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喫煙していてもインプラント治療は受けられる?リスクを詳しく解説!インプラント 喫煙

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

タバコを取り出す

喫煙していてもインプラント治療を受けられる場合はありますが、多くのリスクを伴います。治療が失敗に終わる、治癒過程で問題が発生して追加費用が発生する、治療期間が延長するなどのトラブルにつながることもあるでしょう。

そのため、インプラント治療中は喫煙を控えるよう指示されることが多いです。

今回は、インプラント治療における喫煙のリスクについて詳しく解説します。

喫煙していてもインプラント治療は受けられる?

疑問がある男性

喫煙している方がインプラント治療を受ける場合、禁煙を勧められることが多いです。喫煙者のインプラント治療を断っている歯科医院もあるでしょう。

インプラント治療を成功させ、長期的な使用を可能にするためには、患者さまの生活習慣が密接に関連します。特に、喫煙は多くのリスクをもたらすといわれているのです。

インプラント治療後の回復過程では、歯肉の修復や細胞の増殖が不可欠です。

しかし、タバコの有害物質は歯肉の修復や細胞の増殖を妨げ、治癒を遅らせます。唾液は口内の清潔を保つだけでなく有害物質の中和にも貢献しますが、喫煙すると唾液の分泌量が減少します。

口内の細菌が増加するなど、インプラント周囲炎の原因となることも多いです。基本的に、インプラント治療中は禁煙する必要があることを理解しましょう。

インプラント治療中に喫煙するとどのようなリスクがある?

ビックリマークを指差す

喫煙は、血流阻害や白血球の機能低下を招きます。そのため、侵襲の大きいインプラント治療において、喫煙は大きなリスク要因となるのです。

喫煙はインプラント治療において多くのリスクをもたらします。治療の成功を望むならば、喫煙習慣の見直しを検討したほうがよいでしょう。

インプラント治療中に喫煙することによるリスクは、以下のとおりです。

骨との結合が弱くなる

タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる効果があります。血流が悪化し、インプラントを支える歯肉への酸素・栄養の供給が不十分となるでしょう。

治癒が遅れる可能性や、インプラントと骨との結合が弱くなる可能性が高まるのです。一酸化炭素もニコチンと同様に血流を悪化させ、酸素を運ぶヘモグロビンの機能を阻害します。

炎症が起きやすくなる

白血球は体を守るための主要な細胞の一つですが、ニコチンの影響で機能が低下することがわかっています。そのため、喫煙している方は、歯肉に細菌が侵入した際、炎症が進行しやすくなるのです。

喫煙者は非喫煙者に比べて、インプラント周辺での炎症やトラブルが多いというデータも存在します。

インプラント周囲炎を発症する

インプラント周囲炎とは、インプラントを固定している周りの組織が炎症を起こし、進行すると骨が溶ける病気です。

初期段階では目立った症状が少なく、気づかないまま悪化することが少なくありません。症状が重度になると、インプラントが安定せず抜け落ちる可能性があるのです。

喫煙者は、ニコチンの影響で免疫力が低下する傾向にあります。免疫力が低下している状態でインプラント治療を受けると、細菌による感染リスクが高まります。インプラント周囲炎のリスクも増加するでしょう。

インプラントを長期的に使用するためには、日常の口腔ケアが非常に重要です。歯ブラシやデンタルフロスを用いたクリーニングはもちろん、歯科医院での定期検診も不可欠です。定期的な検診により、初期の段階での炎症を早期に発見し、適切な対応が可能となります。

喫煙者の方は、非喫煙者に比べてインプラント周囲炎のリスクが高いことをしっかりと理解しましょう。また、症状も悪化しやすいです。

治療を成功させ、インプラントを長く維持するためには、喫煙習慣を見直しましょう。定期的な歯科健診も怠らないことが大切です。

治療期間が長引く

喫煙者がインプラント治療を受ける場合、非喫煙者は治療の流れや必要な期間が変わることが多いです。インプラント手術の基本的な方法としては、1回法と2回法が挙げられます。

1回法は、手術が1回で完了する方法です。全身状態や骨・粘膜の状態が良好な方に向いています。喫煙者の場合、1回法を選択できることは非常に稀です。喫煙によって傷の治癒が遅れ、細菌感染のリスクが高まるからです。

1回法では、インプラント体と人工歯根をつなげるアバットメントが歯茎の上に露出します。傷口の閉鎖が困難なので、細菌が侵入しやすいです。健康な方の場合は問題ないですが、喫煙者の場合はインプラント治療が失敗するリスクが高まります。

そのため、喫煙者には2回法が推奨されることが多いです。2回法では、初回の手術でインプラントを埋入し、歯茎をしっかりと縫合します。骨とインプラントがしっかりと結合したことを確認してから、2回目の手術でインプラントの一部を露出させてアバットメントを取り付けるのです。

2回法は、非喫煙者であれば通常4〜6か月の期間が必要となります。

しかし、喫煙者の場合、傷口の治癒が遅くなります。治療が完了するまでの期間が長くなることが多いです。具体的には、1年近くかかるケースも少なくありません。

インプラント治療後も喫煙は控えるべき?

タバコを折る女性

インプラント治療後も、喫煙は控えるべきです。治療を無事に終えて安心する方も多いでしょう。「ずっと我慢してきた喫煙を再開できる」と考える患者さまも多いです。

しかし、治療が終わったからと喫煙によるリスクがなくなるわけではありません。インプラント治療後も喫煙を控えることが、インプラントを長く維持するためには重要です。

喫煙による体への影響は多岐にわたりますが特に口内に限れば、喫煙によって口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少します。唾液は口内を潤すだけでなく、細菌の繁殖を抑える役割も持っています。唾液の量が少なくなることで、細菌感染のリスクが高まるのです。

ニコチンには血管を収縮させる作用があるため、血流が悪化し、酸素や栄養素が組織に届きにくくなることが知られています。インプラント周辺の組織が酸素不足の状態となり、免疫力が低下するでしょう。

細菌感染のリスクが高まり、免疫力が低下すると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。インプラント周囲炎は、インプラントの周りに炎症が起きる症状です。進行すると、最終的にはインプラントが脱落することもあります。

治療後にインプラントが安定した場合でも、インプラントを長く使い続けるためには、喫煙を避けたほうがよいのです。

インプラント治療を検討する際は、治療後の禁煙の重要性も十分に理解することが求められます。継続的な喫煙は、高額な費用と長い時間をかけて行ったインプラント治療を無駄にする恐れがあるのです。

インプラントの健康を長く維持したいのであれば、喫煙を控えてください。治療の前後に関わらず、ご自身の健康を守るための選択として禁煙を真剣に考えましょう。

まとめ

タバコ
喫煙者でも、インプラント治療を受けることは可能な場合があります。

しかし、喫煙は血流を悪化させるため、治療中や手術後の傷の治癒が遅れるリスクがあります。また、インプラントが骨に結合する過程でも喫煙の影響を受けやすく、成功率が低下するでしょう。

治療中の喫煙は、インプラントの失敗リスクを高めるとともに、感染症のリスクも増加させる可能性があります。タバコに含まれる成分は口腔内の環境を悪化させ、細菌の繁殖を促進するといわれています。インプラント周囲炎が進行して骨が吸収され、最悪の場合、インプラントが抜け落ちる可能性もあるのです。

治療後も喫煙を続けると、インプラントの寿命が短くなるリスクもあるため注意が必要です。治療中だけでなく、長期的に考えても、喫煙はインプラントの健康を損なう大きな要因となり得ます。インプラント治療を受けるのであれば、控えることが強く推奨されています。

喫煙は、インプラント治療の成功率や長期的な健康に悪影響を及ぼす可能性が高いです。治療を検討する方は、喫煙習慣を見直しましょう。

インプラント治療にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントで歯茎が黒くなるって本当?原因を詳しく解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの3D画像

歯茎は腫れることや出血することがありますが、中には歯茎が黒ずむこともあります。インプラントは歯茎がしっかりとしている状態で埋入する治療法であるため、歯茎の異常はインプラントの問題にも繋がる恐れがあります。

今回は、インプラントで歯茎が黒くなるときはどのようなときなのか、何が原因で黒くなるのかについて解説します。さらに、歯茎が黒くなるのを予防する方法もご紹介しますので、インプラントを長くよい状態で維持したい方はぜひ参考にしてください。

インプラントで歯茎が黒くなるって本当?

