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インプラントは何年もつのか?インプラントの寿命を伸ばすための方法

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの寿命イメージ

インプラントは見た目が自然で、自分の歯のようにしっかり噛めるなどメリットの多い治療法です。

しかし、ほかの治療と同様に、インプラントにも寿命があります。インプラントは寿命が長いこともメリットの一つですが、日々のメンテナンスを怠ると寿命が短くなる可能性があるのです。

今回は、インプラントは何年もつのかを解説します。インプラントの寿命を短くする要因や、寿命を延ばすために心がけること、寿命がきたときの対処法などもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

インプラントは何年もつのか?

インプラントのスケジュールイメージ

インプラントの寿命とは、インプラントが破損せずに機能し続ける期間のことです。一般的に、インプラントの寿命は約10~15年といわれています。10~15年後のインプラントの生存率は上顎で約90%、下顎で約94%と報告されています。

ただし、この数字はあくまでも平均的な寿命です。日々の口腔ケアや歯科医院でのメンテナンスを怠ると、寿命より早い段階で使用できなくなる可能性があります。

反対に、丁寧にケアすると寿命より長く使い続けられるケースもあるため、日々のメンテナンスが非常に重要です。

入れ歯・ブリッジの寿命と比較

比較する女性

インプラントは、見た目の美しさや機能性の高さから人気の治療法ですが、ほかの治療法と迷っている方もいるのではないでしょうか。

インプラントと入れ歯・ブリッジの寿命を比較しましょう。

入れ歯の寿命

入れ歯の寿命は、約4~5年といわれています。入れ歯は取り外し可能な義歯で、一部、もしくはすべての歯が欠損した場合に選択される治療法です。

広範囲に欠損した歯を補うことができますが、噛む力が弱まる、使用中に痛みを感じるなどのデメリットがあります。また、使用を続けると入れ歯が変形・破損することがあるでしょう。老化によって顎の骨量が減少したことなどで入れ歯が合わなくなると、修理や調整、作り直しが必要になります。

ブリッジの寿命

ブリッジの寿命は、約7~8年といわれています。ブリッジは、失った歯の両隣にある健康な歯を支えにして、人工歯を被せる治療法です。

質が高い素材を選べば見た目の美しさを追求できますが、土台となる健康な歯を削る必要があります。また、ブリッジの咀嚼力は、インプラントほど回復しません。支えにする歯の強度が弱まり、寿命が短くなるなどのデメリットがあります。

インプラントとの比較

インプラントは、入れ歯やブリッジより寿命が長く、長期間使用できます。インプラントは基本的に保険適用外になるため費用は高額ですが、寿命が長いため長期的にみると大きなデメリットにはなりません。

また、見た目や機能性も優れているため、インプラントを選択するメリットは多いでしょう。

インプラントの寿命を短くする要因

NGのサインを作る若い女性

インプラントの寿命は約10~15年と長いですが、お口の状態やメンテナンスによって寿命が短くなる可能性があります。インプラントの寿命を短くする要因を、詳しく確認しましょう。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織が細菌に感染し、炎症を起こしている状態です。

炎症が進行すると歯槽骨にも影響を及ぼし、インプラントが脱落するリスクが高まります。インプラント周囲炎の主な原因は、口腔ケア不足です。

インプラント周囲炎を予防するために、インプラント治療後は歯科医院でブラッシング指導を受けるとよいでしょう。日々の歯磨きはもちろん、歯科医院でクリーニングを受けて、歯磨きでは取り除けない汚れを落とすことも非常に重要です。

メンテナンス不足

インプラント施術後は、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けなければなりません。メンテナンスでは、ふだんの歯磨きでは落とせない汚れをクリーニングで除去し、インプラント周囲炎などのトラブルを予防します。

また、メンテナンスでは、人工歯根と人工歯をつなぐアバットメントの締め直しなども行います。

歯ぎしりや食いしばりなどの癖

歯ぎしりや食いしばりなどの癖は、インプラントの寿命を縮める要因です。インプラントに過度な負荷がかり、人工歯が欠ける、人工歯根と顎の骨の結合部が破壊されるなどのトラブルにつながるからです。

特に、歯ぎしりや食いしばりは睡眠中に無意識に行うことが多いでしょう。

インプラントの寿命を延ばすために心がけること

インプラント治療のイメージ

インプラントの寿命を延ばすために心がけることは、以下のとおりです。

毎日のセルフケアを徹底する

毎日のセルフケアを徹底することで、インプラントの寿命を縮めるインプラント周囲炎を予防できます。インプラントだけでなく、残っている健康な歯を守るためにも毎日の口腔ケアは非常に重要です。

効果的なブラッシングを行うために、インプラント治療後は歯科医院でブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける

インプラントを維持するためには、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。歯科医院のメンテナンスの主な内容は、以下のとおりです。

  • 口腔内のチェック
  • 噛み合わせの調整
  • クリーニング
  • 生活指導
  • ブラッシング指導

お口の状態によってメンテナンスの内容や頻度は異なります。歯科医師の指示に従って受診しましょう。

メンテナンスでは、毎日の歯磨きでは取れない汚れを落とし、お口の状態をチェックします。異常の早期発見につながるでしょう。

喫煙を控える

タバコには、歯周組織の血流を悪くするニコチンが含まれています。喫煙習慣がある人は歯茎の血流が悪いため、歯周病菌による感染を起こしやすく、インプラントの寿命が短くなる可能性が高いです。

インプラント治療を選択するのであれば、喫煙本数を減らすか、禁煙したほうがよいでしょう。

ナイトガードを使用する

歯ぎしり・食いしばりの癖があると、インプラントの人工歯が欠ける、インプラント周囲炎を引き起する可能性があります。ナイトガードを装着することで、歯ぎしり・食いしばりによる歯への負担を軽減しましょう。

インプラントの寿命がきたらどうしたらいい?

疑問がある女性

インプラントの寿命がきたときは、インプラント治療をもう一度行うか、入れ歯やブリッジなどほかの治療法を選択します。お口や顎の骨の状態によって適切な治療が異なるので、歯科医師と相談しながら決定してください。

インプラントの寿命がきたときの対処法は、以下のとおりです。

保証期間を確認する

インプラント治療は、5〜10年の保証がついていることが多いです。保証期間内にトラブルが発生して治療が必要になった場合、無償、もしくは費用を一部負担するだけで治療を受けることができます。

ただし、インプラントの上部構造である人工歯と、インプラント体の保証期間や保証内容が異なる場合があるため注意してください。また、定期的なメンテナンスを受けていることを、保証を受けるための条件として設定している歯科医院もあります。

治療を受ける前に、保証内容や期間についてしっかり確認しましょう。

歯科医院に相談する

「インプラントの歯が折れた」「インプラントがグラグラしている」など、インプラントの寿命がきたと感じたら、すぐに歯科医師に相談してください。

寿命がきたインプラントの歯を使い続けると、以下のリスクがあります。

  • 痛む
  • インプラントが脱落する
  • 再治療できなくなる
  • ほかの歯に悪影響を及ぼす

寿命を迎えたインプラントは、歯茎や顎の骨、隣接した歯に大きな負担をかけます。再治療が難しくなるほど歯周組織が破壊されることもあるため、寿命に気づいたら早期に対処してください。

治療を受ける

インプラントが寿命を迎えた場合の治療方法は、以下のとおりです。

  • インプラント治療を再度行う
  • 入れ歯を作る
  • ブリッジを装着する

どの選択肢が最適であるかは、インプラントや口内・顎の骨の状態によって異なります。口内や顎の骨に大きな問題がない場合は、インプラント治療を再度受けられるでしょう。

インプラントは、すべての症例で再手術が必要になるわけではありません。人工歯のみ作り替えるケースや、インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントを交換するケース、インプラント体の交換(再手術)が必要になるケースもあります。

インプラントの寿命がきたら、どのような治療が必要になるか歯科医師に相談しましょう。

まとめ

歯の説明をする歯科医師

インプラントの寿命は約10~15年と長く、入れ歯やブリッジと比べて長期間使用できます。ただし、口腔ケアやメンテナンスを怠ると、寿命が短くなります。インプラントを長持ちさせるには、日々のブラッシングを徹底し、歯科医院でのメンテナンスをしっかり受け、お口の健康を保つことが重要です。

インプラントの寿命がきたときは、インプラント治療を再度行うか、ほかの治療法を選択することになります。お口や顎の骨の状態によって適切な治療法が異なるため、どの治療法が最適か歯科医師に相談しましょう。

インプラント治療にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療後に頭痛がする原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

ソファに座って頭を抑える女性
「インプラント治療後に頭痛がする」「インプラント治療後に頭痛がする場合はどうしたらいい?」など、インプラント治療後の頭痛に悩まされる方もいるでしょう。インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で、頭痛がすることがあります。

今回は、インプラント治療後の頭痛の原因や対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

インプラント治療後に頭痛がする原因

顎に手を当てて考える男女

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛が起きる場合があります。インプラント治療後に頭痛がする原因は、以下のとおりです。

噛み合わせに問題がある

インプラント治療では骨格などを考慮して噛み合わせを調整しますが、インプラント治療後に噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪いと顎の周りの筋肉が緊張し、頭痛を引き起こすでしょう。

顎の関節にも負担がかかるため、顎の痛みや開口障害などの症状が現れる顎関節症を発症する可能性もあります。噛み合わせが悪くなる原因は、以下のとおりです。

インプラントのぐらつき

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジが緩むと、人工歯がぐらつきます。インプラントにぐらつきがあると、歯並びや噛み合わせが悪くなって頭痛を引き起こすのです。

アバットメントのネジが緩む原因は、強い力がかかったことによる金属疲労や、上部構造(人工歯)に不具合があること、歯がすり減ったことなどが挙げられます。顎関節がずれたことや、インプラント周囲炎の影響で骨吸収が進んだことも、アバットメントのネジが緩む原因になるでしょう。

人工歯のすり減り

インプラントを長期間使用すると、人工歯がすり減ることがあります。人工歯がすり減ると、噛み合わせが悪くなるでしょう。特に食いしばりや歯ぎしりの癖がある方はインプラントに強い力がかかるため、人工歯がすり減りやすいです。

上顎洞炎になっている

インプラント治療では、上顎洞という部位に炎症が起きることがあります。上顎洞とは、鼻の周りにある副鼻腔という空洞のうち、頬の内側にある空洞です。

上顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む際に、上顎洞内にインプラント体が迷入したことや、インプラント体が上顎洞を穿通したことなどが原因となります。

上顎洞では頭痛のほかに、鼻づまりや発熱などの症状が現れるのが一般的です。鼻から膿が出る、鼻の奥に違和感を覚える、目がだるい・重いなどの症状を訴える方もいます。

インプラント周囲炎になっている

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの組織が細菌感染による炎症を起こしている状態です。重度のインプラント周囲炎では、顎の骨が溶けてインプラント体が不安定になり、噛み合わせに悪影響を及ぼします。

