タグ別アーカイブ: 出血

インプラント治療後に頭痛がする原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

ソファに座って頭を抑える女性
「インプラント治療後に頭痛がする」「インプラント治療後に頭痛がする場合はどうしたらいい?」など、インプラント治療後の頭痛に悩まされる方もいるでしょう。インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で、頭痛がすることがあります。

今回は、インプラント治療後の頭痛の原因や対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

インプラント治療後に頭痛がする原因

顎に手を当てて考える男女

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛が起きる場合があります。インプラント治療後に頭痛がする原因は、以下のとおりです。

噛み合わせに問題がある

インプラント治療では骨格などを考慮して噛み合わせを調整しますが、インプラント治療後に噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪いと顎の周りの筋肉が緊張し、頭痛を引き起こすでしょう。

顎の関節にも負担がかかるため、顎の痛みや開口障害などの症状が現れる顎関節症を発症する可能性もあります。噛み合わせが悪くなる原因は、以下のとおりです。

インプラントのぐらつき

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジが緩むと、人工歯がぐらつきます。インプラントにぐらつきがあると、歯並びや噛み合わせが悪くなって頭痛を引き起こすのです。

アバットメントのネジが緩む原因は、強い力がかかったことによる金属疲労や、上部構造(人工歯)に不具合があること、歯がすり減ったことなどが挙げられます。顎関節がずれたことや、インプラント周囲炎の影響で骨吸収が進んだことも、アバットメントのネジが緩む原因になるでしょう。

人工歯のすり減り

インプラントを長期間使用すると、人工歯がすり減ることがあります。人工歯がすり減ると、噛み合わせが悪くなるでしょう。特に食いしばりや歯ぎしりの癖がある方はインプラントに強い力がかかるため、人工歯がすり減りやすいです。

上顎洞炎になっている

インプラント治療では、上顎洞という部位に炎症が起きることがあります。上顎洞とは、鼻の周りにある副鼻腔という空洞のうち、頬の内側にある空洞です。

上顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む際に、上顎洞内にインプラント体が迷入したことや、インプラント体が上顎洞を穿通したことなどが原因となります。

上顎洞では頭痛のほかに、鼻づまりや発熱などの症状が現れるのが一般的です。鼻から膿が出る、鼻の奥に違和感を覚える、目がだるい・重いなどの症状を訴える方もいます。

インプラント周囲炎になっている

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの組織が細菌感染による炎症を起こしている状態です。重度のインプラント周囲炎では、顎の骨が溶けてインプラント体が不安定になり、噛み合わせに悪影響を及ぼします。

インプラント周囲炎は、口内のケア不足、歯科医院でのメンテナンス不足などが原因になることが多いです。進行すると歯がグラグラと動揺し、最悪の場合抜け落ちるため早期治療が大切です。

初期の段階では自覚症状がありませんが、進行すると歯茎の赤み、腫れの症状が現れ、歯茎から出血する場合もあります。歯茎から膿が出る、歯茎が痩せる、噛み合わせが合わなくなるなどの症状が現れる方も多いです。

インプラントを入れたところが痛む、インプラントが動揺しているなどの症状がある場合は、インプラント周囲炎が進行している可能性があるので、歯科医院を受診してください。

インプラント治療後に頭痛がする場合の対処法

歯科医院で治療をする男性歯科医師

インプラント治療後に頭痛がする場合は、原因に合わせて対処する必要があります。頭痛がする場合の対処法は、以下のとおりです。

噛み合わせを調整する

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジに緩みがある場合は、上部構造を外してネジを締め直し、噛み合わせを改善します。ネジの緩みは、レントゲンで容易に診断可能です。

人工歯のすり減りが噛み合わせに影響している場合インプラント体の調整は必要ありませんが、上部構造のみ交換します。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯や顎への負担を軽減するためにマウスピースの装着が必要になる場合もあるでしょう。