クエスチョンマークだらけの女性

インプラント治療そのものが直接歯茎を黒くすることはありませんが、インプラント治療後の不適切な口腔ケアや炎症の発生などが原因で、歯茎が黒く見えることがあります。

具体的には、以下の3つの事例が考えられるでしょう。

歯茎の炎症

1つ目は、歯茎の炎症です。

インプラント周辺の歯茎の炎症が長期間放置されることにより、歯茎の色が変わることがあります。これは、炎症により血流が増大し、その結果、歯茎が赤っぽく見えるのです。

口腔内の衛生状態の悪化

2つ目は、口腔内の衛生状態の悪化です。

インプラントを入れたあとは、特に丁寧なブラッシングが必要です。口腔内の細菌が増えてしまうと、タンパク質や糖と反応して黒い色素を生成する可能性があり、歯や歯茎が黒く見える要因の1つになるでしょう。

インプラントの材質による色移り

3つ目は、インプラントの材質による色移りです。

金属アレルギーがある場合や、金属成分の過剰な溶出が起こると、歯茎が黒く色づくこともあります。インプラント治療を受けた場合でも適切なアフターケアと定期的なチェックアップ(検査)を行うことで、歯茎が黒くなるリスクを大幅に下げることが可能です。

インプラントで歯茎が黒くなる原因

厳しくレクチャーする歯科医

インプラントで歯茎が黒くなる原因は複数あります。ここでは、代表的な例を順番に解説します。

インプラント周囲炎

インプラントにより歯茎が黒くなる原因の1つは、インプラント周囲炎という病気です。

インプラント周囲炎は、インプラントを埋め込んだ部位の口腔内細菌による感染が原因で発生します。インプラントが体に適合せず、組織とインプラントの間にすき間ができると、そこに細菌が侵入しやすくなるのです。その結果、歯茎に炎症が起き、赤みや腫れが生じます。

この状態が放置されると細菌が増え、歯茎が徐々に黒ずんできます。主に、口腔内の清掃が不十分な場合やインプラントの管理が十分でない場合に起こりやすいとされています。

インプラントの埋入後は、日々の口腔ケアを入念に行い、定期的な歯科医院でのメンテナンスを怠らないことが予防につながるでしょう。

インプラントの金属が透けて見えること

インプラントとは欠損した歯を補うための手段の1つで、インプラント体を顎の骨に埋入し、その上に人工の歯を固定する治療法です。

インプラントに使う素材の色により、歯茎が黒く見える原因になることがあります。特に、歯茎の厚みが薄い場合やインプラント体が歯茎の表面に近い位置に設置された場合、インプラントの金属色が歯茎を透けて見えてしまうことがあるのです。歯茎が黒く見えるのは、歯茎が本来もつピンク色ではなく、インプラント体の色が透けて見えているからです。

この問題を予防するためには、初めから歯茎の厚さを考慮して、インプラントの位置を正確に決定することが重要といえるでしょう。また、歯茎が薄い人では、骨や歯茎を増やす処置などが必要となる場合もあります。

歯茎が黒くなる原因はインプラントだけではない?

色の暗い歯茎

歯茎が黒くなる原因には、インプラント以外のことも考えられます。どのような原因があるのか、順番に掘り下げて解説します。

被せ物から溶け出した金属イオン

虫歯の治療で使用した金属製の被せ物やブリッジが歯に装着されている場合も、歯茎が黒くなる原因の1つです。

これらの金属製の被せ物から溶け出した金属イオンは歯肉に影響を与えることがあり、歯肉の色が黒く変わる可能性があります。

たばこに含まれる有害物質

歯茎が黒くなる原因に、たばこに含まれる有害物質も考えられるでしょう。

特に、ニコチンとタールは歯茎に直接付着するため、長期的な習慣によって黒ずみや歯石の原因となります。また、たばこに含まれる有害物質は口腔内の血流を悪くするため、歯茎の健康を害する可能性もあります。

歯茎の黒ずみが気になる方は、喫煙習慣を見直すことも重要な対策です。

歯周病

歯茎が黒くなるケースにおいてよく見られるのは、歯周病です。

歯周病は、口内の細菌が原因で歯茎が炎症を起こし、進行すると歯茎が黒ずんでしまいます。放置すると、歯肉の退縮、歯のグラつきが生じます。最悪の場合は、歯の抜け落ちといった重大な問題を引き起こす可能性もあるでしょう。

歯周病を防ぐためには、日頃の口腔ケアや定期的な歯科医院でのクリーニングが予防には欠かせません。

インプラントで歯茎が黒くなるのを予防する方法

両手に歯ブラシを持つ男性

歯茎が黒くなる原因がインプラントの場合には、いくつか予防するための方法があります。日頃から予防を心がけることで、歯茎が黒くなることを防げるでしょう。効果的な予防方法を順番に解説します。

歯科医院での定期検診

インプラント治療後の口腔ケアは非常に重要です。特に、歯茎の変色を防ぐためには細心の注意が必要といえるでしょう。

歯周病やインプラント周囲炎等の口腔内疾患の初期段階などの場合、定期検診にきちんと行っていれば、医師が発見し対処してくれますが、定期検診に行かずに放っておくと、インプラント周りの歯茎が黒くなる原因となります。

また、定期検診では、クリーニングでインプラント周囲の歯石を除去することで歯茎の健康を保つこともできるでしょう。歯磨きだけでは難しい部分の清掃も可能なため、歯茎の黒ずみの予防だけでなく、インプラントの長持ちにも寄与するというメリットもあります。

常にきれいな口腔内を保つよう心掛け、定期検診を利用して健康な歯と歯茎を維持していきましょう。

自宅でのセルフケア

インプラント治療後に歯茎が黒くなる原因の1つに、口腔内の適切な衛生管理ができていないことが挙げられます。炎症や感染を防ぐために、以下の自宅でのセルフケアを行いましょう。

1. 歯磨き

インプラント周囲も含めて、毎日しっかりと歯を磨くことが必要です。透明の歯磨き剤を使用して、インプラントの色を確認しながら磨くとよいでしょう。

2. フロスまたはインターデンタルブラシの使用

フロスやインターデンタルブラシは、細かい部分の清掃に役立ちます。インプラントと自然の歯の間を清潔に保つことができるでしょう

3. 食事後の口腔ケア

食事後は、口をすすいだりハミガキを行いましょう。

4. アルコールの摂取を控えること

アルコールは口腔内の細菌増加を引き起こし、炎症のリスクを高めます。できる限り控えましょう。

以上のようなセルフケアを意識的に行うことで、インプラント周囲の歯茎の健康を維持し、黒ずみを防ぐことが可能です。

まとめ

満足そうに歯を見る女性

ご自身の歯のようにしっかり噛めて、見栄えもよいことから人気のインプラントですが、ときにインプラントが原因で歯茎が黒くなることがあります。歯茎の黒ずみを防ぐためには、インプラント治療以降の口腔ケアを丁寧に行うことが大切です。

歯茎が黒くなる原因には、インプラント以外の要因もあるため、インプラント部分を適切にケアしているのにも関わらず歯茎が黒ずむ症状が出る場合は、歯科医へ相談しましょう。

歯茎の黒ずみは、歯周病や喫煙など、生活習慣が大半の原因を占めます。歯茎のトラブルを防ぐためには、ふだんの生活を改善することも効果的といえるでしょう。

ご自身でケアできる部分は、できる範囲で改善していきつつ、定期的に歯科医院での診察を受けることも大切です。健康できれいな歯茎を維持していくために、ふだんから口腔ケアを意識していきましょう。

インプラントによる黒い歯茎でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントを除去しなければいけないケースとは?除去方法と費用も解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

3本のインプラントのイメージ図

歯を失ったところに噛む機能をもたせるためには、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの装着が主な治療方法です。その中でもインプラントは、入れ歯やブリッジと比較して装着感が少なく、見た目の審美性もよく、強く噛むことができるため、機能面で優れた治療です。

ただし、インプラント治療後に、インプラントを除去しなければならないケースがあるため、治療前にこの点も含めてインプラントするかどうか検討する必要があります。

インプラント治療とは

インプラントのイメージ図

インプラント治療とはどのような方法であるか、簡単に説明します。

インプラント治療では、インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、定着したらアバットメント(結合部品)と被せ物(上部構造)を装着します。インプラント体を固定するための顎の骨が足りない場合、骨を作る手術も併用して行われるでしょう。

治療期間は、インプラント体の埋入から上部構造の装着まで、数か月から1年ほどかかります。また、インプラント治療は基本的に保険適用外(自由診療)で行われ、インプラント1本を埋入する費用の相場は、20~40万円です。

インプラントを除去しなければいけない原因とは

顎に手を当て不思議そうにしている女性

高い機能性をもつインプラントですが、場合により、治療後にインプラントを除去しなければいけないケースがあります。主な要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。

以下で詳しく解説します。

インプラント周囲炎

インプラントの除去で多い要因が、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とは、埋入したインプラント体の周囲組織に発症する炎症性の疾患です。

インプラント周囲炎になる原因

インプラント周囲炎が発症する主な原因は、清掃不良やメンテナンス不足による細菌感染、インプラント体に過度の負担が加わるオーバーロードなどがあげられます。

インプラント治療の際、医師は適切なインプラント体の選定、綿密な治療計画を組む必要があり、治療後のメンテナンスの重要性を患者さまにご理解いただかなければいけません。患者さまは、定期的に歯科医院で診断とメンテナンスを受け、インプラント治療部位を清潔に保つことが重要です。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎が発症すると、インプラント体の周囲組織の炎症に加えて、インプラント体を支える顎の骨が減少する骨吸収も起こります。

骨吸収が進行すると、インプラント体の固定が弱まり、ものを噛んだ際にぐらついてしまうのです。この骨吸収は度合いにより、歯科医院でリカバリーができないことがあり、インプラントの除去となるケースがあります。

なお、骨吸収を伴わない炎症は、インプラント周囲粘膜炎と区別されており、インプラントの固定に影響は少ないとされています。インプラント部分に異常があると感じたら、早めに歯科医師に相談し、早期発見や治療を心がけましょう。

インプラント体の破損

インプラント周囲炎だけでなく、インプラント体が破損した際にもインプラントの除去が行われます。インプラント体はチタン合金などの金属で構成されており、長期間、体内で力がかかっても耐えるよう形状、表面処理などの工夫がされています。

しかし、耐久性に優れたインプラント体であっても、数十年経つと少しずつ劣化し、破損することがあります。インプラント体が破損した状態で放置すると、インプラント周囲炎や咬合不良などのリスクがあるため、インプラントを除去しなければなりません。

インプラント体の体内への迷入

上の奥歯部分の近くには、上顎洞とよばれる鼻腔(空間)が広がっており、顎の骨が薄いため、インプラント治療の際には骨を作る手術も併用されるケースがあります。そこにインプラント体を埋入すると、インプラント体が上顎洞側へ移動して、まれに鼻腔の中に入り込んでしまいます。

この状態は「インプラント体の迷入」とよばれており、迷入したインプラントは一度除去しなければいけません。迷入したら、鼻から膿が出る、違和感があるなどの症状が出るため、少しでも自覚があれば、治療を受けた歯科医院、もしくは耳鼻咽喉科へご相談いただくとよいでしょう。