インプラント周囲炎は、口内のケア不足、歯科医院でのメンテナンス不足などが原因になることが多いです。進行すると歯がグラグラと動揺し、最悪の場合抜け落ちるため早期治療が大切です。

初期の段階では自覚症状がありませんが、進行すると歯茎の赤み、腫れの症状が現れ、歯茎から出血する場合もあります。歯茎から膿が出る、歯茎が痩せる、噛み合わせが合わなくなるなどの症状が現れる方も多いです。

インプラントを入れたところが痛む、インプラントが動揺しているなどの症状がある場合は、インプラント周囲炎が進行している可能性があるので、歯科医院を受診してください。

インプラント治療後に頭痛がする場合の対処法

歯科医院で治療をする男性歯科医師

インプラント治療後に頭痛がする場合は、原因に合わせて対処する必要があります。頭痛がする場合の対処法は、以下のとおりです。

噛み合わせを調整する

インプラント体(人工歯根)と上部構造(人工歯)をつなぐアバットメントのネジに緩みがある場合は、上部構造を外してネジを締め直し、噛み合わせを改善します。ネジの緩みは、レントゲンで容易に診断可能です。

人工歯のすり減りが噛み合わせに影響している場合インプラント体の調整は必要ありませんが、上部構造のみ交換します。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯や顎への負担を軽減するためにマウスピースの装着が必要になる場合もあるでしょう。

上顎洞炎を治療する

上顎洞炎を放置すると炎症が広がり、中耳炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。上顎洞炎が疑われる場合は、すぐに歯科医院を受診し早期治療を行うことが大切です。

インプラント治療後に上顎洞炎になった場合は、以下の治療を行います。

薬物療法

抗菌薬・鎮痛薬を服用して炎症や痛みを抑える治療です。上顎洞炎が慢性化すると、長期にわたる服用が必要になるでしょう。

歯科治療

薬物療法と併せて、感染源を除去する治療を行います。上顎洞内にインプラント体が入り込んでいる場合は、インプラント体の摘出が必要です。

上顎洞洗浄療法

内服治療で炎症が改善しない場合は、耳鼻科で上顎洞洗浄療法という治療を行います。上顎洞内に針を刺し、生理食塩水と抗生剤で上顎洞を洗浄する治療法です。

外科的治療

内服治療や上顎洞洗浄で炎症が改善しない場合、外科手術を行います。行われる外科手術の方法は、以下のとおりです。

  • 上顎洞根治手術

歯肉を切開して骨に穴をあけ、炎症が起きている上顎洞の粘膜を除去する「Caldwell-Luc法(コールドウェル-ラック法)」と、骨を広範囲に削る「Denker法(デンカー法)」があります。

  • 内視鏡下鼻内手術

副鼻腔の開口部を広げて炎症による閉塞を解除し、換気・排泄を促して炎症を改善する治療です。内視鏡鼻内手術では、上顎洞に迷入したインプラント体を摘出することもできます。

インプラント周囲炎を治療する

インプラントの脱落を防ぐためには、インプラント周囲炎の早期治療が大切です。インプラント周囲炎の治療は、非外科的療法と外科的療法の2つに分けられます。

非外科的療法

非外科的治療では、インプラント周囲の炎症を抑えるために行われる治療です。主に行われる内容は、以下のとおりです。

  • 周囲の歯石除去
  • 歯周ポケット内の洗浄と薬剤の注入
  • 抗生物質の投与
  • ブラッシング指導
  • 生活指導

喫煙やストレスの蓄積は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。生活習慣を改善するために、指導を行うことがあるでしょう。

インプラント周囲炎の予防・改善には、毎日の口腔ケアが非常に重要です。正しいブラッシング方法を身に付け、口腔ケアの質を高めましょう。定期的に歯科医院を受診して、歯をクリーニングしてもらうことも重要です。

外科的治療

インプラント周囲炎が進行して歯槽骨の吸収が進んでいる場合は、外科的治療を行います。

歯茎を切開してインプラント体の表面を清掃・殺菌するのが一般的です。感染した組織を取り除く場合や、インプラントを除去する場合もあります。

骨の再生が必要なケースでは、自分の骨や人工骨を用いて骨移植を行うでしょう。骨形成を妨げる繊維芽細胞が入り込まないよう、メンブレンという人工膜で覆って歯槽骨の再生を待ちます。

まとめ

インプラントの模型を持って説明する歯科医師

インプラント治療後は、噛み合わせのトラブルや術後の細菌感染などが原因で頭痛がすることがあります。

原因の一つであるインプラント周囲炎は予防できるため、毎日の口腔ケアを徹底しましょう。歯科医院で定期的にメンテナンス・クリーニングを受けることも重要です。

頭痛の原因によっては、インプラントの除去や外科手術が必要になる可能性もあります。早期に原因を把握し、治療を行うことが大切です。インプラント治療後に頭痛などの症状がある方は、歯科医院を受診して原因を把握し対処法を相談しましょう。

インプラント治療後の頭痛にお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントがぐらつくときはどうしたらいい?原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントのレントゲン写真

一度埋入すると安定して使用できるインプラントですが、さまざまな原因によってぐらつく場合があります。インプラントの手術では、顎の骨の厚さやしっかりと結合することなど、さまざまな問題をクリアして初めて手術が成り立つため、どこかが不十分であるとインプラントの効果が失われてしまいます。

今回は、インプラントがぐらつく原因と対処法について解説します。インプラントにトラブルがあった場合に正しい対処ができるよう、ぜひ参考にしてください。

インプラントがぐらつく原因

斜めに浮かんだインプラント

インプラントがぐらつく原因はいくつかあり、どれも起こりうるものです。ぐらつく場合は、いずれかを疑ってみるとよいでしょう。順番に解説します。

インプラント周囲炎が進行している

インプラントがぐらつく主な原因の1つに、インプラント周囲炎があります。インプラント周囲炎は、インプラントに接触する歯茎部分に炎症が起こる状態で、歯周病に似た症状ともいえるでしょう。

インプラント周囲炎が起こると、インプラントを支える歯槽骨が破壊され、これが引き金となり、インプラントがぐらつき始めます。インプラント周囲炎が進行すると、最終的にはインプラントがはずれてしまうことがあります。

インプラント周囲炎は、口腔内の清掃状態・全身の健康状態・喫煙の有無など、さまざまな要因により引き起こされます。特に、口腔環境が悪化すると、細菌の繁殖が原因でインプラント周囲炎を発症しやすくなるため注意が必要です。

骨結合が不十分である

インプラントがぐらつく主な原因の1つに、骨結合が不十分であるということが挙げられます。

インプラント治療は人工の歯根を顎の骨に埋め込むもので、歯根と骨とがしっかりと結合しなければなりません。これにより、自然な歯のように噛む力を分散し、健康な口腔環境を維持することができるのです。

しかし、いくつかの要因から骨とインプラントの結合が不十分な場合、ぐらつきを感じることがあります。例えば、手術後の経過や術者の技術、インプラントの材質や形状、患者さま自身の骨の質や健康状態などが影響を及ぼします。具体的には、骨の吸収が進行することや骨が薄くなるなど、インプラントがしっかりと固定されず、ぐらつくことがあるのです。

また、全身の健康状態や口腔内の衛生状態がよくないと、うまく骨と結合しないこともあります。

骨の厚みが足りていない

インプラントがぐらつく原因の1つに、骨の厚みが足りていないことが考えられます。

インプラントを安定させるためには適切な骨の厚みが必要ですが、骨の厚みが不十分な場合、インプラントは適切に固定されず、ぐらつきを感じることがあるでしょう。具体的には、歯を失うとその部分の骨が徐々に吸収されてしまいます。その結果、骨の量が減少し、骨の厚みが足りなくなることがあります。

インプラントを支えるための基盤が弱くなり、インプラントはその位置を保つことが困難になるのです。

アバットメントが緩んでいる

インプラントがぐらつく原因として考えられる原因の1つは、アバットメントが緩んでいることです。

アバットメントとは、インプラント体と義歯の間につけられるパーツで、インプラント体を安定させ、義歯をしっかりと支える役割を担っています。

しかし、何らかの理由でこのアバットメントが緩んでしまうと、インプラント体の安定性が失われ、ぐらつきを引き起こします。この緩みは、適切なケアがされていない場合や口腔内の炎症などが原因で起こることがあるのです。

また、ものを噛む際の力や角度、アバットメントの装着時の問題など、さまざまな要因が関与することもあります。

インプラントがぐらつくときにしてはいけないこと

NOの文字

インプラントがぐらつくときにしてはいけない対処法があります。状況を悪化させてしまう可能性があるため、以下で解説することは避けましょう。

インプラントを触る

インプラントがぐらつく症状が現れた場合、無理に触ることや押すことは絶対に避けましょう。これらの行為により、痛みや腫れを悪化させる可能性があります。

ぐらついているインプラントを手でいじると、インプラントがさらに移動してしまう場合があります。また、インプラントにある程度の圧力がかかったために起こる可能性のある、骨や周辺組織への損傷のリスクも増加するでしょう。

口腔内は細菌の多い場所です。手や指から細菌がインプラント周辺に移ると感染症の原因につながることもあるので注意しましょう。

インプラントの部分で噛む

インプラントがぐらつくと感じた時、絶対に避けなければならない行動は、ぐらつくインプラントの部分で噛むことです。

インプラントは自然な歯と同じように機能しますが、一度ズレやぐらつきがあると感じた状態で無理やり噛むと、さらに状態が悪化する可能性があります。インプラント自体の損傷だけでなく、その周りの歯肉や顎骨にも悪影響を及ぼし、炎症や感染症を引き起こす原因になることもあるのです。

また、インプラントが完全に動かないよう固定されていた場合でも、噛むことにより外れてしまうおそれもあります。

外れた部品を自分で取り付ける

インプラントがぐらつくときに、ご自身で問題を解決しようとすることはやめましょう。特に、外れた部品を自分で取り付けることは避けてください。素人が行うと、間違った方法で取り付ける可能性があります。

また、不適切な処置によって、感染症を引き起こしたりインプラントの部品を壊したりすることもあるため注意が必要です。

インプラントがぐらつくときの対処法

歯を治すイメージ

インプラントがぐらつくときの原因や避けたい行動について理解したうえで、ここでは実際の適切な対処法について解説します。ぜひ覚えておきましょう。

ゆるんでいるねじを締める

インプラントがぐらつく原因の1つに、ねじがゆるんでいる場合があります。長期間の使用や噛む力の過度な負荷などで発生するのです。

この問題を解消する基本的な対処法としては、ねじを締める方法があります。ゆるんでいるねじがあったら、ご自身で触る前にまずは担当の歯科医師に相談しましょう。専用の工具を使って正確にねじを締めてもらうことで、ぐらつきが改善されます。無理に自力で締めようとせず、専門的な介入を受けることが大切です。