上顎洞炎を治療する

上顎洞炎を放置すると炎症が広がり、中耳炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。上顎洞炎が疑われる場合は、すぐに歯科医院を受診し早期治療を行うことが大切です。

インプラント治療後に上顎洞炎になった場合は、以下の治療を行います。

薬物療法

抗菌薬・鎮痛薬を服用して炎症や痛みを抑える治療です。上顎洞炎が慢性化すると、長期にわたる服用が必要になるでしょう。

歯科治療

薬物療法と併せて、感染源を除去する治療を行います。上顎洞内にインプラント体が入り込んでいる場合は、インプラント体の摘出が必要です。

上顎洞洗浄療法

内服治療で炎症が改善しない場合は、耳鼻科で上顎洞洗浄療法という治療を行います。上顎洞内に針を刺し、生理食塩水と抗生剤で上顎洞を洗浄する治療法です。

外科的治療

内服治療や上顎洞洗浄で炎症が改善しない場合、外科手術を行います。行われる外科手術の方法は、以下のとおりです。

  • 上顎洞根治手術

歯肉を切開して骨に穴をあけ、炎症が起きている上顎洞の粘膜を除去する「Caldwell-Luc法(コールドウェル-ラック法)」と、骨を広範囲に削る「Denker法(デンカー法)」があります。

  • 内視鏡下鼻内手術

副鼻腔の開口部を広げて炎症による閉塞を解除し、換気・排泄を促して炎症を改善する治療です。内視鏡鼻内手術では、上顎洞に迷入したインプラント体を摘出することもできます。

インプラント周囲炎を治療する

インプラントの脱落を防ぐためには、インプラント周囲炎の早期治療が大切です。インプラント周囲炎の治療は、非外科的療法と外科的療法の2つに分けられます。

非外科的療法

非外科的治療では、インプラント周囲の炎症を抑えるために行われる治療です。主に行われる内容は、以下のとおりです。

  • 周囲の歯石除去
  • 歯周ポケット内の洗浄と薬剤の注入
  • 抗生物質の投与
  • ブラッシング指導
  • 生活指導

喫煙やストレスの蓄積は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。生活習慣を改善するために、指導を行うことがあるでしょう。

インプラント周囲炎の予防・改善には、毎日の口腔ケアが非常に重要です。正しいブラッシング方法を身に付け、口腔ケアの質を高めましょう。定期的に歯科医院を受診して、歯をクリーニングしてもらうことも重要です。

外科的治療

インプラント周囲炎が進行して歯槽骨の吸収が進んでいる場合は、外科的治療を行います。

歯茎を切開してインプラント体の表面を清掃・殺菌するのが一般的です。感染した組織を取り除く場合や、インプラントを除去する場合もあります。

骨の再生が必要なケースでは、自分の骨や人工骨を用いて骨移植を行うでしょう。骨形成を妨げる繊維芽細胞が入り込まないよう、メンブレンという人工膜で覆って歯槽骨の再生を待ちます。

まとめ

インプラントの模型を持って説明する歯科医師

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛がすることがあります。

原因の一つであるインプラント周囲炎は予防できるため、毎日の口腔ケアを徹底しましょう。歯科医院で定期的にメンテナンス・クリーニングを受けることも重要です。

頭痛の原因によっては、インプラントの除去や外科手術が必要になる可能性もあります。早期に原因を把握し、治療を行うことが大切です。インプラント治療後に頭痛などの症状がある方は、歯科医院を受診して原因を把握し対処法を相談しましょう。

インプラント治療後の頭痛にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療で悪い歯並びは治せるの?矯正治療との違いを解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

顎に埋め込まれたインプラント

「インプラントで歯並びを治せる?」「インプラントと矯正の違いは?」などの疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、インプラント治療では歯並びを整えることはできません。インプラントは、失った歯の機能を補うための治療なので、歯並びを整える目的では利用されないのです。