神経麻痺

顔には多くの神経が走っています。

お口周りも例外ではなく、医師は治療するうえで神経を損傷しないよう気をつけなければいけません。特に、下の顎に伸びている下歯槽神経は歯根の近くにあり、親知らずの抜歯では、治療後に下唇の知覚麻痺を起こす可能性が2%ほどあるといわれています。

インプラント治療においても、下の顎にインプラント体を埋入する際は神経を傷つけないよう、細心の注意を払います。それでも神経を損傷することがあり、知覚麻痺が確認されたら、インプラントを除去して神経の治療を行わなければいけません。

金属アレルギー

金属アレルギーの方にとって、インプラント治療を行うことができるのか気になる方も多いと思いのではないでしょうか。

結果からいえば、金属アレルギーの方でもインプラント治療は可能です。インプラント体はチタンで構成されるため、金属アレルギーの原因とされる金属(ニッケル・コバルト・水銀・パラジウム・クロムなど)は含まれていないからです。

ただし、ごく稀にアレルギーを発症することがあり、チタンが原因と確認された場合は、インプラントの除去を行います。

インプラント除去の方法

患者と患者の歯を見ている歯科医師

インプラント周囲炎などの要因でインプラントを除去するためには、埋入時と同じく、局部麻酔のもと、外科手術が行われます。

骨吸収が進んでいるケースであれば、軽く引っ張って抜くことができますが、通常は専用の器具を使用して除去します。インプラント体はねじのような形状で、埋入時はトルクをかけるため、除去する際は逆回転させることで抜くことができるのです。

なお、患部の状態によっては、多少骨を削ることもあります。

インプラント除去にかかる費用

費用をあらわすイメージ図

インプラント除去の費用は、保険適用のケースと保険適用外(自由診療)のケースがあります。

以下、それぞれ解説します。

保険適用の場合

保険診療でインプラント除去するには、インプラントを埋入した歯科医院以外の施設で治療を受けなければいけません。さらに、摘出前のレントゲン画像をそろえる必要があります。

一般的なインプラント体の除去は、1本あたり保険点数460点(4,600円)です。保険診療の場合、治療費を3割負担と想定すると、1,400円ほどが自己負担額となるでしょう。

保険適用外の場合

保険適用外で治療を受ける場合は、全額自己負担です。

歯科医院によっては保証制度を設けている場合もあるので、インプラント治療を行った歯科医院にご確認ください。

インプラント除去後に再手術はできる?

両手で疑問のポーズをしている女性

インプラント除去について説明しましたが、除去後に再度インプラント手術を行うことはできるのでしょうか。

できる場合とできない場合に分けて、以下それぞれ説明します。

再手術ができる場合

再度インプラント手術ができる条件は「除去した原因を改善できていること」が挙げられます。

インプラント周囲炎であれば、細菌感染部の除去や炎症の改善、インプラント体の破損であればその除去、神経損傷であればインプラント体の除去と知覚改善などです。

再手術ができない場合

続いて、インプラント除去後に再手術ができないケースをご紹介します。

基本的に、除去した原因が改善できていなければ再手術はできません。具体的には、炎症が治まっていない、癖や生活習慣が改善されていないなどがあげられます。

炎症が治まっていない

インプラント除去後は、一日でも早く再手術して噛める状態に戻したいものです。

しかし、炎症や細菌感染源が改善していないにも関わらず、インプラントを埋入すれば、再度インプラント周囲炎を起こすリスクが高いです。再手術は治療後に計画されるでしょう。

歯ぎしりや食いしばり癖がある

インプラント埋入部の骨吸収が起こる要因は、インプラントに過度の負担があり、歯ぎしりや食いしばり癖がある方にみられます。これらの癖が改善されないうちは、再度インプラント手術を行っても、新しいインプラントに過度の負担がかかるため、癖の改善が必要です。

喫煙習慣がある

インプラント治療において、喫煙者は不利になる傾向があります。タバコを吸うことで血流が悪くなり、インプラントと顎の骨の固定を遅らせる、口内環境を悪化させて細菌感染率を高めるなどのリスクがあるからです。

喫煙者=再手術不可というわけではありませんが、インプラント埋入から除去、再手術の過程で喫煙していたのであれば、喫煙習慣を見直してみましょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

今回は、インプラントの除去について解説しました。

インプラント除去の要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。インプラント除去は保険適用と保険適用外があり、保険適用の場合は3割負担で、インプラント1本あたり1,400円ほどです。インプラントに関するトラブルでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントは抜けることがある?原因と対処法、注意点について解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型を手に持った歯科医師

しっかり治療したはずのインプラントが抜けることはないのかと不安に思う方も多いでしょう。

今回はインプラントが抜けることはあるのか、原因・対処法・注意点などに関して解説します。

インプラントは抜けることがあるのか

椅子に座ってパソコンを手に持った女性が考え事をしている

インプラントは審美性がよく、咬合力が優れていることに加えて、長期間使えるのが魅力です。治療完了後から10年経過しても使用できている方の割合は9割といわれています。

ただし、セルフケアやメンテナンスがなされていることが前提です。これらを怠れば数年で抜けてしまうこともあり、最悪の場合はインプラント治療が不可能になることもあります。

トラブルがあったときに落ち着いて対処できるようインプラントの構造を理解し、どの部分が抜けたのかを確認しましょう。基本的にインプラントは以下の3つの構造でできています。

<インプラントの構造>

上部構造 セラミックなどでできた、差し歯や入れ歯でいう人工歯部分を指す
アバットメント 上部構造とインプラント体を連結するパーツである
インプラント体 顎骨に埋め込まれる人工歯根を指し、チタンなどでできている

インプラントが抜ける原因と対処法

木目のテーブルの上に歯ブラシやフロスが置かれている

インプラントが抜ける原因はさまざまですが、どれも対処法としては事前に予防することや定期的なメンテナンスを行うことです。それでも起きてしまったトラブルに関しては、すぐに歯科医院に相談しましょう。

インプラントが抜ける原因は、以下のとおりです。

  • 不適切なセルフケア
  • メンテナンスを怠った
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 噛み合わせの不具合
  • 喫煙
  • インプラントの劣化
  • 歯科医院側の問題

それぞれを解説していきます。

不適切なセルフケア

治療が完了したあとはさまざまなトラブルを回避するため、自分でインプラントをしっかりケアすることが非常に重要です。ケアを怠ってしまったり、正しいケアが行えていないと、インプラントが抜ける原因であるインプラント周囲炎を発症します。

インプラント周囲炎とはインプラントの周囲にある歯茎や骨が細菌感染を起こし、さまざまな症状を引き起こす疾患です。

インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります。

  • 歯茎が腫れて赤くなる
  • 出血する
  • 排膿する
  • 痛みがある
  • 歯茎が痩せる
  • インプラントがぐらつく

インプラント周囲炎の原因は口腔内細菌です。また、歯周病の原因菌がインプラント周囲炎を助長させることがわかっています。これらの細菌は、歯磨きが不十分なことで歯に付着するプラークに含まれていることから、正しい歯磨きを行い、細菌の増殖を防ぎ、感染を予防する必要があります。

インプラントが抜ける原因となるインプラント周囲炎を防ぐため、以下のことに注意してセルフケアを行いましょう。

  • 力が入らないようペンを持つように歯ブラシを持つ
  • 細かく動かして磨く
  • デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシを併用する
  • 食後に歯を磨く

上記のセルフケアは、インプラント周囲炎だけではなく、歯周病予防にもつながります。

メンテナンスを怠った

インプラントと治療が完了したあとは、定期的にメンテナンスが必要です。

メンテナンスでは主に行われることは以下のとおりです。

  • インプラントや歯茎などの確認・検査
  • ブラッシング指導
  • 歯石の除去
  • クリーニング

歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントが抜けるといったトラブルにつながりやすくなります。インプラントを長持ちさせるためには、トラブルを未然に防ぎ、口腔内を清潔に保つことが大切です。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な力をかけ、大きなダメージを与えます。

天然歯の歯根には歯根膜と呼ばれる薄い膜があり、噛んだ圧力を吸収・分散させる役割を果たしています。インプラントには歯根膜がなく、歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がダイレクトに歯茎や骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こし、インプラントが抜ける原因にもつながります。

本来であれば、インプラント治療を始める前に歯ぎしりや食いしばりを緩和する治療を行うのが理想的です。

ただし、インプラント治療後に発症した場合は、マウスピースをするなどして対処します。

噛み合わせの不具合

インプラントの噛み合わせが悪いと、過度な負担がかかった状態が続きます。結果的に、インプラントの動揺や歯茎の炎症を引き起こすため、噛み合わせに違和感がある場合は歯科医師に伝えて調整してもらいましょう。

また、治療直後は咬み合わせに問題がなくても、生活していくうちに変化が現れることも珍しくありません。噛み合わせを確認するためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。

喫煙

喫煙者のインプラント脱落率は、非喫煙者と比較しておよそ2倍と言われています。喫煙がインプラント周囲炎を引き起こす原因となるためです。

タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させます。また、口腔内を乾燥させ、唾液の持つ抗菌作用・殺菌作用・自浄作用を弱めます。これらのことが細菌感染のリスクを高め、インプラントが抜ける原因ともなるインプラント周囲炎を引き起こすのです。

ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。それによって埋め込んだインプラントと顎骨との結合を阻害し、トラブルを引き起こすリスクを高めます。

