです。

歯科医院側の問題

インプラントが抜けるなどのトラブルは、不適切な手術によっても起こります。手術前の検査・診断ミスで、顎骨が少なかったりインプラント周囲炎の要因があったりする患者に手術をすると、骨とインプラントの結合が悪くなり、トラブルが起こるリスクは高まります。

また、質の悪いインプラントを使用することによるトラブルもあちを絶ちません。対処法としては、インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医師か、感染対策や事前検査をしっかり行なっている歯科医院かを確認することが大切です。

インプラントが抜けてしまった際の注意点

青い背景の前に、びっくりマークが描かれた黄色の逆三角が置かれている

万が一インプラントが抜けたときは、自己判断で対処せずに必ず歯科医院に連絡しましょう。

歯科医院での治療がスムーズに進むよう、以下のことに注意してください。

  • どこの部分が抜けたかを確認する
  • 抜けたまま放置しない
  • 抜けたインプラントを戻さない
  • 瞬間接着剤などで固定しない

それぞれを解説していきます。

どこの部分が抜けたかを確認する

前述のとおり、インプラントは3つのパーツで構成されています。

抜けた部分がどこなのかによって原因と対処法が異なります。どの部分が抜けたのか・残った部分は問題ないのか、鏡を使って見るなどして確認しましょう。

抜けたまま放置しない

歯科医院に行くのが面倒といった理由で、抜けたまま放置しないようにしましょう。

審美性や機能性が低下するだけではなく、インプラントが抜けたことでできた「すき間」から細菌が入り、炎症を起こすことがあります。再治療が不可能になる場合も考えられるため注意してください。

抜けたインプラントを戻さない

無理に戻そうとするのは避けてください。細菌感染したり、抜けたパーツを誤飲したりする恐れがあります。

瞬間接着剤などで固定しない

瞬間接着剤などを使って固定するのは避けましょう。

自分で接着すると噛み合わせに不具合が生じ、インプラントや周りの歯に負担をかける可能性があります。

抜けたインプラントの保管方法

包み込むように両手を置いている

抜けてしまったインプラントは、歯科医院を受診するまでの間、清潔な容器に入れて保管しましょう。

ティッシュなどに包んで保管する方もいますが、誤って捨ててしまったり、破損したりする恐れがあるため避けてください。パーツを紛失したり破損したりすると作り直しが必要になります。再度、治療する期間や費用がかかることになるため、抜けたインプラントは大切に保管しましょう。

インプラントが抜けて歯科医院を受診する際に伝えること

歯科の椅子に座って話を聞く患者

歯科医院を受診した際に、以下のことを伝えると治療がスムーズに進みます。

  • 抜けた日時
  • 抜けた際の状況
  • 最近のインプラントの状態
  • 痛みなどの現在の状態

多くの情報を伝えることで、抜けた原因の追及や処置の選択がしやすくなります。

まとめ

黄色い背景の前にコップに入った歯ブラシと歯磨き粉が置かれている

インプラントを長期間快適に使うためにも、抜ける原因になることは避け、定期的なメンテナンスを受けましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!