インプラント周囲炎の治療をする

インプラントがぐらつく原因の1つに、インプラント周囲炎があります。これはインプラントと歯茎の間に細菌が侵入することで起こる炎症です。

対処法としては必ず早めに担当の歯科医師に診察してもらうことが重要です。早期発見・早期治療が進行を抑える鍵となるでしょう。治療方法には、専用の器具を使用した細菌の除去、抗生物質の使用、悪化した場合は手術などが考えられます。

インプラントの再手術をする

インプラントがぐらつく場合の対策の1つが、インプラントの再手術です。

再手術は、まずインプラントを抜き、必要な治療を行います。感染が原因の場合は抗生物質などで治療し、骨が十分に回復したあとに再びインプラントを挿入します。一度インプラントが固定されたあとも、定期的な検診が必要です。

噛み合わせを調整する

インプラントのぐらつきには、不適切な噛み合わせが原因となることも多くあります。インプラントと自然歯が正しく噛み合うように調整することが大切です。

まず、担当の歯科医師に相談し、具体的な原因を確認してもらいましょう。顎の形状や使い方、自然歯との関係性など、さまざまな要素がインプラントのぐらつきを引き起こしている可能性があります。

正確な噛み合わせは、インプラントの寿命を延ばすためにも重要です。問題が発生したら、すぐに歯科医師に相談しましょう。

インプラントを除去する

インプラントがぐらつくときの対処方法として、インプラントの除去という手段もあります。

ぐらつきが見られる場合には、早期に担当の歯科医師に相談することが重要です。ぐらつきがひどい場合や、痛みを伴う場合にはインプラントを除去する治療を選択することもあります。

ただし、これは最終的な選択肢で、通常はほかの治療方法を検討します。この判断は担当の歯科医師と相談のうえで決定しましょう。

インプラントがぐらつくのを予防する方法

レントゲン写真で説明する歯科医

インプラントがぐらつくことにならないよう、日頃から取り組める予防法があります。日々、口内のケアを行う際に心がけておくことで、安定した状態で使い続けられるでしょう。

歯科医院での定期的なメンテナンスを受ける

インプラントのぐらつきを予防する有効な方法の1つは、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることです。

インプラントは定期的なクリーニングとチェックアップが欠かせません。インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぐため、歯科医師による定期的な検診とメンテナンスがおすすめです。ホームケアも重要ですが、専門的なケアにより問題が早期に発見・対処され、インプラントの寿命の延長が可能です。

自宅でしっかり歯磨きをする

インプラントがぐらつく主な原因は、口腔内の衛生状態が悪くなることによる感染や歯周病により歯槽骨が溶けることです。これらの症状を予防する最適な方法は、自宅でのしっかりとした歯磨きです。

特に、就寝前の歯磨きは大切であるため、食べカスや細菌の除去はしっかり行いましょう。その際は、フロスやインターデンタルブラシを使うことも有効です。

違和感や異変に気付いたらすぐに歯科医院に相談する

インプラントがぐらつくのは、装着後のケアや生活習慣、口腔内の状態などが原因となることが多いでしょう。防止策として、日々の口腔ケアを行うことが必要です。

ブラッシングやフロスは日常的に欠かさず行い、食物の残りや細菌の繁殖を防ぎます。加えて、適切な食事、禁煙、定期的な歯科検診も重要です。食事は硬すぎる食べ物は避け、栄養バランスのよいものを心がけましょう。

さらに違和感や異変があった場合、すぐに歯科医院に相談しましょう。早期発見・早期治療で大きな問題を防げます。

まとめ

歯科医院で笑顔の女性患者

インプラントがぐらついた際には、焦ってしまう患者さまも多いでしょう。

しかし、間違った対処を行うと、さらに状況を悪化させることになる可能性もあります。慌てずに適切な対処を行い、早めに担当の歯科医師に相談することで、ぐらつきを改善できます。

また、日々の生活の中で、口内ケアを行う、定期的にメンテナンスを受けるなど、ぐらつきを予防できる方法もあります。インプラントがぐらついたら、放置しておかずに早めに歯科医院に相談し、見てもらいましょう。

インプラントがぐらつくことでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療後に噛み合わせが悪くなる原因と対処法を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

歯の模型に埋め込まれたインプラントを指して説明する人

インプラント治療後に噛み合わせが悪いと、どのようなリスクがあるのか、インプラント治療後の食事は違和感なく可能なのかなど、疑問に思う方は少なくありません。歯を長持ちさせ安心して食事をするために、インプラント治療後の噛み合わせは非常に重要です。

今回は、インプラント治療後の噛み合わせの重要性や、噛み合わせが悪くなる原因を解説します。インプラント治療を検討している方やインプラント治療を終えた方は、ぜひ参考にしてください。

噛み合わせの重要性

青色のプラスマークを手にとる人

噛み合わせがよい状態とは「顎を上下に動かして歯が噛み合ったときの接触状態」と「顎を左右に動かしたときの歯の接触状態」の均衡が取れており、上下に噛んだときや左右に動かしたときに違和感なくスムーズに動くことです。

部分的に強く当たる場合や引っかかる部分がある場合、噛み合わせに問題があると考えられるでしょう。また、食事中に物を噛んだときに痛み・引っかかりを感じる場合や、食事中や会話中に舌の動かしにくさを感じる場合も、噛み合わせに問題がある場合が多いです。

歯並びや噛み合わせの悪さは、身体全体の健康に大きな影響を与えます。噛み合わせが悪いと、顎関節症や頭痛、肩こり、腰痛を引き起こす可能性があるのです。

インプラント治療を受ける際も、噛み合わせを考慮することが重要です。インプラント治療後の噛み合わせを整えるには、口腔外科のスキルはもちろん、補綴や歯周病の知識・経験を豊富にもつ歯科医院を選びましょう。

歯科医師はインプラント治療を行う際、患者さまの顎の骨の厚みが十分にあるか、虫歯や歯周病はないかなど、口腔内の状況を丁寧に確認します。インプラント治療後に日常生活を問題なく送るには、念入りに治療プランを立てることが大切です。

インプラント治療後に噛み合わせが悪くなる原因

頭にたくさんの?を浮かべて考える赤い服の女性

「インプラントの治療直後は問題なかったのに、少しずつ噛み合わせが悪くなってきた」と感じる方も少なくありません。

インプラント治療後に噛み合わせが悪くなる主な原因は、以下のとおりです。

日常生活の癖

日常生活で何気なくしている癖が原因で、インプラント治療後の噛み合わせが悪くなることがあります。

噛み合わせが悪くなる癖は、以下のとおりです。

  • 頬杖
  • 食いしばり
  • 舌の癖

考えごとをしているときや作業中など、頬杖をつくことが癖になっている方も少なくありません。1回の動作では大きな影響はなくても、頬杖をつくことによる負荷が長期的にかかることで、噛み合わせが悪くなります。

また、力仕事をしているときやストレスを感じたときに歯を食いしばる癖がある場合、噛み合わせに影響します。舌を前に出す、歯を舌で押すなどの癖も、噛み合わせがずれる原因になるでしょう。

もともとの噛み合わせ

もともと噛み合わせが悪い状態でインプラント治療を受けた場合、治療後の噛み合わせに影響が出る可能性が高いです。歯並びが乱れた状態のままインプラントを埋め込むと、治療後に違和感をおぼえることがあるでしょう。

上述しましたが、噛み合わせは口腔内だけでなく全身の健康に影響を及ぼします。インプラント治療が問題なく終了しても、本来の噛み合わせが悪いと健康に悪影響を与えるケースが少なくありません。

インプラントの噛み合わせが悪いことによるリスク

RISKの木の文字を机の上に並べる手元

「噛み合わせに少し違和感があるけれど歯科医院に行くのは面倒」と感じる方も珍しくありません。

しかし、インプラント治療後の噛み合わせの悪さを放置すると、さまざまなリスクが伴います。インプラントの噛み合わせが悪いことによるリスクは、以下のとおりです。

虫歯や歯周病になる

噛み合わせが悪いと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。噛み合わせが悪いときは歯並びも悪い場合が多く、磨き残しが多くなるからです。

高額な費用と長い時間をかけてインプラントを入れても、歯周病になって歯を失うと治療した意味がありません。

顎関節症になる

噛み合わせが悪い状態を放置すると、顎関節症のリスク高まります。噛んだときの負荷が片方の顎に偏るためです。

顎関節症になると起きる問題は、以下のとおりです。

  • 噛むと顎が痛む
  • 口を開きにくい
  • 顎を開け閉めしたときに音が鳴る

痛みや口の開きにくさがあると、食事や会話に影響が出ます。「インプラント治療を受けたら、好きなものを食べられる」と楽しみにしていても、顎関節症になると食べられるものが制限されるでしょう。

歯の寿命が短くなる

噛み合わせが悪く一部の歯に負荷がかかると、歯の寿命が短くなります。歯がすり減ったり、歯を支えている歯槽骨が吸収されて歯がグラグラしたりする場合があるからです。

インプラントも同様に、過度な負荷がかかるとインプラント周囲炎を発症し、インプラントが脱落することもあります。

顔がゆがむ可能性がある

噛み合わせが悪いと無意識に噛みやすい場所で噛む癖がつくため、顔がゆがむリスクがあります。噛む場所が偏ると、噛む回数が多い部分の筋肉が発達するのです。

顔がゆがむと、顔が左右対称でなくなる、片方の口角が上がるなど、見た目に大きな影響を与えるでしょう。目の大きさが左右で変わったり、片側のほうれい線が深くなったりすることもあり、コンプレックスに感じる可能性も否定できません。

頭痛・肩こり・胃腸の不調などを生じる

噛み合わせの悪さが引き起こす全身の不調は、以下のとおりです。

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 胃腸への負担

顔がゆがんだことで全身の筋肉のバランスが悪くなり、肩こりや頭痛を引き起こす場合があります。また、噛みにくさや顎の痛みが原因で、しっかり噛めない場合もあるでしょう。

しっかり噛めないと、食べ物が適切に噛み砕かれません。胃腸に負担がかかり、胃痛や便秘を引き起こす可能性もあるでしょう。

インプラント治療後の噛み合わせを保つために

指を立てて笑う白い服を着た女性

健康に食事を楽しむために、インプラント治療後の噛み合わせを良好な状態に保つことが重要です。治療直後の噛み合わせがよくても、徐々に悪くなる可能性があります。

よい噛み合わせを保つために意識するべきことは、以下のとおりです。

噛み合わせに違和感がある場合は歯科医院へ行く

食事中や会話中に「どこかが強く当たっている」「舌を動かしにくい」など、違和感がある場合はすぐに歯科医院へ行きましょう。上下の歯の中心がずれていないか、口角の上がり方が左右対称かなどを確認し、噛み合わせに問題がないか調べてもらえます。