今回は、歯並びが悪いことによるリスク、インプラント治療の目的、インプラント治療と矯正治療の違いなどを解説します。この記事を参考に、インプラント治療や矯正治療に関する正しい知識を身につけ、ご自身に適した治療法を選択してください。

歯並びが悪いことによるリスク

RISKと書かれた木のブロックを抜く男性

歯並びが悪いことによって引き起こされるリスクは、以下のとおりです。

  • 虫歯や歯周病になりやすい
  • しっかり噛めない
  • 口臭の原因になる
  • コンプレックスになる
  • 発音が悪くなる

それぞれ解説します。

虫歯や歯周病になりやすい

歯並びが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯と歯が重なりあって生えている場合は、食べかすが詰まりやすく、歯磨きが不十分になりやすいためです。

歯磨きが不十分で食べかすや歯垢などが口内に残ると、歯垢を栄養源とする歯周病菌が増殖します。歯周病菌が繁殖すると、歯茎の腫れや出血を引き起こし、歯周病になりやすくなるでしょう。

また、歯並びが悪いと噛み合わせも悪くなるため、物を噛んだときに特定の歯に大きな負担がかかります。本来、歯は全体で噛む力を吸収して分散することで、特定の歯に極端な負荷がかかることを防いでいます。

しかし、歯並びが悪いと噛む力を分散できません。特定の歯に大きな力がかかり続けると、歯を支える組織が傷つけられ、歯周病の進行を早めるでしょう。

しっかり噛めない

歯並びが悪いと、食べ物をしっかり噛むことや細かく噛み砕くことが難しくなります。よく噛めないと十分に噛み砕かれていない食物が胃腸に送られます。胃腸に負担がかかり、消化不良につながるでしょう。

また、噛む力が弱まることで柔らかいものを好むようになり、繊維質の肉や野菜を避けることで栄養バランスが崩れる可能性もあります。栄養バランスが乱れた食事を長期的に摂取すると、生活習慣病や認知症などのリスクが高まるでしょう。

歯並びが悪いと、口腔内だけでなく全身の健康に影響を与えるのです。

口臭の原因になる

歯並びや噛み合わせが悪いと、口が閉じにくいことから口呼吸になる場合があります。口呼吸になると、唾液が不足して口の中が乾燥します。

唾液には自浄作用や殺菌作用があるため、乾燥した口内では雑菌の繁殖が進むでしょう。雑菌の繁殖が進むと、口臭が強くなります。

上述しましたが、歯並びが悪いと歯磨きが難しいため、歯垢が蓄積しやすいです。蓄積した歯垢も、口臭の原因になるでしょう。

コンプレックスになる

歯並びや噛み合わせが悪いと、見た目を気にして人前で笑えなくなる、マスクをつけなければ人前に出られなくなるなど、精神にも影響も及ぼす可能性があるでしょう。「ガタガタした歯並びを見られたくない」「出っ歯を見られるのが恥ずかしい」など、人とコミュニケーションを取ることを控えるようになるかもしれません。

また、歯並びや噛み合わせが悪いと、顔が歪むことがあります。顔が歪んでいることも、コンプレックスになり得るでしょう。

発音が悪くなる

歯並びが悪いと、滑舌や発音に悪影響を及ぼします。上下の歯が噛み合わないと、歯と歯のすき間から空気が漏れる場合や舌をスムーズに動かせない場合があるでしょう。唇に歯が引っかかり、唇の動きが制限されることもあります。

発音が悪いと人と話すことに不安を感じ、コミュニケーションを取るのを避ける可能性があります。

インプラント治療で悪い歯並びは治せるの?

家で顎に手を当てて考える男性

インプラント治療では、歯並びを整えることはできません。

インプラントは、失った歯を補う治療です。一般的に、健康な歯を抜いてまでインプラント治療で歯並びを整えることはしません。

インプラントは、事故や加齢などによって歯を失った方や歯に大きなダメージを受けた方が、歯を補うために行う治療法なのです。

インプラント治療の目的とは?