喫煙は歯周病を悪化させる原因にもなるため、インプラントだけではなく、ほかの歯にも悪影響を与えます。インプラント治療を始める前に禁煙するのが望ましいでしょう。

インプラントの劣化

接着したセメントの劣化で上部構造が外れることがあります。またスクリュー式のアバットメントの場合は、ネジのゆるみや締め付け不足で抜けることも考えられます。

上部構造やアバットメントに問題がなければ、装着のし直しやネジの締め直しで対処できる可能性が高いです。

歯科医院側の問題

インプラントが抜けるなどのトラブルは、不適切な手術によっても起こります。手術前の検査・診断ミスで、顎骨が少なかったりインプラント周囲炎の要因があったりする患者に手術をすると、骨とインプラントの結合が悪くなり、トラブルが起こるリスクは高まります。

また、質の悪いインプラントを使用することによるトラブルもあちを絶ちません。対処法としては、インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医師か、感染対策や事前検査をしっかり行なっている歯科医院かを確認することが大切です。

インプラントが抜けてしまった際の注意点

青い背景の前に、びっくりマークが描かれた黄色の逆三角が置かれている

万が一インプラントが抜けたときは、自己判断で対処せずに必ず歯科医院に連絡しましょう。

歯科医院での治療がスムーズに進むよう、以下のことに注意してください。

  • どこの部分が抜けたかを確認する
  • 抜けたまま放置しない
  • 抜けたインプラントを戻さない
  • 瞬間接着剤などで固定しない

それぞれを解説していきます。

どこの部分が抜けたかを確認する

前述のとおり、インプラントは3つのパーツで構成されています。

抜けた部分がどこなのかによって原因と対処法が異なります。どの部分が抜けたのか・残った部分は問題ないのか、鏡を使って見るなどして確認しましょう。

抜けたまま放置しない

歯科医院に行くのが面倒といった理由で、抜けたまま放置しないようにしましょう。

審美性や機能性が低下するだけではなく、インプラントが抜けたことでできた「すき間」から細菌が入り、炎症を起こすことがあります。再治療が不可能になる場合も考えられるため注意してください。

抜けたインプラントを戻さない

無理に戻そうとするのは避けてください。細菌感染したり、抜けたパーツを誤飲したりする恐れがあります。

瞬間接着剤などで固定しない

瞬間接着剤などを使って固定するのは避けましょう。

自分で接着すると噛み合わせに不具合が生じ、インプラントや周りの歯に負担をかける可能性があります。

抜けたインプラントの保管方法

包み込むように両手を置いている

抜けてしまったインプラントは、歯科医院を受診するまでの間、清潔な容器に入れて保管しましょう。

ティッシュなどに包んで保管する方もいますが、誤って捨ててしまったり、破損したりする恐れがあるため避けてください。パーツを紛失したり破損したりすると作り直しが必要になります。再度、治療する期間や費用がかかることになるため、抜けたインプラントは大切に保管しましょう。

インプラントが抜けて歯科医院を受診する際に伝えること

歯科の椅子に座って話を聞く患者

歯科医院を受診した際に、以下のことを伝えると治療がスムーズに進みます。

  • 抜けた日時
  • 抜けた際の状況
  • 最近のインプラントの状態
  • 痛みなどの現在の状態

多くの情報を伝えることで、抜けた原因の追及や処置の選択がしやすくなります。

まとめ

黄色い背景の前にコップに入った歯ブラシと歯磨き粉が置かれている

インプラントを長期間快適に使うためにも、抜ける原因になることは避け、定期的なメンテナンスを受けましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントの再治療が必要なケースとは?再治療になる原因や予防方法も解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

水色の背景の前に、インプラントの模型が置かれている

インプラント治療は高額で治療期間も長いため、再治療になることへの不安を抱えている方も多いでしょう。再治療が必要になるケースもありますが、日頃から適切なケアをすることでインプラントの寿命を延ばすことができます。

今回は、インプラントで再治療が必要になるケースや原因、予防法などを解説します。

インプラントの寿命はどれくらい?

白い木目の背景の前に白い目覚まし時計が置いてある

インプラントの寿命はどれくらいなのでしょうか。歯を失ったときの治療法であるブリッジ・入れ歯の寿命と合わせて、比較しました。

<インプラント・ブリッジ・入れ歯の寿命>

インプラント ブリッジ 入れ歯
10~15年 7~8年 3~5年

インプラントを入れてから10年使い続けられている方の割合は、9割といわれています。日頃からセルフケアやメンテナンスをしっかりと行っていれば、インプラントは10年使い続けることができるのです。

ブリッジや入れ歯と比較して、寿命が圧倒的に長いのはインプラントの大きな魅力のひとつといえるでしょう。

インプラントの再治療が必要なケース

歯のレントゲン写真を見ている男性患者と女性歯科医師

インプラントは長く使えて快適に噛めることが魅力ですが、以下のような症状が出た場合には再治療が必要になります。

  • 痛み・腫れがある
  • インプラントがぐらつく
  • インプラントの破損

それぞれを解説していきます。

痛み・腫れがある

インプラントを入れている箇所の痛みや腫れが続く場合は、再治療が必要になる可能性があります。

痛みや腫れの原因として考えられるのが、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織が細菌感染し炎症を起こした状態をいいます。炎症を起こす原因は歯周病と同様のプラーク中の細菌で、症状も似ていることからインプラントの歯周病ともいえるでしょう。初期は自覚症状がないことが多く、気付いたときには重症化していることも多いです。

以下にインプラント周囲炎の進行度ごとの症状をまとめました。

<インプラント周囲炎の進行度と症状>

進行度 症状
軽度 ・歯茎が赤くなり腫れる
・出血がある
中等度~重度 ・腫れがひどくなる
・膿が出る
・痛みがある
・歯茎が下がる
・インプラントがぐらつく

痛みや腫れ、もしくは上記の症状がある場合はインプラント周囲炎が考えられるため、再治療が必要になることがあります。

インプラントがぐらつく

歯槽骨が細菌感染すると骨吸収が起こり、やがてインプラントを支えきれずにぐらつき始めます。さらに重症化すると、抜け落ちてしまう恐れもあります。また、歯茎に炎症があったなどの理由で埋入したインプラントがうまく骨と結合せずに、ぐらつきが起こることも考えられます。

噛み合わせなどを調整しても改善が見られない場合は再治療が必要です。

インプラントの破損

衝撃や劣化によってインプラントが破損した場合は、再治療が必要になります。

破損した部分が、骨に埋入されたインプラント体に装着された人工歯のみであれば、再治療は人工歯の交換・修理のみで済むでしょう。

インプラントの再治療になる原因

インプラントの再治療が必要になる原因は以下のとおりです。原因を理解し、再治療を未然に防ぎましょう。

  • メンテナンスを行わなかった
  • セルフケアが不十分であった
  • 歯ぎしりや食いしばりをしている
  • 喫煙している
  • 治療に問題があった

それぞれを解説していきます。

メンテナンスを行わなかった

インプラントは長期間使用できますが、大前提として定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎を引き起こし再治療することになりかねません。

天然歯にある歯根膜がインプラントにはなく、血液からの栄養の供給が乏しくなります。その結果、細菌への抵抗力が弱まり炎症が起こりやすくなるため、天然歯と比較してもより一層メンテナンスが重要なのです。

セルフケアが不十分であった

治療が終了しメンテナンスを受けるまでは、自身によるケアで健康な状態を維持しなければなりません。インプラント周囲炎を予防するためにも、しっかりと歯磨きをして清潔な状態を保ちましょう。

インプラントのブラッシング方法など、セルフケアで不安な点があれば必ず歯科医院で確認しましょう。

歯ぎしりや食いしばりをしている

歯ぎしりや食いしばりは再治療になる大きな原因であるため、注意が必要です。

歯ぎしりや食いしばりは、歯に強い力が加わるため、インプラントや歯槽骨に負担がかかります。歯根を覆い圧力を和らげる働きをする歯根膜がインプラントにはないため、歯ぎしりや食いしばりによる強い力が直接歯槽骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まるのです。また、歯ぎしりや食いしばりによって、人工歯が削れたり割れたりすることで再治療が必要になる可能性もあります。

喫煙している

喫煙によって、インプラントの失敗率や再治療率が上がることがわかっています。

タバコが身体に与える作用が原因によるインプラントに及ぼす影響は、以下のとおりです。

  • 傷が回復しにくくなる
  • 骨と結合しにくくなる
  • インプラント周囲炎を引き起こしやすくなる

それぞれを解説していきます。

傷が回復しにくくなる

ニコチンには、血管を収縮させる作用があります。インプラント手術後の患部に酸素や栄養が行き渡りにくくなり、傷の回復が遅れます。

また、ニコチンの細胞の働きを抑制させる作用で、歯茎や骨の回復を妨げることも、傷が回復しにくくなる原因のひとつです。

骨と結合しにくくなる

ニコチンの血管収縮作用により、インプラントと骨の結合を阻害します。インプラントがしっかりと定着せず、ぐらつきや抜ける原因となります。

インプラント周囲炎を引き起こしやすくなる

喫煙は唾液の分泌量を低下させることから、口内の細菌が増え、インプラント周囲炎を引き起こしやすい口内環境をつくります。

また、白血球の活動を抑制させ免疫力が低下することも、インプラント周囲炎を発症する原因となります。

治療に問題があった

インプラントは歯科治療の中でも特に専門性の高い分野であるため、歯科医師の技術不足は再治療の原因になります。

また、費用が安いといった理由で歯科医院を選ぶと、安価なインプラントや材料を使用していたり設備が整っていなかったりする場合も考えられ注意が必要です。

インプラントの再治療にかかる費用と保証

掌の上に水色のチェックマークが浮いている

インプラント治療にかかる費用は高額であり、長期間使用することから、各歯科医院で保証を用意していることが多いです。

ただし、インプラントは自由診療で保証内容は歯科医院側である程度自由に決められるため、事前に確認しておきましょう。保証期間は、多くの歯科医院が5〜10年に設定しています。費用は、保証期間内であれば無料であったり保証限度額が決まっていたりとさまざまです。