日常生活を送るなかで違和感に気づくこともありますが、実際に目で歯の中心や口角の上がり方を確認することが大切です。ふだんから確認していると、小さな異変に気づくことができるでしょう。

噛み合わせに影響する癖を治す

噛み合わせが悪くなる原因として、日常生活の癖があげられることを上述しました。頬杖や食いしばり、舌で歯を押すなどの癖は噛み合わせに影響を与えるので、改善できるよう努めましょう。

定期検診を受ける

セルフチェックだけでは、正しい診断はできません。定期検診を受けて、歯科医師に口腔内の状態をチェックしてもらうことが大切です。

定期検診では噛み合わせだけでなく、インプラントや口腔内全体の状態も確認してもらえます。問題があった場合も早期に対応することができるので、インプラントを長く使用できるでしょう。

まとめ

口を開ける女性患者をカウンセリングする女性医師

インプラントの治療後のよい噛み合わせを保つことができれば、天然歯と同じように好きなものをおいしく食べられます。見た目を気にせず笑う、発音を気にせずに会話を楽しむことも可能です。

噛み合わせが悪い状態を放置すると、口腔内だけでなく全身の健康に悪影響を与えます。全身の健康のためにも、インプラント後のケアは欠かせません。違和感に気づいた場合は、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントで歯茎が下がる・痩せる?原因とリスクを詳しく解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

歯の模型を持って笑う女性

インプラントの治療後に歯茎が下がる、または痩せることがあるのはご存じですか。主な原因は、歯茎の炎症が考えられ、進行するとインプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。歯茎が痩せると、インプラントが露出するため、見た目にも悪影響を及ぼすことでしょう。

今回は、インプラントで歯茎が下がる・瘦せる原因とリスクについて詳しく解説します。

インプラント治療おける歯茎の役割とは

唇をめくって上の歯茎を見せる女性

インプラント治療は、人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に義歯を取り付ける治療法です。天然の歯のような見た目と噛み心地を実現できることが特徴です。

歯茎は、インプラント治療において人工歯根や結合部(人工歯根と義歯をつなぐ部分)を保護し、顎の骨とともに支えるという重要な役割を担っています。そのため、インプラント治療は歯茎の健康状態がよくなければ行えません。歯茎に問題がある場合は、インプラント前に治療する必要があります。

インプラント治療後も歯茎の健康状態を維持できれば、インプラントの生存率を上げることができます。インプラント埋め込み後は、インプラント周囲炎にかかるリスクがあるため、口腔内を清潔に保つことが重要です。

日頃のケアだけでなく、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けましょう。インプラント周囲の歯茎の健康状態を維持することができます。

インプラント治療における歯茎のトラブル

口元に手を当てて痛がる女性

インプラント治療における歯茎のトラブルは、ひとつではありません。インプラントの歯周病ともいわれる、インプラント周囲炎についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

歯肉炎(インプラント周辺の歯肉炎症)

歯肉炎は、インプラント周囲の歯肉が赤く腫れ、出血しやすくなる状態で、不適切な歯磨きや細菌感染が原因です。

早期に対処しなければ、インプラント周囲炎に進行する可能性があるため、注意しましょう。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯槽骨と歯肉に炎症が起きている状態です。歯周病に似た症状が現れることから、インプラントにおける歯周病ともいわれています。

インプラント周囲炎は、細菌の感染や口腔内の不衛生、インプラント手術後の経過管理が不十分な場合に引き起こされます。

インプラント周囲炎の主な症状は、以下のとおりです。

  • 赤みや腫れ:インプラント周辺の歯肉が赤く腫れる
  • 出血:歯ブラシやデンタルフロスの使用時、インプラント周辺の歯肉が出血する
  • 痛み:インプラント周辺に痛みを感じる
  • 口臭:インプラント周辺から不快なにおいが発生する
  • 歯槽骨の吸収:インプラント周囲の歯槽骨が吸収される

インプラント周囲炎が進行すると、インプラントの安定性が損なわれるため、最終的にインプラントが抜け落ちることがあります。インプラント周囲炎が疑われる場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けましょう。

歯茎の萎縮によるインプラント露出

インプラント周辺の歯茎が下がる・痩せるなどが原因で、インプラントが露出する状態です。歯茎の萎縮は、インプラント手術時の技術的な問題、加齢、喫煙、口腔衛生の悪化、歯ぎしりや食いしばりなど、さまざまな要因が考えられます。

歯茎の萎縮が進むと、見た目への影響や、インプラントの安定性が低下するなどの問題が生じる可能性があります。

インプラントで歯茎が下がる・痩せる原因とは

?と虫眼鏡が描かれた木のキューブが置かれている

インプラントで歯茎が下がる・痩せる原因は、インプラントによる場合や生活習慣によって引き起こされる場合など、さまざまです。

以下、具体例をあげてご説明します。

噛み合わせが悪い

インプラントの埋め込み後、噛み合わせが悪くなることがあります。

噛み合わせが悪いと歯茎に無理な力がかかるため、歯茎が下がる・痩せるなどの症状が出るのです。

歯ぎしりや食いしばりがある

歯ぎしりや食いしばり癖がある方は、歯茎トラブルに注意しましょう。

歯ぎしりや食いしばりは、無意識に上下の歯を強く噛みしめている状態です。強い噛みしめは、歯がすり減るだけでなく、歯茎にも大きな負担がかかります。噛みしめるときは250〜300㎏ほどの力がかかるため、歯茎の炎症や歯周病の原因のひとつともいわれています。

インプラント治療後に歯ぎしりや食いしばりをしていると、歯茎が下がる・痩せるなどの症状を引き起こし、インプラント周囲炎に発展する可能性が高まるでしょう。

ブラッシングする力が強い

ブラッシングする力が強いと、歯茎に傷がつきやすくなります。

傷ができると細菌が侵入しやすくなるため、歯茎が下がる・痩せるなどの症状が出る場合があります。

口腔内の衛生状態が悪い

歯磨きを怠ったり、歯周ポケットを意識してブラッシングしていなかったりすると、歯茎に炎症が起きやすくなります。

歯茎の炎症が軽度でも、歯茎が下がる・痩せるといった症状が出ることもあり、感染が広がるとインプラント周囲炎になる可能性が高まります。インプラント周囲炎は予後が悪くなることが多いため、口腔内の衛生状態には気を付けましょう。

喫煙習慣がある

インプラント治療後に過度な喫煙を繰り返していると、血流の低下によって治療後の回復が遅くなる可能性があります。

抵抗力が弱い状態が続くと、歯茎の治りが遅くなるだけでなく、細菌感染を起こしやすくなります。歯茎が下がる・痩せるなどのトラブルに発展することもあるでしょう。

インプラントで歯茎が下がる・痩せることによるリスク

RISKと書かれた木ブロックを3つ積む

インプラントで歯茎が下がる・痩せることによるリスクは、主にインプラントが露出することによって引き起こされます。

歯茎が下がる・痩せることによるリスクは、以下のとおりです。

感染のリスクが高くなる

歯茎が下がる・痩せると、インプラントが露出することがあります。露出したインプラントは、細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎の原因となるのです。

見た目が悪くなる

歯茎が下がる・痩せることによりインプラントが露出すると、金属部品が見えるため見た目が悪くなります。特に、前歯の場合は、ネジの部分や人工歯根が露出すると目立ちやすく、大きく口を開けたり笑ったりすることができなくなるでしょう。

インプラントの安定性が低下する

歯茎が下がるとインプラントの安定性が悪くなり、進行するとグラグラする可能性があります。最終的にインプラントが抜け落ちる可能性もあるため、ぐらつきを感じた場合は早めに歯科医院を受診しましょう。

噛み合わせが変化する

歯茎が下がる・痩せることで、隣接する天然の歯の位置が変化し、噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪くなると、インプラント周囲炎へのリスクも高くなります。

正しいケアで歯茎のトラブルを予防しよう!

歯磨きをする高齢の女性

歯茎のトラブルを予防するためには、正しいケアを実践することが大切です。日頃から丁寧にケアを行い、定期的に歯科医院を受診することで、トラブルを予防することができます。

正しい方法で歯磨きをする

歯茎が痩せるなどのトラブルを防ぐためには、正しい方法で歯を磨く必要があります。歯の表面だけでなく、歯と歯茎の境目にある汚れを除去することが重要です。

歯周ポケットに溜まった汚れを掻きだすためには、歯ブラシの毛先を45度の角度で当てることを意識しましょう。力強く磨いてしまうと毛先が曲がってしまい、十分に磨くことができず、歯茎を傷つけることにつながります。見た目ではわかりにくいですが、歯茎に細かい傷ができると、細菌が溜まりやすくなります。

また、歯間の汚れは歯ブラシだけで除去することは難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、歯間部の歯茎も清潔に保ちましょう。

定期的にクリーニングを受ける

3〜6か月に1回は歯科医院に通い、クリーニングを受けましょう。

クリーニングは、歯石の除去に有効な処置です。歯石は、歯垢が石のように固まったもので、通常の歯磨きだけでは落とせません。歯石は歯周病の原因なので、放置していると歯茎が痩せる可能性があり、インプラント周囲炎のリスクも高くなります。

歯茎のトラブルを予防するためには、定期的に歯石を除去することが重要です。定期的な通院は、歯茎トラブルの早期発見にもつながるため、問題が生じていた場合は悪化する前に治療できるでしょう。

生活習慣を整える

ストレスや睡眠不足は、免疫力を低下させ、歯茎のトラブルを引き起こす原因です。

免疫力を向上させることは、歯茎だけでなく全身の健康にもつながります。歯茎のトラブルが発生したときも、生活習慣を整えると治りが早くなることが多いです。細菌への抵抗力が弱まると歯茎が痩せやすくなるため、生活習慣を整えましょう。

バランスのよい食事をする

栄養状態の悪さも、歯茎トラブルの原因になることがあります。

免疫力を向上させるためには、睡眠の質を上げたりストレスを減らしたりすることに加えて、栄養バランスのよい食事が重要です。

また、間食が多い方は注意が必要です。食後は、唾液の自浄作用によって汚れが取り除かれ、酸性に傾いた口腔内を中性に戻そうと働きます。間食が多いと、唾液の作用が十分に発揮されないため、口腔内が常に酸性の状態になります。細菌に優位な状況が続くことになり、歯や歯茎への負担が大きくなるのです。

歯茎の健康状態を維持するためには、できる限り間食を控えて栄養バランスのよい食事を摂取しましょう。食後に水を飲むことで食べかすを除去できる可能性があるため、水分摂取も忘れずに行いましょう。