椅子に座って考える女性

インプラント治療の目的は、失った歯の機能を補うことです。歯を失った部分に人工歯(インプラント)を埋め込むことで、噛む力や見た目の回復をはかります。また、歯はスペースがある方向に動く習性があるため、歯が動かないように保定する役割も果たすでしょう。

インプラントは、審美目的で利用されるのではなく、あくまで歯の機能回復のために利用されます。インプラントとして用いられる人工歯は、機能性と審美性の高さを兼ね備えているため、インプラント治療で歯並びを整えたいと考える方もいるでしょう。

しかし、不必要に健康な歯を抜くのは、噛む力が低下するなどのデメリットがあります。歯並びを整えたいと思っている方は、まずは矯正治療を検討してください。

歯並びを治すためには矯正治療が必要

歯科医院で鏡を見て歯を確認する女性

歯並びを整えるには、矯正治療が必要です。

矯正治療とは、歯並びや噛み合わせを整える治療です。矯正治療には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの種類があり、個々の希望や症状に合わせて矯正方法を選択します。

ワイヤー矯正は、出っ歯や受け口、重度の叢生(ガタガタした歯並び)など、幅広い症例に適応可能です。歯並びの問題が重度の場合は抜歯が必要になりますが、抜歯せずに矯正できる場合もあります。

ワイヤー矯正もマウスピース矯正も、歯や顎の骨にゆっくりと力をかけ、時間をかけて歯を動かして歯並びを整える治療法です。歯並びを整えたい場合は、インプラント治療ではなく矯正治療を検討しましょう。

インプラント治療と矯正治療の違い

赤と緑のチェックマークを比較する男性

インプラント治療と矯正治療は、目的が異なります。インプラント治療は失った歯の機能を補う治療で、矯正治療は歯並びと噛み合わせを改善する治療です。

メディアなどで芸能人が「歯並びをきれいにするためにインプラント治療を受けた」と話しているのを目にしたことがある方もいるかもしれません。これは、芸能関係などの特殊な仕事をしており急速に歯並びを整えなければならず、インプラント治療を行っただけで、一般的に適応される方法ではないことを覚えておきましょう。

また、インプラント治療で用いる人工歯は、見た目が美しく高い機能を兼ね備えているため、手軽に高い審美性を獲得できると考えている方もいます。

しかし、歯並びを整えるのは矯正治療の役割です。インプラントの役割は、歯を失った部分に人工歯を埋め込んで噛む機能を取り戻すことです。それぞれの治療の目的を理解し、ご自身の症状に合った方法で治療しましょう。

まとめ

顎に手を当てて笑う女性

今回は、インプラント治療で歯並びを整えることができるのか、矯正治療との違いなどを解説しました。

歯並びが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯並びを整えることは全身の健康を維持するために効果的ですが、インプラント治療は歯並びを整える目的では選択されません。

インプラント治療の目的は、失った歯の機能を補って噛む機能を回復することです。歯並びを整えるには、歯や顎の骨に力を加えて歯を移動させる矯正治療を受けましょう。

自分の歯の歯並びを整えたいと思っている方は、矯正治療を選択するとよいでしょう。歯科医院でのカウンセリングなどを利用し、インプラントや歯列矯正について相談してください。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントは抜けることがある?原因と対処法、注意点について解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型を手に持った歯科医師

しっかり治療したはずのインプラントが抜けることはないのかと不安に思う方も多いでしょう。

今回はインプラントが抜けることはあるのか、原因・対処法・注意点などに関して解説します。

インプラントは抜けることがあるのか

椅子に座ってパソコンを手に持った女性が考え事をしている

インプラントは審美性がよく、咬合力が優れていることに加えて、長期間使えるのが魅力です。治療完了後から10年経過しても使用できている方の割合は9割といわれています。

ただし、セルフケアやメンテナンスがなされていることが前提です。これらを怠れば数年で抜けてしまうこともあり、最悪の場合はインプラント治療が不可能になることもあります。