注意しなければならないのが、保証を受けるためには条件があることです。定期的なメンテナンスのための通院を怠りトラブルが起きた場合などは保証が受けられないことが多いため、注意しましょう。

インプラントの再治療を予防するために

歯の模型と4本のカラフルな歯ブラシ

インプラントの再治療を予防するため、以下のことに注意しましょう。

  • 定期的なメンテナンスを行う
  • 適切なセルフケアを行う
  • ナイトガードを使用する
  • 禁煙する
  • 信頼できる歯科医院を選ぶ

それぞれを解説していきます。

定期的なメンテナンスを行う

定期的なメンテナンスには忘れずに通いましょう。

メンテナンスでは、インプラントの状態や噛み合わせの確認・ブラッシング指導・クリーニングなどが行われます。インプラント周囲炎やインプラントの破損などによって再治療を予防します。

適切なセルフケアを行う

インプラント部分は、プラークが溜まらないよう注意して磨きましょう。歯間ブラシやフロスを併用するなどし、正しいセルフケアで口内を清潔に保ち、再治療を予防しましょう。

ナイトガードを使用する

歯ぎしりや食いしばりがある方は、就寝時にナイトガードを使用することをおすすめします。

インプラントだけではなく、ほかの歯への負担を和らげられます。

禁煙する

インプラントの再治療を予防するためには、禁煙するのが効果的です。

喫煙が引き起こすインプラント周囲炎は、再治療の原因になるだけではなく、最悪の場合、インプラントが抜けて再治療ができないことも考えられます。歯周病を悪化させ、ほかの歯にも悪影響を及ぼすため、禁煙をおすすめします。

信頼できる歯科医院を選ぶ

インプラントは治療期間が長く、メンテナンスが定期的に必要であるため、信頼のおける歯科医院を選ぶことが大切です。

また、歯科医師のインプラント治療の実績や経歴を確認するのもよいでしょう。保証内容も事前に確認し、自分に合った歯科医院を選んでください。

まとめ

水色の背景の前に6本の歯と、その上に歯ブラシがある

インプラントの寿命を延ばすために、日頃からしっかりとケアを行いましょう。また、定期的にメンテナンスに通い、清潔な口内環境を保つことが重要です。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

 

インプラント周囲炎とは?歯周病との違いや症状、治療法について詳しく解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

口元に指を当て、険しい表情をしている男性

インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病です。

しかし、歯周病と違ってインプラント周囲炎は進行が早く、予後が悪くなることが多いため、予防が非常に重要です。

この記事では、歯周病との違いを踏まえ、原因や治療法について詳しく解説します。

インプラント周囲炎とは?

指で口を広げ、奥歯のインプラント部分を見せている

インプラント周囲炎とは、歯周病菌によりインプラントの周辺組織が炎症を起こしている状態のことをいいます。

インプラントの歯は天然歯に比べて抵抗力が弱いため、一度細菌感染を起こすと急速に骨吸収が進行します。自覚症状が出にくいため、気付いたときには重症化していることがほとんどです。

インプラントはチタンやセラミックなどでできているため、虫歯にはなりません。

しかし、インプラントの周囲にある歯肉や骨が細菌感染を起こすと、歯周病と同じように炎症が起きて顎の骨が溶かされます。日本歯周病学会からは、インプラント埋入後3年以上で9.7%の人がインプラント周囲炎を発症したという研究報告が出されています。

参照:歯周病患者における口腔インプラント治療指針およびエビデンス 2018

インプラント周囲炎と歯周病の違い

片手に歯の治療器具を持って、斜め上を見上げている歯科助手

インプラント周囲炎と歯周病の症状は同じですが、進行速度や重症化するリスクが違います。

天然歯には、歯と歯槽骨の間に「歯根膜」という膜が存在します。歯肉や顎の骨に血液を供給し、栄養補給の役割を担っています。一方、インプラントには歯根膜がないため、周辺組織の免疫力が低下し、感染しやすい状態になっています。また、天然歯は、歯根膜があることで歯肉と骨が密着している状態になり、細菌の侵入を防いでいます。歯根膜がないインプラントは、歯と歯肉の間に隙間ができやすく、細菌が入りやすい状況になっています。インプラントは構造上、天然歯よりも感染しやすく重症化しやすい特徴があり、インプラント周囲炎の進行速度は、歯周病の3倍ともいわれています。

さらに、歯周病とインプラント周囲炎では歯周病菌を構成する細菌の種類や比率が多少異なることがわかっており、インプラント周囲炎に歯周病の治療を行っても、あまり効果がありません。これがインプラント周囲炎は歯周病よりも難治性が高いといわれている理由です。

インプラント周囲炎の症状

前歯の歯茎を見せている女性

<進行度別 インプラント周囲炎の症状>

進行度 症状
 

軽度

 

歯茎が腫れ、押すと出血する。
 

中等度

 

歯茎から膿が出て、口臭が発生する。

 

重度

 

歯茎が下がり、インプラントが露出したり、グラグラして不安定になったりする。痛みが出ることもある。

 

インプラント周囲炎は、初期の段階では痛みはありません。自覚症状が乏しいのが歯周病およびインプラント周囲炎の特徴です。

軽度では、歯周ポケットにプラーク(歯垢)が溜まり炎症が起きている状態で、骨の破壊はまだ起きていません。

中等度は、歯槽骨まで炎症が広がって膿が出てきます。

重度になると、歯槽骨の吸収に伴って骨に炎症が起きているため、痛みを感じる場合があります。歯茎が痩せてしまい、インプラントが露出することもあり、最終的にはグラグラして抜け落ちることがあります。重度のインプラント周囲炎になると、ほとんどの場合インプラントを除去しなければなりません。

インプラント周囲炎の原因

右手に歯の模型、左手に治療器具を持っている歯科医師

インプラント周囲炎の原因は、歯磨きやメンテナンスを怠ることに加え、生活習慣や持病なども関係しています。

ケアを怠る

「歯磨きを毎日行わない」「ブラッシングが雑」などが原因でインプラント周辺に汚れが溜まると、細菌が増殖して、インプラント周囲炎を発症します。歯科医院への通院も怠ると、発症リスクは高くなります。

プラークは歯磨きで落とせますが、プラークが固まった歯石は歯科医院のクリーニングでないと落とせません。歯石は歯周病の原因になるため、定期的に除去する必要があります。

喫煙習慣がある

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなります。血流が悪くなると、酸素や栄養素が行き届きにくくなり抵抗力が弱まり、インプラント周囲炎を発症するリスクが高くなります。

さらに、傷を治す細胞の働きも阻害してしまうので、炎症が起きた場合は治りにくくなるという特徴があります。

糖尿病や貧血がある

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、血糖値が高いと細菌に対する抵抗力が弱くなります。タバコと同様、傷が治りにくい性質もあるため、病気になった際は治りが遅くなる傾向があります。血液は、栄養や病気を治す白血球を全身に運んでくれる役割がありますが、血液の量が不足する貧血の場合、免疫力が低下して感染しやすい状態になります。

上記のような免疫力を低下させる疾患をもっている方は、インプラント周囲炎になりやすいため、注意が必要です。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある

歯ぎしりや食いしばりは無意識に起こっていることが多いですが、歯や顎の骨に非常に大きな負担がかかっています。負荷は体重の2〜3倍ともいわれています。

歯周組織が損傷すると炎症が起きやすくなり、インプラント周囲炎を発症することがあります。

歯周病が完治していない状態でインプラントを治療を受けた

インプラント治療を受けるにあたって、歯周病がある場合は事前に完治させなければなりません。インプラントは、細菌に感染すると複雑な治療が必要になるため、埋め込む前にさまざまなリスクを取り除いてから治療を開始します。

インプラント周囲炎を放置してしまうとどうなる?

歯のレントゲン写真を持っている

インプラント周囲炎を発症すると骨が溶けていくため、最終的にインプラントが抜け落ちます。歯周病菌がインプラント周囲にとどまらず、ほかの歯にも感染を広げていくと、多くの歯が歯周病を発症することになります。インプラントがグラグラして不安定になっている場合は、噛み合わせにも影響が出るでしょう。噛み合わせが悪いと一部の歯に負担が集中するため、歯が欠けたり割れたりする場合があります。

インプラント周囲の組織が破壊されてしまうと、完治が難しく、処置やメンテナンスを徹底的に行ったとしても維持できる確率は60%程度しかありません。インプラント行なっている場合は、感染を防ぐことが非常に重要です。

日本歯科医学会厚生労働省委託事業によると、インプラントの生存率は埋入後10〜15年で上顎が約90%、下顎が約94%との報告が出されています。日頃から適切に対策ができていれば、長期にわたってインプラントを維持することができるでしょう。

参照:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&A

インプラント周囲炎の治療法

歯科医院で治療を受けている女性

インプラント周囲炎の治療法は、歯周ポケットに薬剤を注入または内服する「非外科的治療」と、歯肉を切開して手術を行う「外科的治療」の2種類があります。

それぞれ解説していきます。

非外科的治療(骨の吸収が軽度の場合)

  1. 歯周ポケットの掃除
  2. 薬剤またはレーザーで細菌を死滅
  3. 抗生物質で炎症を抑制
  4. 歯磨きや生活指導

PMTC(プロフェッショナル・メディカル・ティース・クリーニング)で、歯周ポケットに溜まったプラークや歯石を取り除きます。インプラント周囲炎が軽度の場合は、治療はここまでです。

細菌の感染がさらに広がっている場合は、歯周ポケットに薬剤を入れ、殺菌作用のある薬剤を使ってうがいすることで、口内全体の細菌を死滅させます。薬剤だけでなく、PDT(光線力学療法)と呼ばれるレーザーを用いて殺菌する方法もあります。