禁煙する

タバコに含まれるニコチンやタールは、歯茎のトラブルを引き起こす原因のひとつです。喫煙習慣がある方は血流が悪いため、必要な栄養素が歯茎に届きにくく、歯茎が痩せるなどの症状が出やすい傾向にあります。

喫煙は、歯茎だけでなく、全身の健康にも大きく影響します。さまざまな病気の原因になるため、喫煙本数が多い方は、まずは本数を減らすことから始めましょう。なかなかタバコをやめられない方は、禁煙外来を利用してもよいでしょう。

まとめ

手袋をした手で歯の模型を持っている

インプラントで歯茎が下がる・痩せると、インプラントが露出することがあります。インプラントが露出すると、黒っぽい金属部品が見えてしまいます。特に、前歯の場合は非常に目立つため、人前で口を開けることに抵抗を感じる方もいるでしょう。

インプラントは、美しい見た目がメリットの人工歯です。歯茎が下がってインプラントが露出してしまうと、高い治療費を払ったのに望んだ仕上がりではないと後悔するかもしれません。

また、歯茎のトラブルがインプラント周囲炎まで進行すると、インプラントの生存率が大きく低下します。歯茎トラブルを防ぐためには、日頃から正しい方法で歯を磨き、定期的に歯科医院のメンテナンスを受けましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントは抜けることがある?原因と対処法、注意点について解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラントの模型を手に持った歯科医師

しっかり治療したはずのインプラントが抜けることはないのかと不安に思う方も多いでしょう。

今回はインプラントが抜けることはあるのか、原因・対処法・注意点などに関して解説します。

インプラントは抜けることがあるのか

椅子に座ってパソコンを手に持った女性が考え事をしている

インプラントは審美性がよく、咬合力が優れていることに加えて、長期間使えるのが魅力です。治療完了後から10年経過しても使用できている方の割合は9割といわれています。

ただし、セルフケアやメンテナンスがなされていることが前提です。これらを怠れば数年で抜けてしまうこともあり、最悪の場合はインプラント治療が不可能になることもあります。

トラブルがあったときに落ち着いて対処できるようインプラントの構造を理解し、どの部分が抜けたのかを確認しましょう。基本的にインプラントは以下の3つの構造でできています。

<インプラントの構造>

上部構造 セラミックなどでできた、差し歯や入れ歯でいう人工歯部分を指す
アバットメント 上部構造とインプラント体を連結するパーツである
インプラント体 顎骨に埋め込まれる人工歯根を指し、チタンなどでできている

インプラントが抜ける原因と対処法

木目のテーブルの上に歯ブラシやフロスが置かれている

インプラントが抜ける原因はさまざまですが、どれも対処法としては事前に予防することや定期的なメンテナンスを行うことです。それでも起きてしまったトラブルに関しては、すぐに歯科医院に相談しましょう。

インプラントが抜ける原因は、以下のとおりです。

  • 不適切なセルフケア
  • メンテナンスを怠った
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 噛み合わせの不具合
  • 喫煙
  • インプラントの劣化
  • 歯科医院側の問題

それぞれを解説していきます。

不適切なセルフケア

治療が完了したあとはさまざまなトラブルを回避するため、自分でインプラントをしっかりケアすることが非常に重要です。ケアを怠ってしまったり、正しいケアが行えていないと、インプラントが抜ける原因であるインプラント周囲炎を発症します。

インプラント周囲炎とはインプラントの周囲にある歯茎や骨が細菌感染を起こし、さまざまな症状を引き起こす疾患です。

インプラント周囲炎の症状には、以下のようなものがあります。

  • 歯茎が腫れて赤くなる
  • 出血する
  • 排膿する
  • 痛みがある
  • 歯茎が痩せる
  • インプラントがぐらつく

インプラント周囲炎の原因は口腔内細菌です。また、歯周病の原因菌がインプラント周囲炎を助長させることがわかっています。これらの細菌は、歯磨きが不十分なことで歯に付着するプラークに含まれていることから、正しい歯磨きを行い、細菌の増殖を防ぎ、感染を予防する必要があります。

インプラントが抜ける原因となるインプラント周囲炎を防ぐため、以下のことに注意してセルフケアを行いましょう。

  • 力が入らないようペンを持つように歯ブラシを持つ
  • 細かく動かして磨く
  • デンタルフロス・歯間ブラシ・タフトブラシを併用する
  • 食後に歯を磨く

上記のセルフケアは、インプラント周囲炎だけではなく、歯周病予防にもつながります。

メンテナンスを怠った

インプラントと治療が完了したあとは、定期的にメンテナンスが必要です。

メンテナンスでは主に行われることは以下のとおりです。

  • インプラントや歯茎などの確認・検査
  • ブラッシング指導
  • 歯石の除去
  • クリーニング

歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントが抜けるといったトラブルにつながりやすくなります。インプラントを長持ちさせるためには、トラブルを未然に防ぎ、口腔内を清潔に保つことが大切です。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な力をかけ、大きなダメージを与えます。

天然歯の歯根には歯根膜と呼ばれる薄い膜があり、噛んだ圧力を吸収・分散させる役割を果たしています。インプラントには歯根膜がなく、歯ぎしりや食いしばりによる強い圧力がダイレクトに歯茎や骨を刺激します。その結果、インプラント周囲炎を引き起こし、インプラントが抜ける原因にもつながります。

本来であれば、インプラント治療を始める前に歯ぎしりや食いしばりを緩和する治療を行うのが理想的です。

ただし、インプラント治療後に発症した場合は、マウスピースをするなどして対処します。

噛み合わせの不具合

インプラントの噛み合わせが悪いと、過度な負担がかかった状態が続きます。結果的に、インプラントの動揺や歯茎の炎症を引き起こすため、噛み合わせに違和感がある場合は歯科医師に伝えて調整してもらいましょう。

また、治療直後は咬み合わせに問題がなくても、生活していくうちに変化が現れることも珍しくありません。噛み合わせを確認するためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。

喫煙

喫煙者のインプラント脱落率は、非喫煙者と比較しておよそ2倍と言われています。喫煙がインプラント周囲炎を引き起こす原因となるためです。

タバコに含まれるニコチンは免疫力を低下させます。また、口腔内を乾燥させ、唾液の持つ抗菌作用・殺菌作用・自浄作用を弱めます。これらのことが細菌感染のリスクを高め、インプラントが抜ける原因ともなるインプラント周囲炎を引き起こすのです。

ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。それによって埋め込んだインプラントと顎骨との結合を阻害し、トラブルを引き起こすリスクを高めます。

喫煙は歯周病を悪化させる原因にもなるため、インプラントだけではなく、ほかの歯にも悪影響を与えます。インプラント治療を始める前に禁煙するのが望ましいでしょう。

インプラントの劣化

接着したセメントの劣化で上部構造が外れることがあります。またスクリュー式のアバットメントの場合は、ネジのゆるみや締め付け不足で抜けることも考えられます。

上部構造やアバットメントに問題がなければ、装着のし直しやネジの締め直しで対処できる可能性が高いです。

歯科医院側の問題

インプラントが抜けるなどのトラブルは、不適切な手術によっても起こります。手術前の検査・診断ミスで、顎骨が少なかったりインプラント周囲炎の要因があったりする患者に手術をすると、骨とインプラントの結合が悪くなり、トラブルが起こるリスクは高まります。

また、質の悪いインプラントを使用することによるトラブルもあちを絶ちません。対処法としては、インプラント治療の経験が豊富で実績のある歯科医師か、感染対策や事前検査をしっかり行なっている歯科医院かを確認することが大切です。

インプラントが抜けてしまった際の注意点

青い背景の前に、びっくりマークが描かれた黄色の逆三角が置かれている

万が一インプラントが抜けたときは、自己判断で対処せずに必ず歯科医院に連絡しましょう。

歯科医院での治療がスムーズに進むよう、以下のことに注意してください。

  • どこの部分が抜けたかを確認する
  • 抜けたまま放置しない
  • 抜けたインプラントを戻さない
  • 瞬間接着剤などで固定しない

それぞれを解説していきます。

どこの部分が抜けたかを確認する

前述のとおり、インプラントは3つのパーツで構成されています。

抜けた部分がどこなのかによって原因と対処法が異なります。どの部分が抜けたのか・残った部分は問題ないのか、鏡を使って見るなどして確認しましょう。

抜けたまま放置しない

歯科医院に行くのが面倒といった理由で、抜けたまま放置しないようにしましょう。

審美性や機能性が低下するだけではなく、インプラントが抜けたことでできた「すき間」から細菌が入り、炎症を起こすことがあります。再治療が不可能になる場合も考えられるため注意してください。

抜けたインプラントを戻さない

無理に戻そうとするのは避けてください。細菌感染したり、抜けたパーツを誤飲したりする恐れがあります。

瞬間接着剤などで固定しない

瞬間接着剤などを使って固定するのは避けましょう。

自分で接着すると噛み合わせに不具合が生じ、インプラントや周りの歯に負担をかける可能性があります。

抜けたインプラントの保管方法

包み込むように両手を置いている

抜けてしまったインプラントは、歯科医院を受診するまでの間、清潔な容器に入れて保管しましょう。

ティッシュなどに包んで保管する方もいますが、誤って捨ててしまったり、破損したりする恐れがあるため避けてください。パーツを紛失したり破損したりすると作り直しが必要になります。再度、治療する期間や費用がかかることになるため、抜けたインプラントは大切に保管しましょう。

インプラントが抜けて歯科医院を受診する際に伝えること

歯科の椅子に座って話を聞く患者

歯科医院を受診した際に、以下のことを伝えると治療がスムーズに進みます。

  • 抜けた日時
  • 抜けた際の状況
  • 最近のインプラントの状態
  • 痛みなどの現在の状態

多くの情報を伝えることで、抜けた原因の追及や処置の選択がしやすくなります。

まとめ

黄色い背景の前にコップに入った歯ブラシと歯磨き粉が置かれている

インプラントを長期間快適に使うためにも、抜ける原因になることは避け、定期的なメンテナンスを受けましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

前歯のインプラント治療が難しい理由!インプラントを選択するメリットについて解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

白い背景の前にインプラントと歯の模型が並んでいる

歯を失ったあとの治療として、インプラント治療があります。インプラント治療は、奥歯から前歯まですべての部位に適応することができます。

しかし、前歯のインプラント治療に関しては、一般的に難しいといわれています。

そこで今回は、前歯のインプラント治療が難しいといわれる理由やインプラントを選ぶメリットなどについて説明したいと思います。

前歯のインプラント治療が難しいといわれる理由

レントゲン写真を指差しながら説明している女性歯科医師と説明を聞く女性患者

前歯のインプラント治療が難しい理由は、主に2つあります。

1つ目は、前歯の部分の骨が薄いためです。顎の骨の厚さは、部位によって大きく異なります。噛み合わせたときの力の負荷が大きい奥歯では、顎の骨が比較的厚いです。

一方で、前歯は噛み合わせたときの負荷があまり大きくないため、顎の骨が比較的薄くなっています。インプラント治療では顎の骨にインプラントを埋め込む必要があり、骨が薄いとインプラントが安定しないため治療が難しくなります。