トラブルがあったときに落ち着いて対処できるようインプラントの構造を理解し、どの部分が抜けたのかを確認しましょう。基本的にインプラントは以下の3つの構造でできています。

<インプラントの構造>

上部構造 セラミックなどでできた、差し歯や入れ歯でいう人工歯部分を指す
アバットメント 上部構造とインプラント体を連結するパーツである
インプラント体 顎骨に埋め込まれる人工歯根を指し、チタンなどでできている

インプラントが抜ける原因と対処法

木目のテーブルの上に歯ブラシやフロスが置かれている

インプラントが抜ける原因はさまざまですが、どれも対処法としては事前に予防することや定期的なメンテナンスを行うことです。それでも起きてしまったトラブルに関しては、すぐに歯科医院に相談しましょう。

インプラントが抜ける原因は、以下のとおりです。

  • 不適切なセルフケア
  • メンテナンスを怠った
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 噛み合わせの不具合
  • 喫煙
  • インプラントの劣化
  • 歯科医院側の問題

それぞれを解説していきます。

不適切なセルフケア

治療が完了したあとはさまざまなトラブルを回避するため、自分でインプラントをしっかりケアすることが非常に重要です。ケアを怠ってしまったり、正しいケアが行えていないと、インプラントが抜ける原因であるインプラント周囲炎を発症します。

インプラント周囲炎とはインプラントの周囲にある歯茎や骨が細菌感染を起こし、さまざまな症状を引き起こす疾患です。

インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります。

  • 歯茎が腫れて赤くなる
  • 出血する
  • 排膿する
  • 痛みがある
  • 歯茎が痩せる
  • インプラントがぐらつく

インプラント周囲炎の原因は口腔内細菌です。また、歯周病の原因菌がインプラント周囲炎を助長させることがわかっています。これらの細菌は、歯磨きが不十分なことで歯に付着するプラークに含まれていることから、正しい歯磨きを行い、細菌の増殖を防ぎ、感染を予防する必要があります。

インプラントが抜ける原因となるインプラント周囲炎を防ぐため、以下のことに注意してセルフケアを行いましょう。

  • 力が入らないようペンを持つように歯ブラシを持つ
  • 細かく動かして磨く
  • デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシを併用する
  • 食後に歯を磨く

上記のセルフケアは、インプラント周囲炎だけではなく、歯周病予防にもつながります。

メンテナンスを怠った

インプラントと治療が完了したあとは、定期的にメンテナンスが必要です。

メンテナンスでは主に行われることは以下のとおりです。

  • インプラントや歯茎などの確認・検査
  • ブラッシング指導
  • 歯石の除去
  • クリーニング

歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントが抜けるといったトラブルにつながりやすくなります。インプラントを長持ちさせるためには、トラブルを未然に防ぎ、口腔内を清潔に保つことが大切です。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な力をかけ、大きなダメージを与えます。

天然歯の歯根には歯根膜と呼ばれる薄い膜があり、噛んだ圧力を吸収・分散させる役割を果たしています。インプラントには歯根膜がなく、歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がダイレクトに歯茎や骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こし、インプラントが抜ける原因にもつながります。

本来であれば、インプラント治療を始める前に歯ぎしりや食いしばりを緩和する治療を行うのが理想的です。

ただし、インプラント治療後に発症した場合は、マウスピースをするなどして対処します。

噛み合わせの不具合

インプラントの噛み合わせが悪いと、過度な負担がかかった状態が続きます。結果的に、インプラントの動揺や歯茎の炎症を引き起こすため、噛み合わせに違和感がある場合は歯科医師に伝えて調整してもらいましょう。

また、治療直後は咬み合わせに問題がなくても、生活していくうちに変化が現れることも珍しくありません。噛み合わせを確認するためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。