さらに、炎症を抑えるために抗生物質を歯周ポケットに注入し、帰宅後も一定期間薬を内服する必要があります。

最後に、適切な歯磨きの方法や、歯ぎしりや全身疾患を持ち合わせている方には生活指導も行います。

外科的治療(骨の吸収が進んでいる場合)

  1. 歯肉切開
  2. 骨の再生

骨の吸収が進んでいる場合は、インプラントに直接アプローチする必要があるため、歯肉を切開します。薬剤や専用の機器を用いてインプラントの表面を掃除し、殺菌します。

骨の吸収が進行して骨の再生が必要な場合は、骨移植やメンブレンで覆って骨の再生を図ります。メンブレンは、骨の再生を促す人工膜です。

上記の治療法でインプラント周囲炎が改善されない場合は、インプラントを除去しなければなりません。

インプラント周囲炎を起こさないために

タオルと歯ブラシ2本、歯磨き粉、コップが置かれている

インプラント周囲炎を起こさないためには、口内を清潔に保つことです。また、感染しにくい体づくりも重要です。

セルフケアを徹底する

毎日丁寧にブラッシングをしましょう。歯ブラシは毛先が細いものを使用すると歯周ポケットに届きやすいです。また、歯の表面だけでなく、歯周ポケットの中の汚れを掻きだすように磨きましょう。

磨き方のポイントは、歯茎に対して歯ブラシを45度に当て、小刻みにブラッシングします。歯間ブラシやフロスは、歯ブラシだけでは落としにくい歯と歯の間の汚れも落とすことができるのでおすすめです。

歯科医院でブラッシング指導も行っているので、通院の際に聞いてみるのもよいでしょう。

歯科医院でメンテナンス

インプラント治療は埋めて終わりではありません。天然歯よりも細菌感染しやすいことから、治療後は定期的に歯科医院でのメンテナンスが必要です。セルフケアだけでは落としきれない汚れもあるため、3か月に1回を目安にクリーニングを受けるようにしましょう。

メンテナンスでは、クリーニングだけでなく、レントゲンで顎の骨の状態も確認してくれます。インプラントのネジの固定が緩んでいないか、噛み合わせによってインプラントに過剰な負荷がかかっていないかなども判断してくれるので、安心できるでしょう。

インプラントの構造上、細菌が奥深くまで入り込んでしまうと完全に除去することは難しいため、天然歯よりも予後が悪くなることが多いです。インプラント周囲炎の予防に加え、早期発見にもつながるため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けるようにしましょう。通院が続けられるように、通いやすい歯科医院を選ぶことも大切です。

禁煙

喫煙は、タバコに含まれる成分によってインプラント周囲炎を発症するリスクが上がります。禁煙は全身の健康にもつながるため、まずは喫煙本数を少なくし、必要であれば禁煙外来を受診するとよいでしょう。

生活習慣の改善

糖尿病や貧血などの持病がある方は、感染しやすいうえに、治りも遅くなります。また、食生活が乱れていたり疲れが溜まっていと、免疫力が下がり、細菌への抵抗力が弱くなります。栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠時間を確保しましょう。免疫力を上げるには、ストレスを溜めないことが非常に重要です。

さらに、食事の際は噛む回数を増やしましょう。唾液は噛むことによって分泌が促進されます。唾液には、口内の汚れを洗い流し、殺菌する効果があります。インプラント周囲炎を予防するには「ふだんよりも多めに噛むこと」を意識しましょう。

まとめ

歯の模型の入れ物に入っている歯の治療器具

インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいため、進行に気付きにくいのが特徴です。進行速度が早く、予後が悪くなることが多いため、手遅れにならないよう早期発見・早期治療が大切であるといえます。インプラントの寿命を延ばすためには、ふだんから丁寧に歯を磨き、定期的に歯科医院を受診しましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントをやらなきゃよかったと後悔しないために重要なこととは?後悔した事例もご紹介!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

テーブルに両肘をついて憂鬱そうな顔をしている女性

「インプラントをやらなきゃよかった」という声を耳にすると、インプラント治療を検討されている方は不安になってしまいます。

しかし、インプラント治療を受ける前に、インプラントについて正しい知識があり、適切な歯科医院選びができれば、後悔することなく治療を受けられるでしょう。

この記事では、インプラント治療を後悔しないためにどうすればいいのかを詳しく解説しています。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントのメリット・デメリット

木の台の上に天秤が置かれている

インプラント治療は歯を失った際の治療法です。インプラント以外にブリッジと入れ歯という治療法もあります。ブリッジや入れ歯と比べて、インプラントにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

インプラントのメリット

インプラントのメリットは、以下の3つです。

  • 見た目も機能も自分の歯と同じように再現できる
  • ほかの歯に負担をかけずに治療できる
  • 骨が痩せるのを予防できる

それぞれ詳しく解説します。

見た目も機能も自分の歯と同じように再現できる

インプラントの最大のメリットは、自分の歯と同じように再現できる点です。ネジとなる部分は歯茎の中に埋め込み、上部は歯と同じ形態の被せ物で修復します。見た目はインプラントか自分の歯か区別がつかないほど自然で美しいです。

また、インプラントにすることで、しっかりと噛めるようになります。噛む力は入れ歯やブリッジよりも優れていて、ほとんどのものを食べられるようになるため、食事には困りません。

ほかの歯に負担をかけずに治療できる

ブリッジは欠損歯の隣の歯を削らなければならず、部分入れ歯は残っている歯にバネをかけて入れ歯を固定させる必要があります。そのため、ブリッジも部分入れ歯も、残っている歯に大きな負担がかかってしまうのです。

その点、インプラントは、ほかの歯に大きな負担をかけることなく治療ができます。インプラントは残っている歯に優しい治療法ですが、噛む力が強いことで注意すべき点もあります。噛み合う歯が弱い場合、噛み合わせによっては噛み合う歯がダメになってしまう可能性があるのです。インプラントの咬合力を考慮しながら、噛み合わせの調整を行う必要があります。

骨が痩せるのを防げる

顎の骨は、加齢とともにどうしても痩せてしまいます。歯がない部分は、特に刺激が加わらないことで痩せてしまいがちです。

しかし、インプラント治療をすると、噛む力が骨にも伝わり、痩せるのを防いでくれます。歯ぎしりや食いしばりなど、極端に強い力が加わるとインプラントに大きなダメージを与えてしまうので注意が必要です。

インプラントのデメリット

インプラントのデメリットは、以下の5つです。

  • 手術が必要である
  • 治療費が高額である
  • 治療期間が長い
  • 喫煙者には向いていない
  • 治療後には定期的なメンテナンスを受ける必要がある

それぞれ詳しく解説します。

手術が必要である

インプラントは手術が1〜2回必要です。

インプラント手術に年齢の上限はありませんが、全身疾患の有無や服薬状況によってはインプラント手術を受けられないこともあります。

治療費が高額である

インプラントは自由診療のため、歯科医院によって金額はさまざまです。相場では1本300,000円以上することが多く、インプラントを埋める本数が増えるほど治療費は高額になります。

治療期間が長い

インプラントは、ブリッジや入れ歯の治療と比べて治療期間が長くかかります。

精密検査と歯科医師による診断後に治療計画が立てられますが、歯周病の方はインプラント治療を受ける前に歯周病治療を受けなければいけません。また、インプラント手術自体は1〜2回で終わることがほとんどですが、手術後はインプラントと骨がしっかりくっつくのを待つ期間が必要です。この待機時間が数か月かかるので、トータルしてインプラント治療は治療期間が長くなってしまいます。

喫煙者には向いていない

インプラント治療にタバコは大敵です。

喫煙することで血流が悪くなり、インプラントと骨がしっかりくっつかなくなってしまいます。それだけではなく、唾液の分泌量が減ったり、免疫力が低下したりするため、細菌感染も引き起こしやすくなってしまいます。

治療後には定期的なメンテナンスを受ける必要がある

インプラントは、最終的な被せ物を装着して終わりではありません。そのあとも定期的にメンテナンスを受ける必要があります。定期的なメンテナンスを受けていないと、インプラントのトラブルに気付かず、インプラントがダメになってしまう可能性があります。

多くの歯科医院では、インプラント保証の条件に「定期的にメンテナンスを受けること」を掲げています。そのため、インプラントに何かあっても、定期的にメンテナンスを受けていなければ保証してもらえない可能性があるのです。

インプラントをやらなきゃよかったと後悔した事例

両手で頬を押さえ落ち込んでいる表情の女性

インプラントをやらなきゃよかったと後悔している方もいます。高い治療費を払ったのに、インプラントがすぐにダメになってしまうのは非常に残念なことです。

ここでは「インプラントをやらなきゃよかった」と後悔してしまった事例をご紹介します。

インプラント周囲炎になってしまった

インプラント周囲炎になってしまい、インプラントがダメになってしまったというケースは少なくありません。

インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病のことです。インプラントが入っている方であれば、誰でもインプラント周囲炎になる可能性があります。日々のブラッシングやメンテナンスを怠ってしまうことが原因で細菌感染を起こし、インプラント周囲炎が進行してしまいます。進行するとインプラント周囲の骨を溶かしてしまい、インプラントを支えられなくなってしまうのです。インプラント周囲炎を予防するためにも、ブラッシングやメンテナンスをしっかり行いましょう。

インプラントと骨がしっかりくっつかなかった

インプラントが骨としっかりくっつかない場合、インプラント部分が揺れ、しっかり噛むことができません。インプラントが抜け落ちてしまうこともあるでしょう。

インプラントは、適切な角度と深さでインプラント体を埋める技術が必要な治療です。適切な部分にインプラント体を埋めるためには、歯科用CTを用いて精密検査をします。精密検査の結果を確認しながら緻密な治療計画を立てれば、このようなトラブルを防げることは多いです。治療の際は、治療計画をしっかりと確認しましょう。