2つ目は、審美的な問題です。前歯のインプラント治療では、インプラントをどの角度で埋め込むのかによって見た目が大きく変化します。骨が比較的薄い前歯の部分では、埋入方向が制限されるため治療が難しくなるのです。

以上の理由から、前歯のインプラントは難しいといわれています。

前歯を失った!インプラントとほかの治療法を比較

ブリッジ治療の3Dの模型

失った前歯を補う治療法には、インプラントのほかに、入れ歯やブリッジなどの治療があります。

以下では、これらの治療法とインプラント治療を比較します。

見た目

入れ歯の場合、歯に金属のワイヤーをかける必要があり、お口を開けたときに金属が見えてしまいます。また、ブリッジの場合は、セラミックのように歯の色を再現できないため、インプラントほど見た目はよくありません。

しかし、インプラントは、土台となるインプラント体を顎の骨に埋め込みます。そのため、インプラント体は外から見えません。また、インプラントの人工歯の部分は、セラミックを使用できるため、天然の歯に近い色で作成することができます。

健康な歯への負担

入れ歯の場合、両隣の歯にワイヤーをかけるため、健康な歯に対して負荷がかかります。場合によっては、金属のワイヤーを安定させるために、健康な歯を削ることがあります。また、ブリッジでは、両隣の健康な歯を大幅に削らなければいけません。

このように、入れ歯やブリッジでは、健康な歯に負担がかかってしまいます。

しかし、インプラントは、土台となるインプラント体を直接顎の骨に埋め込むため、周りの歯に負担がかかることはありません。

噛む感覚

入れ歯やブリッジは両隣の歯を支えにしているため、噛んだときに違和感があります。

しかし、インプラントは噛んだときの感覚が顎の骨に直接伝わるため、しっかりと噛むことができます。

治療期間

入れ歯やブリッジは、1か月程度で治療可能です。

しかし、インプラントは埋入手術や骨とインプラント体が結合するまでの待機期間があるため、治療期間が6〜12か月程度と長くなります。

治療費

入れ歯やブリッジは、保険診療であるため治療費を抑えることができます。

しかし、インプラントは自費診療であるため、治療費用が高額です。

インプラントにするメリット・デメリット

白い背景の前で右手でグッドサインを出している女性

前項の内容を踏まえて、インプラント治療のメリット・デメリットをまとめてみました。

メリット

インプラントにするメリットは、以下の3つです。

しっかりと噛める

インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、自分の歯と同じような感覚で噛むことができます。

健康な歯を傷付けない

インプラント治療では、ブリッジや入れ歯のように健康な歯を削る必要はありません。

見た目がよい

インプラントの人工歯は、自然な歯の色を再現できるため、ほかの治療と比べて見た目がよいです。

デメリット

インプラントのデメリットは、以下の3つです。

定期的なメンテナンスが必要

インプラントの治療後、清掃状態が悪いとインプラント周囲の歯肉に炎症が起きる「インプラント周囲炎」になることがあります。インプラント周囲炎が悪化すると、インプラントを取り除く場合があります。

インプラントは特殊な構造をしています。きちんと清掃を行うためには、ご自身での歯磨きに加えて、歯科医院での専門的なメンテナンスが定期的に必要になります。

治療期間が長い

インプラント治療は手術が必要になるため、治療期間が長くなります。

費用が高い

インプラント1本につき、300,000〜500,000円ほどかかります。

前歯の骨が足りない場合は

歯科の椅子に座っている患者の前に歯の治療器具が置かれている

インプラントを埋入する部位に十分な骨がないと、インプラントを支えることができません。特に前歯のインプラントの場合、インプラントを埋入する方向によって見栄えが変化するため、十分な骨量が必要です。

前歯の顎の骨が足りない場合は、骨量を増やす手術を行います。骨量を増やす代表的な治療に「GBR法」と呼ばれる治療法があります。GBR法は、骨を増やしたい部分を「メンブレン」と呼ばれる特殊な膜で覆い、そこに専用の材料を注入することで、骨の再生を促す治療です。

このように、顎の骨が足りない場合でも、骨量を増やすことでインプラント治療を行うことができます。

前歯のインプラント治療にかかる費用

黒い机の上に聴診器と電卓が置かれており、男性医師が電卓で計算している

前歯のインプラントの治療費は、300,000〜500,000円が相場です。GBR法などの骨の再生を促す治療を追加すると、さらに150,000〜300,000円ほど必要です。

前歯のインプラント治療にかかる期間と治療の流れ

水色の木目のテーブルの上にカレンダーと画鋲が置かれている

インプラント治療期間

インプラント治療のみ、もしくはインプラント治療とGBR法を同時に行う場合は、平均で6〜12か月ほどかかります。GBR法を行なってからインプラント治療を行う場合は、10か月〜1年半かかります。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れは、以下のとおりです。

1.カウンセリング

お口の中のお悩みやインプラント治療の流れ、メリット・デメリットなどについて説明します。インプラント治療に関する疑問などがあれば相談しましょう。

2.精密検査

虫歯や歯周病の検査、歯の型取りなどを行います。また、顎の骨量を精査するためCT検査を行います。そのあと、検査結果をもとに治療計画やインプラント治療の流れ、費用などを説明します。

3.術前処置

歯周病や虫歯などがある場合は、インプラント治療前に優先して治療を行うことがあります。また、インプラントの埋入とGBR法を同時に行わない場合は、この時点でGBR法を行います。

4.一次手術

一次手術では、歯の根っこに相当するインプラント体を顎の骨に埋入します。

まず、局所麻酔を行い、歯茎を切開します。そのあとに専用の器具で顎の骨に穴を空け、インプラント体を埋入し、歯茎を縫合して終了です。

一次手術とGBR法を同時行う場合は、インプラント体を埋入後、続けてGBR法を行います。

5.二次手術

一次手術が終了して3〜6か月ほど経過したあとに二次手術を行います。二次手術では、人工歯を結合するための土台であるアバットメントを装着します。

一次手術の終了後、インプラント体が歯茎に埋もれてしまうため、歯茎を切開してインプラント体を露出させます。そのあとにインプラント体にアバットメントを装着し、二次手術は終了です。

6.人工歯の装着

二次手術で切開した歯茎の治癒後、人工歯を作るための歯型を取ります。人工歯の作成後に噛み合わせなどを調節し、人工歯を装着します。

前歯のインプラント治療中、歯がない期間がある?

水色の背景の前で右手を口に当てている女性

結論から申し上げると、仮歯を入れるため、歯がない期間は基本的にありません。

しかし、顎の骨の状態により、仮歯の入れ方が異なります。

顎の骨が十分にある場合

一次手術が終了してしばらくの間は、インプラント体と骨がまだ結合していません。そのため、インプラント体に余計な刺激を加えないようにする必要があり、基本的には仮歯を装着しません。

しかし、顎の骨が十分にある場合は、噛む力がインプラントに加わっても支えることができるため、一次手術の直後から仮歯を入れることができます。

顎の骨が十分にない場合

骨が十分にない場合は、一次手術が終了したあとに仮歯を入れることができません。そのため、隣の歯に仮歯を貼ることで見た目の改善を図ります。

まとめ

黄色い背景の前で両手人差し指を頬にあてている女性

今回は、前歯のインプラントについて説明しました。前歯のインプラントは、入れ歯やブリッジなどの保険診療と比較し、見た目がよく、噛んだときの感覚が自分の歯で噛むときに近いというメリットがあります。また、骨の量が少なくインプラント治療が難しい場合は、GBR法を併用することで前歯のインプラント治療を行うことができます。

当院ではインプラント治療のご相談を受け付けております。インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療期間はどれくらい?治療の流れも解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

黄色の背景の前に置かれたインプラントの模型とヘルメット

インプラント治療を受けてみたいけど「インプラントは治療期間が長い」という情報もあるため、一歩踏み出せない方もいるかもしれません。確かに治療期間がかかりますが、症例やインプラントの治療法によって、治療期間は変わってくるのです。

今回は、インプラントの治療期間はどれくらいかかるのか、治療の流れと一緒に解説します。インプラントの治療期間に不安を抱いている方はぜひ参考にしてください。

インプラント治療にかかる期間

カレンダーが複数個置かれている

インプラントは、一般的な歯科治療に比べて期間がかかってしまう治療です。最短で3か月、平均で6か月、難症例では1年近くかかることもあります。症例によって治療期間が大きく異なるため、一概にどれほどの期間がかかるかは言い切れません。

インプラント治療はトータルすると治療期間が長い傾向にありますが、手術などの大がかりな治療を長期間しているわけではありません。「そんなに長い間、大掛かりな治療に耐えられない」との意見も中にはありますが、手術自体は1〜2回だけです。インプラントの治療期間が長いのは、歯茎の中に埋めたインプラント体と骨がしっかりとくっつくのを待つ待機時間があるからです。その間にほかの治療を進めることも可能なため、それほど苦痛を感じる治療ではないでしょう。

これまで、インプラントの治療期間が不安で、インプラント治療に踏み出せなかった方も治療の流れや治療内容を理解することで、インプラント治療に前向きになれるかもしれません。

インプラント治療の流れ

階段のように積み重ねられた積み木

インプラント治療は、3か月〜1年近くかかることがあると説明しましたが、症例だけでなく治療部位によって異なります。下の歯よりも上の歯のほうが治療期間が長くなる傾向です。

治療の流れがよくわからないという方のために以下の表で分かりやすく説明しています。

〈インプラントの各治療にかかる期間〉

治療の流れ

 

治療内容 治療期間・治療回数
①精密検査・

治療説明

インプラント手術をするにあたって

骨の状態や噛み合わせの状態などを詳しく検査します

1〜2回
②手術前準備

 

手術前にはお口の中をきれいにクリーニングします

歯周病や虫歯など、インプラント治療前に優先して

治療すべき箇所がある場合は、そちらの治療を行います

お口の状態によって異なる
※歯周病治療で治療期間がかかる場合もある
③インプラント

手術

顎の骨の中にインプラント体を埋めます

手術は1回法か2回法かによって回数が異なります

1回または2回
④消毒

 

インプラント手術を受けた翌日に

状態確認と消毒を行います

1回
⑤抜糸

 