喫煙

喫煙者のインプラント脱落率は、非喫煙者と比較しておよそ2倍と言われています。喫煙がインプラント周囲炎を引き起こす原因となるためです。

タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させます。また、口腔内を乾燥させ、唾液の持つ抗菌作用・殺菌作用・自浄作用を弱めます。これらのことが細菌感染のリスクを高め、インプラントが抜ける原因ともなるインプラント周囲炎を引き起こすのです。

ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。それによって埋め込んだインプラントと顎骨との結合を阻害し、トラブルを引き起こすリスクを高めます。

喫煙は歯周病を悪化させる原因にもなるため、インプラントだけではなく、ほかの歯にも悪影響を与えます。インプラント治療を始める前に禁煙するのが望ましいでしょう。

インプラントの劣化

接着したセメントの劣化で上部構造が外れることがあります。またスクリュー式のアバットメントの場合は、ネジのゆるみや締め付け不足で抜けることも考えられます。

上部構造やアバットメントに問題がなければ、装着のし直しやネジの締め直しで対処できる可能性が高いです。

歯科医院側の問題

インプラントが抜けるなどのトラブルは、不適切な手術によっても起こります。手術前の検査・診断ミスで、顎骨が少なかったりインプラント周囲炎の要因があったりする患者に手術をすると、骨とインプラントの結合が悪くなり、トラブルが起こるリスクは高まります。

また、質の悪いインプラントを使用することによるトラブルもあちを絶ちません。対処法としては、インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医師か、感染対策や事前検査をしっかり行なっている歯科医院かを確認することが大切です。

インプラントが抜けてしまった際の注意点

青い背景の前に、びっくりマークが描かれた黄色の逆三角が置かれている

万が一インプラントが抜けたときは、自己判断で対処せずに必ず歯科医院に連絡しましょう。

歯科医院での治療がスムーズに進むよう、以下のことに注意してください。

  • どこの部分が抜けたかを確認する
  • 抜けたまま放置しない
  • 抜けたインプラントを戻さない
  • 瞬間接着剤などで固定しない

それぞれを解説していきます。

どこの部分が抜けたかを確認する

前述のとおり、インプラントは3つのパーツで構成されています。

抜けた部分がどこなのかによって原因と対処法が異なります。どの部分が抜けたのか・残った部分は問題ないのか、鏡を使って見るなどして確認しましょう。

抜けたまま放置しない

歯科医院に行くのが面倒といった理由で、抜けたまま放置しないようにしましょう。

審美性や機能性が低下するだけではなく、インプラントが抜けたことでできた「すき間」から細菌が入り、炎症を起こすことがあります。再治療が不可能になる場合も考えられるため注意してください。

抜けたインプラントを戻さない

無理に戻そうとするのは避けてください。細菌感染したり、抜けたパーツを誤飲したりする恐れがあります。

瞬間接着剤などで固定しない

瞬間接着剤などを使って固定するのは避けましょう。

自分で接着すると噛み合わせに不具合が生じ、インプラントや周りの歯に負担をかける可能性があります。

抜けたインプラントの保管方法

包み込むように両手を置いている

抜けてしまったインプラントは、歯科医院を受診するまでの間、清潔な容器に入れて保管しましょう。

ティッシュなどに包んで保管する方もいますが、誤って捨ててしまったり、破損したりする恐れがあるため避けてください。パーツを紛失したり破損したりすると作り直しが必要になります。再度、治療する期間や費用がかかることになるため、抜けたインプラントは大切に保管しましょう。

インプラントが抜けて歯科医院を受診する際に伝えること

歯科の椅子に座って話を聞く患者

歯科医院を受診した際に、以下のことを伝えると治療がスムーズに進みます。

  • 抜けた日時
  • 抜けた際の状況
  • 最近のインプラントの状態
  • 痛みなどの現在の状態

多くの情報を伝えることで、抜けた原因の追及や処置の選択がしやすくなります。

まとめ

黄色い背景の前にコップに入った歯ブラシと歯磨き粉が置かれている

インプラントを長期間快適に使うためにも、抜ける原因になることは避け、定期的なメンテナンスを受けましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントは虫歯になるの?気を付けたいお口トラブルや長持ちさせるためのコツも解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの歯の模型でフィギュアの作業員が作業している