また、インプラントと骨がしっかりくっつかない原因には喫煙習慣も挙げられます。ヘビースモーカーの方はインプラント治療に向かないといえるでしょう。

インプラントの被せ物がすぐに外れてしまった

「インプラントの被せ物がすぐに外れてしまった」という事例もあります。

2ピースタイプのインプラントを使用している場合、インプラントと連結しているネジが緩んでしまうことで、被せ物が外れてしまうことがあります。そのほかにも、噛み合わせが悪いとインプラントに負担がかかってしまい外れてしまうこともあります。

痛みや痺れが続く

「痛みや腫れが長い間続いてつらかった」という事例も稀にあります。

通常、インプラントの痛みや腫れのピークは手術後2〜3日です。多くの場合、1週間ほどで治ります。痛みや腫れが2週間以上続く場合は、細菌感染を起こしているかもしれません。手術時の衛生管理ができていなかった場合や術後に喫煙・飲酒をしてしまった場合にも痛みや腫れが起こる可能性があります。術後に抗生剤が処方されるので、しっかりと指示通りに服薬しましょう。また、インプラント治療の際に下歯槽神経を傷つけてしまった場合、痺れや麻痺が出ます。痺れや麻痺が出たら、すぐに歯科医院に連絡して診てもらいましょう。

インプラントをやらなきゃよかったと後悔しないために

険しい顔のスマイリーと笑顔のスマイリーマーク

ここ数年でインプラント治療がメジャーとなり、多くの歯科医院でインプラント治療を受けられるようになりました。インプラント治療で後悔しないために最も重要なことは、インプラントについての正しい知識を身につけておくことです。メリットやデメリット、リスクなどをきちんと把握しておくことで、ある程度のトラブルを防ぐことができます。

そのほかに、歯科医院選びも非常に重要です。知識や技術が足りない歯科医院で治療を受けると、術後に大きなトラブルが起こることがあります。予期せぬトラブルに対応してもらえないこともあるかもしれません。

せっかく高額な治療費をかけてインプラント治療を受けても、トラブルによって「インプラントをやらなきゃよかった」と後悔してしまうのは非常に残念です。後悔しないためには、インプラントの実績があり、信頼できる歯科医師のもとで治療を受けることをおすすめします。

まとめ

水色の台の上に歯ブラシ、聴診器、治療器具などが置かれている

インプラント治療を受けた人の中には「インプラントをやらなきゃよかった」と後悔している方がいるのは事実です。後悔している方は、ほとんどの場合、治療後のトラブルによるものです。

「インプラントをやらなきゃよかった」と後悔しないために、インプラントのメリットやデメリット、リスクをしっかり把握する必要があります。また、信頼できる歯科医院でインプラント治療を受けることも重要です。歯科医院を選ぶ際は、治療説明をしっかりしてくれるか、歯科用CTで精密検査を行っているか、治療後のケアも丁寧にしてもらえるかをしっかりと確認しましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

前歯のインプラントの10年後!長持ちさせるために気を付けることについて解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

白い背景の前で目覚まし時計を持っている

インプラントの寿命は一般的に10年といわれています。「10年しかもたないの!?」と不安に感じる方もいらっしゃいますが、これはあくまで目安であり、多くの方はインプラントを10年以上安定して使用しています。

この記事では、前歯のインプラントは10年もつのか、インプラントをより長持ちさせるためにはどうしたらいいのかを解説しています。

前歯のインプラントの寿命は10年程度

砂時計や時計のイラストを指でタッチする男性

インプラントの寿命は10年といわれていますが、これは一般的な目安です。部位を問わず10年程度はもつということです。

ただし、すべてのインプラント治療の症例で10年も長持ちさせられるわけではありません。インプラント治療を受ける前の骨の状態やインプラント治療後のお口の管理などによって、大きく差が生じます。そのため、前歯のインプラントの寿命は10年程度といわれているものの、人によっては30年以上長持ちさせられるケースもありますし、数年で使用できなくなってしまうケースもあります。

インプラントを入れたら10年後どのような状態になる?

歯科医師が歯型の模型にインプラントを装着している

トラブルなくインプラントにした歯を10年後も使用されているケースが多いですが、10年という長い年月の間に被せ物が外れたり、欠けたりするトラブルも十分にありえます。被せ物だけのトラブルであれば、再度型取りをして新しい被せ物を作製し、装着することが可能です。

被せ物だけでなく、インプラント体に問題が生じた場合は、インプラントを抜いて再度埋め直す処置が必要になるかもしれません。

前歯の場合は、歯茎が下がってきてインプラントの金属部分が露出してしまうことがあります。歯茎が下がる原因の1つは、インプラント周囲炎という歯周病ですが、ブラッシング圧が強いなどの不適切な歯磨きでも歯茎が痩せてしまいます。前歯は特に審美面が重視されますので、インプラント治療後のお口の管理が非常に大切といえるでしょう。

インプラントが10年も経たずにダメになってしまう原因

歯鏡で歯の状態を検査されている

残念ながら、一般的な寿命である10年まで長持ちさせられないケースもあります。「インプラント治療は成功したのに、どうしてこんなにすぐにダメになってしまったのだろう…」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

インプラントを長持ちさせられない原因は、以下の4つが考えられます。

  • インプラント周囲炎
  • 喫煙
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • ほかの歯の不調

それぞれの原因について詳しく解説します。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、細菌感染を起こしてインプラント周囲組織に炎症が起きる病気で「インプラントの歯周病」ともいわれます。インプラント治療を受けている方であれば誰でも起こる可能性がある病気で、ブラッシング不足などの原因から、インプラントと歯茎の境目に細菌が入ることで発症します。進行すると、インプラント周囲の骨を溶かしてしまうので、放置するとインプラントが抜け落ちたり、取り除かないといけなくなります。

初期段階ではほとんど自覚症状がないため、自分では気付きにくいのが難点です。また、インプラント周囲炎は進行が早いのも特徴で、非常に早いスピードで骨を溶かしてしまいます。インプラント周囲炎になったとしても早い段階で気付ければ治療が可能ですが、手遅れになってしまうとインプラントを10年ももたせることはできないでしょう。

喫煙

喫煙されている方は、インプラント手術を受ける前に歯科医師から「手術の1週間くらい前から禁煙してください」と説明を受けるでしょう。喫煙することで血行が悪くなり、インプラント体と骨がしっかりくっつかなくなってしまうので、インプラント手術後もしばらくは禁煙が必要です。そのほかにも、白血球の役割が弱まることで細菌感染しやすくなったり、唾液が減ることでインプラント周囲炎を発症しやすくなるなど、さまざまなリスクが高まりす。

インプラント周囲炎や歯周病にとってタバコは大敵であり、喫煙者は非喫煙者に比べて2〜6倍、インプラント周囲炎や歯周病になりやすいといわれています。それほど喫煙はインプラントにとってリスクが高く、インプラントの寿命に大きく関係するのです。ヘビースモーカーの方は、インプラント治療を受けられないと歯科医師に判断されることもあるでしょう。

歯ぎしりや食いしばり

自分では気付いていないだけで、ほとんどの方が歯ぎしりや食いしばりをしています。無意識でしてしまうので相当な負荷がかかっているのです。特に就寝時は、意識的に気付きにくいため気を付けなければいけません。

歯ぎしりや食いしばりがあることで、健康な歯が欠けたり割れたりしてしまうことがあります。天然歯の場合は、根っこの周りにある「歯根膜」がクッションの役割を果たし、歯に加わった力を分散させてくれますが、インプラントの場合は、歯根膜がないため、顎の骨に大きな負担がかかってしまうのです。被せ物だけが割れたり欠けたりすることもありますが、インプラント自体にダメージが加わった場合は、インプラントが抜けてしまうこともあります。そのため、歯ぎしりや食いしばりの症状がある方は、就寝時にマウスピースを装着しましょう。マウスピースを装着することで、インプラントやほかの歯にかかる負担を減らすことが可能です。

スポーツをされている方や重い荷物を運ぶときなど、力を入れるときに食いしばる傾向があります。就寝時だけでなく、歯ぎしりや食いしばりをしてしまうときにマウスピースを装着するようにしましょう。

ほかの歯の不調

インプラントに特に問題がなくても、ほかの歯がダメになってしまった場合、部位によってはインプラントにも負担がかかります。全体的にバランスよく噛めない状態は、残っている歯に大きな負担がかかってしまうのです。

インプラント自体に問題がないのに、噛み合わせの問題でインプラントがダメになってしまうのは避けるべきです。インプラントに限らず、不調がある歯は早めに治すようにしましょう。

前歯のインプラントを長持ちさせるために気を付けること

聴診器と禁煙マークが描かれたハート型の木が置かれている

インプラント治療は治療期間が長く、また高額な治療費がかかります。せっかくインプラント治療を受けたのであれば「できるだけ長持ちさせたい!」と多くの方が考えるでしょう。前歯のインプラントを長持ちさせるためにはどのようにすればいいのでしょうか。

インプラントを長持ちさせるために気を付けることは、以下の3つです。

  • 定期検診でメンテナンスを受ける
  • お口のケアを怠らない
  • 禁煙する

それぞれの理由を解説します。

定期検診でメンテナンスを受ける

インプラント治療後は、必ず定期的にメンテナンスを受けましょう。

どこの歯科医院でインプラント治療を受けてもメンテナンスの必要性について説明があります。定期的なメンテナンスを受けず、インプラントに何かトラブルが起きてしまった場合は保証対象外になってしまうことが多いです。定期検診の間隔は歯科医院によって異なりますが、3〜6か月に1回の受診が推奨されることが多いため、必ず受診しましょう。