手術時に縫合した部分の抜糸を行います 1回
⑥待機期間 歯茎に埋めたインプラント体と骨がしっかりと

くっつくまで経過を待つ必要があります

その間、仮歯を装着して噛み合わせなどの

問題がないか確認します

約3か月〜(インプラントを埋める場所や状態によって異なる)
⑦上部構造の

型取り

インプラント体の上に装着する

被せ物の型取りをします

1回
⑧上部構造の

装着

 

出来上がった被せ物を装着して治療完了です 1回
⑨定期的な

メンテナンス

最終的な被せ物を装着すれば治療は完了ですが

インプラント治療にはメンテナンスが必須です

インプラントをより長持ちさせるためにも

定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう

歯科医院や患者さんの状態によって異なる

抜歯と同時にインプラントを埋める方法

基本的な治療の流れは上記のとおりですが、インプラントは抜歯後の歯茎が落ち着いてからインプラントを埋める方法と、抜歯と同時にインプラントを埋める方法があります。

抜歯と同時にインプラントを埋める「抜歯即時インプラント治療」は、より治療期間を短縮できます。さらに、手術当日に仮歯まで装着できることもあるので、歯がない期間がない点も嬉しいポイントです。

ただし、骨の質や骨量によっては抜歯即時インプラントができない場合もあります。「より治療期間を短くしたい」という方は、抜歯即時インプラントが可能か、担当歯科医師に相談してみましょう。

骨量が少ないと追加処置が必要になる

骨が少なくて骨造成などの追加処置が必要になる方もいます。

骨造成や歯茎の移植などが必要になった場合は、治療回数も待機期間も増えてしまうでしょう。追加処置が必要かどうかは最初の検査・診断を行った際に、歯科医師から説明があるはずです。診断後、おおよその治療期間についての説明もあるので、治療前に必ず確認しておきましょう。

インプラント治療中に歯がない期間がある?

インプラント治療を受けても、待機期間の間、ずっと歯がない状態になるのは患者さんにとってとても不安なことです。見た目の問題はもちろん、ずっと噛めない状態はつらいと感じる方もいるでしょう。

しかし、インプラント体を埋めてから最終的な被せ物を装着するまでの間、ずっと歯がない状態ということではありません。その間は仮歯を装着して審美面でも問題ないよう治療できます。前歯などの治療であれば、手術当日に仮歯を装着することが一般的です。

待機期間に仮歯を装着する目的は、以下の4つです。

・隣の歯が移動と歯並びの乱れの予防
・細菌感染の予防
・噛み合わせの調整
・審美面の対策

仮歯はプラスチックの素材で作られているため、噛み合わせの高さ調整が可能です。インプラント手術直後はインプラント部分で噛まないよう指導されますが、落ち着いてきたらインプラント部分で噛めるように調整していきます。

仮歯の期間中に気をつけたいこと

仮歯を入れていると、見た目の問題がなく、ある程度噛めるようになります。

しかし、気をつけておくべき点もあるので注意しましょう。仮歯はプラスチックの素材のため割れやすいです。硬い物を食べたり、強く噛んだりすると割れてしまう可能性があります。

また、当然ながら仮歯は完成形ではありません。最終的な被せ物と取り替えられるよう、あとから外せる接着剤を使用して仮歯を装着しています。そのため、ガムやキャラメルなどのくっつきやすい食べ物を噛んでいると、仮歯が外れてしまうことがあります。インプラントの状態によっては、仮歯を入れていても噛み合わないようにしていることもあります。

歯科医師からインプラント部分で噛んでもいいという指示が出るまで、インプラント部分で噛まないよう気をつけましょう。

インプラント治療後は定期的なメンテナンスを

歯科医院で治療を受ける女性

インプラント治療は、最終的な被せ物が入ったら終了ではありません。インプラントをより長持ちさせるために、定期的なメンテナンスを受ける必要があります。

なぜメンテナンスが必要になるかというと、お口の清掃が不十分だったり、噛み合わせが安定していない場合、インプラントを長持ちさせるのが難しくなるからです。インプラントは虫歯になりませんが、インプラント周囲炎という歯周病にはなります。これに気付かずに放置すると、最悪の場合、インプラントを抜かなければいけません。

高額な治療費を払って受けた治療が台なしになってしまうのは、とても残念なことです。そうならないために、定期的にメンテナンスを受診し、プロフェッショナルなクリーニングケア受け、全体的なチェックをしてもらうことをおすすめします。

「治療後に定期的なメンテナンスを受けていない場合は保証できません」という歯科医院も少なくありません。治療後に放置されると、早めに対処すれば改善できる処置もできなくなるからです。インプラント治療にとって、メンテナンスは非常に重要ということがわかるでしょう。

まとめ

インプラントの模型を使って説明している歯科医

インプラント治療は、一般的に3〜6か月ほどの治療期間がかかります。通常の歯科治療と比較して、インプラントは治療期間がかかる治療ですが、手術自体は1〜2回で終わります。インプラント埋入後は仮歯や仮の入れ歯を装着可能なので、見た目の心配は不要です。「長い」といわれる治療期間に不安を感じ、インプラント治療に一歩踏み出せない方は、治療の流れを確認してみてください。治療期間は長いですが、ずっと大変な治療がつづくわけではないので「思ったよりしんどくなかった」という意見も多いです。

インプラント治療を受ける際は、症例によって治療期間も異なりますので「どれくらいの期間がかかるのか」を事前に担当歯科医師に確認しておきましょう。また、インプラント治療は定期的なメンテナンスが必要です。指導された間隔で定期検診を受診し、インプラントを長持ちさせましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

奥歯をインプラントにするメリット!奥歯の役割や気をつけることもわかりやすく解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

歯医者で治療を受けている女性

奥歯を失った際、よく噛めるようになるインプラント治療を検討されている方も多いと思います。インプラント以外の治療法には入れ歯やブリッジがありますが、奥歯こそインプラントにしたほうがいいのです。

この記事では、奥歯をインプラントにするメリットとデメリット、インプラント治療で気をつけるべき点を詳しく説明しています。インプラント治療を受ける前に正しい知識を身につけておきましょう。

奥歯はどこから?

歯の模型を使って説明している

奥歯とは臼歯のことを指し、前から4番目以降の小臼歯2本と大臼歯2本のことです。加えて親知らずが生えている場合は親知らずも奥歯に含まれます。

しかし、親知らずは生えてこない人もいれば、歯茎に埋まった状態の人もおり、必ずしも全員に生えるわけではありません。親知らずを含まなければお口全体で奥歯は16本で、親知らずが上下左右すべて生えている場合の奥歯は20本です。

奥歯の役割とは?

ピンクの背景の前に歯のモデルが並べられている

奥歯は、噛み合わせの高さが決まる重要な役割があり、欠かせない歯です。食べ物をすりつぶしたり、噛み砕くのも奥歯なので、奥歯がない状態で食事を楽しむことは難しいでしょう。また、しっかり噛めないことは健康問題にも直結したり、奥歯がないと空気が漏れて発音にも影響を及ぼすかもしれません。そのため、インプラント・ブリッジ・入れ歯のいずれかの治療法で噛める状態にする必要があります。

奥歯をインプラントにするメリット

MERITの文字の積み木が並べられている

前述のとおり、奥歯を失った際はインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの治療法があります。

今回はそのなかでも奥歯をインプラントにするメリットをご紹介するので、インプラント治療を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

①前歯に比べて難易度が低い

前歯部は奥歯に比べると骨が薄いことが多く、インプラントを埋入する角度が難しくなります。骨が薄くて少ないと「骨造成」という骨を増やすための追加処置が必要になり、費用も高くなったり痛みや腫れが出やすくなったりと手術が大変になります。

それに比べて、奥歯は比較的骨がしっかりあるケースが多いため、前歯に比べて難易度が低いのです。

②違和感を少なくできる

奥歯を失った際の治療法には、インプラント以外に入れ歯やブリッジがあります。入れ歯は取り外しができ、清掃がしやすいですが、どうしても違和感が出やすいです。また、痛みが出てしっかり噛めないこともあります。ブリッジは入れ歯より違和感が少なく、しっかり噛み合わせることができますが、両サイドの歯と連なった被せ物です。

入れ歯やブリッジに比べて、インプラントは元の天然歯と同じように修復が可能なため、違和感が少なく、見た目も天然歯と同じように自然で美しい状態にできます。

③再度虫歯にならない

奥歯は歯磨きが難しく虫歯になりやすい場所でもあります。奥歯を失った際にブリッジで治療すると前後の歯と連なった被せ物が入るので、ブラッシングはより難しくなります。歯間ブラシなどを用いて丁寧にケアができなければ再度虫歯になってしまうこともあるのです。

それに比べて、インプラントは虫歯になることはありません。ブラッシングなどのケアを怠ると歯周病になる可能性はありますが、虫歯にはならないので、再度虫歯になることを懸念されている方におすすめです。

④他の歯に負担をかけずに済む

奥歯を失った際にブリッジで治療すると、連なった被せ物にするために隣の歯を削る必要があります。一度削った歯は戻りませんので、あとで後悔をしても元通りにはできません。削った歯は土台となり負担がかかるので、弱くなってしまいます。部分入れ歯にした場合は、残っている歯に銀でできたバネを引っ掛けます。入れ歯を取り外しする度にバネがかかった歯に負担がかかることになるのです。

インプラントは、歯がないところにインプラント体を埋め、被せ物を装着するだけで天然歯のように修復できるので、他の歯に負担をかけることはありません。

⑤バランスのとれた噛み合わせにできる

奥歯を失うと、左右でバランスよく噛めなくなります。噛み合わせは非常に重要で、バランスが悪い状態を放置しておくと、頭痛や肩こりを引き起こす原因になることもあります。また、歯がない場所では噛めないので、反対側で食事をするようになり、次は反対側の歯に負担がかかって結果的に左右とも歯を失ってしまうことにもなるのです。

⑥顎の骨が痩せるのを防げる

顎の骨は歯根があることで刺激が加わり、骨が弱くなるのを防げます。入れ歯やブリッジは歯がないところでも噛めるようにはなりますが、歯根がなく顎の骨に刺激が伝わらないので、次第に骨自体が痩せてしまうのです。

入れ歯の場合、骨が痩せると入れ歯が合わなくなり、痛みが出たり、再度入れ歯の作り直しが必要になったりします。ブリッジの場合だと、骨が痩せることで、連なった被せ物のダミー部分に食べ物が詰まりやすくなってしまいます。

インプラントは、骨にインプラント体を埋めるので噛む力が顎の骨にも伝わり、骨が痩せるのを防げます。

奥歯をインプラントにするデメリット

DEMERITの文字の積み木が並べられている

奥歯のインプラント治療にはメリットがたくさんありますが、デメリットもあります。メリットとデメリットの両方を把握して、納得したうえでインプラント治療を受けるようにしましょう。