インプラント治療を受けたあとに虫歯になるのか気になる方が多いのではないしょうか。せっかくインプラント治療を受けたのであれば、虫歯などのトラブルを起こさず長持ちさせたいものです。

この記事では、インプラントは虫歯になるのか、そのほかにどのようなお口トラブルがあるのか、お口トラブルを回避する方法やインプラントを長持ちさせるためのコツなどを解説しています。インプラント治療で後悔しないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

インプラントは虫歯になるの?

青い背景の前に置かれた虫歯

「高額な治療費を払ってインプラントにしても、また虫歯になることはあるのか?」と心配される方も多いですが、インプラントは虫歯にはなりません。

そもそも虫歯というのは、歯の表面についた歯垢にミュータンス菌と呼ばれる虫歯菌が棲みついて、糖分を栄養にして酸を作り出し、この酸が歯の表面のエナメル質を溶かすことです。象牙質まで虫歯が到達すると、しみたり痛みが出るようになり、さらに神経まで虫歯が到達すると激しい痛みが出ます。この状態を放置すると神経は死んでしまい、根っこの先に膿が溜まるようになり、保存が難しくなると抜歯が必要になることもあるのです。

虫歯はこのような流れで進行しますが、インプラントは人工歯根を骨の中に埋め込み、被せ物は丈夫な素材の人工物であるため、酸で溶かすことはできません。そのため、インプラントは虫歯にならないのです。

虫歯以外に気を付けたいお口トラブル

歯茎を見せている女性

「インプラントは虫歯にならないからトラブルなく過ごせる」というわけではありません。虫歯にはなりませんが、気を付けたいお口トラブルがあります。

虫歯以外に気を付けたいお口トラブルは、以下の4つです。

  • インプラント周囲炎
  • インプラントの脱落
  • インプラント周囲の歯の虫歯
  • 歯茎の腫れや出血

インプラント治療後のそれぞれのお口トラブルについて、以下に詳しく解説していきます。

①インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯周組織が炎症を起こす状態で、わかりやすくいうと「インプラントの歯周病」ということです。インプラントと歯茎の境目に細菌が侵入してくることで炎症を起こします。初期段階で出血などの症状がみられますが、進行すると歯茎の腫れを引き起こしたり膿が溜まったりして、インプラントを支えている骨が溶けてしまうのです。インプラントを支えるのが難しくなるほど骨が溶けてしまうと、インプラントを抜くことになってしまいます。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早く、治療が難しい病気です。正しいブラッシングケアができていない場合や喫煙、歯ぎしり、食いしばりなどによる歯への負担がインプラント周囲炎の原因といわれています。

インプラント周囲炎を起こさないための予防策は、定期的なメンテナンスでインプラントの状態を確認してもらうこと、インプラントを長持ちさせるためにも禁煙すること、お口のケアを怠らないことです。インプラント治療を受ける前に、喫煙習慣の有無など歯科医師による確認があると思いますが、不安なことは事前に相談しておきましょう。

②インプラントの脱落

インプラント治療は、骨の中にインプラント体を埋め込み、骨とインプラント体がしっかりくっつくのを待ってから、最終的な被せ物を装着します。骨とインプラント体がしっかりとくっつくまで3か月ほどかかりますが、治療部位や症例によってこの期間が延びることもあります。骨とインプラント体がしっかりくっつくのを待たずに最終的な被せ物を装着してしまうと、せっかく埋め込んだインプラントが脱落してしまう可能性もあるのです。

インプラントの脱落はこれだけが原因ではありません。インプラント周囲炎を放置しておくことで自然と脱落してしまう可能性もあります。インプラントの脱落を防ぐためには、丁寧で精密な治療と治療後の管理が大切なのです。