インプラント治療にメンテナンスが必要な理由は、何か不具合が起きた際に早めの対処ができるためです。特に、初期段階のインプラント周囲炎は自覚症状がなく、自分では気付きにくいでしょう。インプラント周囲炎は、一般的な歯周病よりも進行が早く、治療も難しいため、気付くのが遅くなると、最悪の場合インプラントを抜かなければなりません。インプラント周囲炎だけでなく、噛み合わせや食いしばりの関係でインプラントに負担がかかっていると、インプラントがダメになってしまうこともあります。このような自分では気付きにくい問題を、定期的に専門の歯科医師にチェックしてもらう必要があります。

また、インプラントは日頃からしっかりと清掃することが非常に重要です。しっかりブラッシングをしていても、お口の中のケアを自分で完璧に行える方はいないでしょう。プロフェッショナルなクリーニングをきちんと受けることによって、インプラント周囲炎の予防になります。

お口のケアを怠らない

「定期的なメンテナンスでお口の中をクリーニングしてもらっているから大丈夫」と安心せずに、お口の中のケアを怠らないようにしましょう。

専門的なクリーニングでお口の中がきれいになっても、日頃のケアを怠っていてはクリーニングの意味がありません。セルフケアとプロフェッショナルケアの両方をきちんと行うことが大切です。

禁煙する

先ほど喫煙はインプラントの寿命に大きく影響するとご説明しました。

喫煙はインプラント治療だけでなく、インプラント以外の歯や歯周病の進行にも悪影響を及ぼします。インプラントを長持ちさせたいのであれば、禁煙することを強くおすすめします。

まとめ

歯科医院で治療を受ける男性

部位や症例によってインプラント手術が難しくなることはありますが、基本的に前歯のインプラントも奥歯のインプラントも寿命は変わりません。多くの方は、10年以上もインプラントを長持ちさせています。

ただし、お口のケアが不十分であったり、喫煙していたりするとインプラントの寿命は短くなってしまいます。場合によっては10年ももたないこともあるでしょう。せっかくインプラント治療を受けたのであれば、インプラントをより長持ちさせるためにも、お口の管理はしっかり行いましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

 

インプラントは虫歯になるの?気を付けたいお口トラブルや長持ちさせるためのコツも解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの歯の模型でフィギュアの作業員が作業している

インプラント治療を受けたあとに虫歯になるのか気になる方が多いのではないしょうか。せっかくインプラント治療を受けたのであれば、虫歯などのトラブルを起こさず長持ちさせたいものです。

この記事では、インプラントは虫歯になるのか、そのほかにどのようなお口トラブルがあるのか、お口トラブルを回避する方法やインプラントを長持ちさせるためのコツなどを解説しています。インプラント治療で後悔しないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

インプラントは虫歯になるの?

青い背景の前に置かれた虫歯

「高額な治療費を払ってインプラントにしても、また虫歯になることはあるのか?」と心配される方も多いですが、インプラントは虫歯にはなりません。

そもそも虫歯というのは、歯の表面についた歯垢にミュータンス菌と呼ばれる虫歯菌が棲みついて、糖分を栄養にして酸を作り出し、この酸が歯の表面のエナメル質を溶かすことです。象牙質まで虫歯が到達すると、しみたり痛みが出るようになり、さらに神経まで虫歯が到達すると激しい痛みが出ます。この状態を放置すると神経は死んでしまい、根っこの先に膿が溜まるようになり、保存が難しくなると抜歯が必要になることもあるのです。

虫歯はこのような流れで進行しますが、インプラントは人工歯根を骨の中に埋め込み、被せ物は丈夫な素材の人工物であるため、酸で溶かすことはできません。そのため、インプラントは虫歯にならないのです。

虫歯以外に気を付けたいお口トラブル

歯茎を見せている女性

「インプラントは虫歯にならないからトラブルなく過ごせる」というわけではありません。虫歯にはなりませんが、気を付けたいお口トラブルがあります。

虫歯以外に気を付けたいお口トラブルは、以下の4つです。

  • インプラント周囲炎
  • インプラントの脱落
  • インプラント周囲の歯の虫歯
  • 歯茎の腫れや出血

インプラント治療後のそれぞれのお口トラブルについて、以下に詳しく解説していきます。

①インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯周組織が炎症を起こす状態で、わかりやすくいうと「インプラントの歯周病」ということです。インプラントと歯茎の境目に細菌が侵入してくることで炎症を起こします。初期段階で出血などの症状がみられますが、進行すると歯茎の腫れを引き起こしたり膿が溜まったりして、インプラントを支えている骨が溶けてしまうのです。インプラントを支えるのが難しくなるほど骨が溶けてしまうと、インプラントを抜くことになってしまいます。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早く、治療が難しい病気です。正しいブラッシングケアができていない場合や喫煙、歯ぎしり、食いしばりなどによる歯への負担がインプラント周囲炎の原因といわれています。

インプラント周囲炎を起こさないための予防策は、定期的なメンテナンスでインプラントの状態を確認してもらうこと、インプラントを長持ちさせるためにも禁煙すること、お口のケアを怠らないことです。インプラント治療を受ける前に、喫煙習慣の有無など歯科医師による確認があると思いますが、不安なことは事前に相談しておきましょう。

②インプラントの脱落

インプラント治療は、骨の中にインプラント体を埋め込み、骨とインプラント体がしっかりくっつくのを待ってから、最終的な被せ物を装着します。骨とインプラント体がしっかりとくっつくまで3か月ほどかかりますが、治療部位や症例によってこの期間が延びることもあります。骨とインプラント体がしっかりくっつくのを待たずに最終的な被せ物を装着してしまうと、せっかく埋め込んだインプラントが脱落してしまう可能性もあるのです。

インプラントの脱落はこれだけが原因ではありません。インプラント周囲炎を放置しておくことで自然と脱落してしまう可能性もあります。インプラントの脱落を防ぐためには、丁寧で精密な治療と治療後の管理が大切なのです。

③インプラント周囲の歯の虫歯

インプラントは虫歯になりませんが、その周囲の歯が虫歯になってしまうことは十分にあり得ます。「インプラントは虫歯にならないから」と間食を増やしたり、ブラッシングを怠ると、インプラント以外の歯が虫歯だらけになってしまう可能性もあるのです。インプラント治療を受けたあとは、インプラント部位だけでなく、お口全体の健康を維持するよう努めましょう。

④歯茎の腫れや出血

インプラント治療とは、歯茎を切開し、骨の中にインプラント体を埋め込む外科手術です。そのため、手術後も出血が続いたり、腫れたりする可能性があります。手術後は歯科医師の指示通りに安静に過ごしていれば、出血や腫れは次第に治まってくるはずです。それでも出血が止まらなかったり腫れなどの症状が続いたりする場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。

また、インプラント手術後の喫煙・飲酒は厳禁です。喫煙・飲酒の習慣がある方は、インプラント治療には不向きかもしれません。喫煙・飲酒の習慣がある方は、以下で解説するリスクをよく理解し、インプラントを長持ちさせるために禁煙・禁酒を心がけましょう。

インプラント治療における喫煙のリスク

インプラント治療における喫煙リスクは、以下のとおりです。

  • 免疫力が低下し、感染リスクが上がる
  • インプラントと骨がしっかりくっつかない可能性がある
  • 歯茎細胞の活性化を抑制するため、炎症を起こした際に回復しにくい
  • 非喫煙者に比べてインプラント周囲炎になるリスクが2〜6倍になる
  • インプラント手術後の治りが悪くなる

このように、喫煙習慣があるとインプラントを長持ちさせるのが難しくなることがわかります。インプラント手術後、一時的に禁煙するのではなく、インプラント治療前から禁煙することを検討しましょう。

インプラント治療における飲酒のリスク

インプラントは、手術後3日間が痛みや腫れのピークです。この間に飲酒をしてしまうと血流がよくなり、さらに痛みや腫れが酷くなったり、出血しやすくなります。

インプラント手術から3日間は禁酒するようにしましょう。手術前やインプラント手術から数日経過すれば、特に禁酒する必要はありません。また、インプラント手術後は痛み止めと抗生剤を服用します。服薬時の飲酒は控えましょう。

インプラントを長持ちさせるために必要なこととは?

歯の模型と歯ブラシ4本が置かれている

インプラントを長持ちさせるために最も重要なことは、定期的なメンテナンスを受けることです。

メンテナンスでは、以下の4つのことが行われます。

  • インプラントのチェック
  • 専門的なクリーニング
  • 歯茎の状態確認
  • お口全体のチェック

いくら自宅でのセルフケアを頑張り、しっかり歯を磨いているつもりでも、実際はしっかりと磨けていないこともあります。それに気付かず放置し、インプラント周囲炎を引き起こしてしまうと、インプラントを長持ちさせることが難しくなってしまうのです。

インプラントのメンテナンスでは専門的なクリーニングに加えて、インプラントの状態を確認してもらえます。万が一インプラント周囲炎を引き起こしていても、早い段階で発見できれば処置ができるのです。発見が遅くなり手遅れになると、インプラントを抜くことになってしまうでしょう。また、メンテナンスではインプラント部位だけでなく、お口全体の状態もチェックもしてもらえるので安心です。せっかく治療したインプラントを長持ちさせるためにも、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

まとめ

歯医者の治療器具とインプラントのマスコットが置かれている

ここまで解説してきたとおり、インプラントの虫歯を心配する必要はないです。

しかし、歯茎の腫れや出血からインプラント周囲炎になることがあります。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早く、治療が難しい病気です。最悪の場合、インプラントを抜くことになってしまいます。インプラント治療が成功したかどうかは、インプラント手術時だけでなく、その後の管理がきちんとできているかによって変わってきます。インプラントをより長持ちさせるために、日頃からブラッシングケアをしっかり行い、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!