③インプラント周囲の歯の虫歯

インプラントは虫歯になりませんが、その周囲の歯が虫歯になってしまうことは十分にあり得ます。「インプラントは虫歯にならないから」と間食を増やしたり、ブラッシングを怠ると、インプラント以外の歯が虫歯だらけになってしまう可能性もあるのです。インプラント治療を受けたあとは、インプラント部位だけでなく、お口全体の健康を維持するよう努めましょう。

④歯茎の腫れや出血

インプラント治療とは、歯茎を切開し、骨の中にインプラント体を埋め込む外科手術です。そのため、手術後も出血が続いたり、腫れたりする可能性があります。手術後は歯科医師の指示通りに安静に過ごしていれば、出血や腫れは次第に治まってくるはずです。それでも出血が止まらなかったり腫れなどの症状が続いたりする場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。

また、インプラント手術後の喫煙・飲酒は厳禁です。喫煙・飲酒の習慣がある方は、インプラント治療には不向きかもしれません。喫煙・飲酒の習慣がある方は、以下で解説するリスクをよく理解し、インプラントを長持ちさせるために禁煙・禁酒を心がけましょう。

インプラント治療における喫煙のリスク

インプラント治療における喫煙リスクは、以下のとおりです。

  • 免疫力が低下し、感染リスクが上がる
  • インプラントと骨がしっかりくっつかない可能性がある
  • 歯茎細胞の活性化を抑制するため、炎症を起こした際に回復しにくい
  • 非喫煙者に比べてインプラント周囲炎になるリスクが2〜6倍になる
  • インプラント手術後の治りが悪くなる

このように、喫煙習慣があるとインプラントを長持ちさせるのが難しくなることがわかります。インプラント手術後、一時的に禁煙するのではなく、インプラント治療前から禁煙することを検討しましょう。

インプラント治療における飲酒のリスク

インプラントは、手術後3日間が痛みや腫れのピークです。この間に飲酒をしてしまうと血流がよくなり、さらに痛みや腫れが酷くなったり、出血しやすくなります。

インプラント手術から3日間は禁酒するようにしましょう。手術前やインプラント手術から数日経過すれば、特に禁酒する必要はありません。また、インプラント手術後は痛み止めと抗生剤を服用します。服薬時の飲酒は控えましょう。

インプラントを長持ちさせるために必要なこととは?

歯の模型と歯ブラシ4本が置かれている

インプラントを長持ちさせるために最も重要なことは、定期的なメンテナンスを受けることです。

メンテナンスでは、以下の4つのことが行われます。

  • インプラントのチェック
  • 専門的なクリーニング
  • 歯茎の状態確認
  • お口全体のチェック

いくら自宅でのセルフケアを頑張り、しっかり歯を磨いているつもりでも、実際はしっかりと磨けていないこともあります。それに気付かず放置し、インプラント周囲炎を引き起こしてしまうと、インプラントを長持ちさせることが難しくなってしまうのです。

インプラントのメンテナンスでは専門的なクリーニングに加えて、インプラントの状態を確認してもらえます。万が一インプラント周囲炎を引き起こしていても、早い段階で発見できれば処置ができるのです。発見が遅くなり手遅れになると、インプラントを抜くことになってしまうでしょう。また、メンテナンスではインプラント部位だけでなく、お口全体の状態もチェックもしてもらえるので安心です。せっかく治療したインプラントを長持ちさせるためにも、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

まとめ

歯医者の治療器具とインプラントのマスコットが置かれている

ここまで解説してきたとおり、インプラントの虫歯を心配する必要はないです。

しかし、歯茎の腫れや出血からインプラント周囲炎になることがあります。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早く、治療が難しい病気です。最悪の場合、インプラントを抜くことになってしまいます。インプラント治療が成功したかどうかは、インプラント手術時だけでなく、その後の管理がきちんとできているかによって変わってきます。インプラントをより長持ちさせるために、日頃からブラッシングケアをしっかり行い、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!