①治療費が高額になる

インプラント治療は保険適応外で自由診療です。そのため、高額な治療費がかかります。

とはいっても、セラミック素材のブリッジで治療したり、保険適応外の入れ歯を作製したりすると同程度の治療費がかかることもあります。どの治療法が最もご自身に最適か、よく検討しましょう。

②治療期間が長くなる

インプラントは、埋入した後に骨とインプラント体がしっかりくっつくのを3か月ほど待ちます。症例によってはもっと長い期間待つこともあります。その後に上部構造と呼ばれる被せ物の型取り・装着を行いますので、トータルすると半年ほどかかることが多いです。

③メンテナンスが必要

奥歯に関わらず前歯部でも同じですが、インプラントを埋めた後は定期的なメンテナンスが必須です。インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病にはなる可能性があります。定期的な検診で状態の確認と専門的なクリーニングを行っていないと、インプラントが脱落してしまうかもしれません。せっかくインプラント治療を受けたのであれば、より長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。

奥歯のインプラント治療で気をつけること

歯医者でカウンセリングを受けている女性

インプラント治療を行う際には、まず十分なカウンセリングが必要です。全身疾患の有無や服用しているお薬の確認などを行い、インプラント治療が最適かどうか検討します。問題がなければ精密検査・診断に進み、歯科用CTで骨の状態や噛み合わせを調べます。

インプラントを上の歯に埋める場合は「上顎洞」と呼ばれる空洞の位置を確認しながら、インプラントの埋入角度や深さを検討します。インプラントを下の歯に埋める場合は、下歯槽神経・下歯槽動脈・下歯槽静脈をドリルで傷つけないよう位置関係を確認しながらインプラント治療を進めます。

このように、事前準備を十分に行うことで安心なインプラント治療を行えるのです。なお、喫煙はインプラント周囲炎の原因にもなります。手術後だけでなく、インプラントを長持ちさせるためにも禁煙されることをおすすめします。

インプラント手術当日は体調が万全な状態で臨めるよう、自己管理も必要です。ゆっくり安静に過ごせる日に手術の予約を取るようにしましょう。

まとめ

歯の治療を受けている女性の前にインプラントの模型が置かれている

奥歯を失った際の治療法にはインプラント・ブリッジ・入れ歯がありますが、その中でもインプラント治療はたくさんのメリットがあります。インプラント治療は残っている歯にとって最もやさしい治療法です。もちろんデメリットもありますので、インプラント治療をしっかり理解したうえで納得のいく治療法を選択しましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラントのメンテナンスは重要?費用や内容について詳しく解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

インプラント

「インプラントの寿命はどれくらい?」「口腔内の炎症に悩んでいる」「高額な医療費に困っている」このような考えや悩みを抱えていませんか?1本で30万円以上の費用がかかるインプラントは、基本的に10〜15年ほどで交換が必要です。

しかし、これはメンテナンスをしっかり行っていた場合の寿命です。使い続けることで劣化が進むため、定期的に口腔チェックや歯石の除去、歯磨き指導などが必要となりますが、場合によっては費用がかかることに注意しなければなりません。

この記事では、インプラントの寿命やメンテナンスの重要性、メンテナンスの内容と費用について詳しく解説します。

インプラントの寿命はどれくらい?

インプラント

インプラントはとても高額な治療ですが、埋め込んだ歯は永遠に使用できるわけではありません。

まずは、インプラントの寿命について解説していきます。

インプラントの寿命は10〜15年程度

インプラントの寿命は、メーカーや種類によってさまざまですが10〜15年程度が一般的です。

ただし、メンテナンスの頻度などによってインプラントの寿命は変わるため、10年よりも早く交換が必要になる場合もあります。歯を自分の歯茎に埋め込む治療のため、違和感も少なく自分の歯のように噛んだり話したりすることが可能ですが、医療保険が効かず自由診療であるため、高額になりがちです。1本30万円程度かかり、加えて年に2、3回のメンテナンスが必要になるため、維持費も高額になる傾向があります。

インプラントのメンテナンスの重要性

歯のピクトグラムと虫眼鏡と歯ブラシを持つ歯

メンテナンスはとても重要です。

メンテナンスには、クリーニングや病気の有無のチェックが含まれます。インプラントを長持ちさせるには、病気を予防することが一番大切です。そのため、メンテナンスで病気のチェックをすることは、インプラントの寿命を延ばすことに直結します。

ここからは、メンテナンスをしなければならない理由について、さらに詳しく掘り下げていきます。

歯周炎を予防するため

インプラントは人工の歯であるため、虫歯になることはありません。

しかし、インプラントにとって怖いのは「歯周炎」です。インプラント歯周炎は、インプラントの周りの歯茎が炎症を起こし、歯茎の腫れや出血、膿が出るなどの症状を引き起こす病気で、歯周病の前段階といわれています。歯周炎の原因は、口内の細菌です。細菌が集まると「バイオフィルム」という細菌の膜を作ります。 このバイオフィルムは、自分で歯磨きをするだけでは取れないため、とても厄介です。

歯周炎は、歯茎が腫れたり血が出たりという程度で、痛みなどの自覚症状がありません。そのため、自分では気がつかず、知らない間に歯周病にまで発展してしまうこともあります。

定期的に歯科医院でメンテナンスを行うことでバイオフィルムを除去し、歯周炎が重症化する前にケアをすることで、インプラントを長持ちさせることにつながります。

残っている自分の歯の健康を守るため

歯周炎になってしまうと、インプラントだけではなく、残っている自分の歯(残存歯)にも影響が出ます。歯周炎は放っておくと段々と口内の歯茎全体に広がっていくからです。

メンテナンスでは、インプラントと残存歯、歯茎の状態をトータルでチェックし、クリーニングや歯石の除去を行います。そのため、メンテナンスによって残存歯を健康的に維持することも可能になります。

歯周炎は、口内のどこにでも発症する可能性があります。歯周炎を放置すると、インプラントだけでなく自分の歯も抜けてしまう可能性があるため、メンテナンスは必ず受けることをおすすめします。

保証を受けられるようになる

インプラント治療には、一般的に保証期間が設けられています。埋め込んだ後に、故意による破損以外の不具合があった場合は無料で対応してもらうことが可能で、インプラントの種類やメーカーにもよりますが、保証期間はだいたい5~10年となっています。

しかし、この保証を受けるためには「メンテナンスをきちんと受けていること」が含まれる場合が多いです。あくまでも保証の対象は「故意による破損以外の不具合」であるため、メンテナンスを受けていない場合は、保証は受けられません。

インプラントは自由診療のため、保証が受けられないと交換も高額になります。不具合があった時のためにも、メンテナンスはしっかり受けておきましょう。

インプラントのメンテナンスの流れと通院頻度

インプラント

次に、インプラントのメンテナンス内容と頻度について詳しく解説をしていきます。

インプラントのメンテナンスの流れ

インプラントのメンテナンスは歯科医院によって異なりますが、次のようなことを実施します。

  • 噛み合わせ検査
  • 口内の健康状態チェック(歯周炎の有無、歯周ポケットのチェック)
  • レントゲン
  • クリーニング
  • ブラッシング指導

メンテナンスでは、主に口内の状態のチェックとクリーニング、ブラッシング指導に分かれます。

口内チェックでは、歯周炎の有無や歯周ポケットの深さをチェックします。ここで、一緒に噛み合わせの検査も行います。噛み合わせが悪いと、しっかり食べたり話したりすることができません。インプラントのメリットが最大限発揮できるよう、噛み合わせの調整も大切な工程です。もし、口内に歯周炎や虫歯などの異常があれば、そちらの治療を行いますが、異常がなければクリーニングを行います。クリーニングでは、セルフケアでは取りきれない歯石やバイオフィルムの除去がメインです。

最後に、歯磨きなどのセルフケアの指導を受けます。

定期的なメンテナンスを受けるといっても、一番大切なのは毎日のセルフケアです。うまく磨けていないところの磨き方や、使うグッズなどについて教えてもらうことができるため、インプラントを長持ちさせるためにもしっかり聞いておきましょう。

インプラントのメンテナンスの頻度は年に2〜3回

インプラントのメンテナンスは、だいたい年に2〜3回通います。インプラントを埋め込んで初期の頃だけ通えばいいというわけではなく、インプラントが入っている状態であれば、通い続けなければいけません。

インプラントの種類や歯科医院によっても頻度は変わるため、しっかりと確認をしておきましょう。

インプラントのメンテナンスにかかる費用

歯とコイン

年に2〜3回の通院で、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。自費診療で通院頻度も多いため、気になるところですよね。

インプラントのメンテナンス費用の相場は3,000~10,000円

歯科医院によってさまざまですが、インプラントのメンテナンス費用はだいたい3,000〜10,000円です。

インプラントは自費診療であり、医療保険は適応されません。そのため、インプラントのメンテナンスも通常全額自己負担となり、高額になる傾向があります。

医療費控除となるメンテナンスの費用

インプラントのメンテナンス費用は、場合によっては医療費控除という制度が適応になります。医療費控除とは、かかった医療費を一部返してもらうことができる制度です。

ただし、インプラントにかかった治療費すべてが控除の対象になるわけではありません。1年間でかかった医療費の合計が10万円を超えた場合は、超えた分が控除の対象になります。

インプラント治療にかかる費用の中で、控除に当てはまるのは次のような場合です。

  • 金などの一般的な歯科治療で使われる材料を使用したインプラントの治療費
  • 病気やけが、生まれつきなどで欠損した歯を補うための治療費
  • デンタルローンやクレジットカードを利用して支払った医療費
  • 歯科医院などの病院への通院する際にかかった公共交通機関の運賃

インプラント治療を受けたときは、医療費控除の対象となるかを歯科医院に確認しておきましょう。

(参照元:国税庁 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

インプラントの寿命を伸ばすためにできること

インプラント

インプラントの寿命を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスはもちろんですが、毎日のセルフケアも大切です。

ここからは、インプラントを長持ちさせるために自分でできる対策について解説していきます。

歯磨きを丁寧に行う

一番大切なのは、歯磨きです。インプラントで虫歯の心配がなくても、歯周炎予防のためにはしっかり歯磨きをする必要があります。

しかし、力を入れてゴシゴシしすぎるとインプラントの表面が傷ついてしまう場合があるため、優しく表面を撫でるようにしましょう。歯茎も優しく磨くことで歯周ポケットまでケアすることができます。歯周ポケットに細菌がたまると歯周炎の原因になるため、歯と歯茎の間も意識して磨くことをおすすめします。

フロスを使う

歯と歯の間に糸のようなものを通して、汚れを絡めとるフロスも有効です。

セルフケアでは、インプラントや残存歯を傷つけることなく、汚れをしっかり除去することが大切なので、フロスを使う場合も優しく行ってください。

デンタルリンスを使う

デンタルリンスは、薬剤を口に含んでゆすぐことで口内の殺菌から消毒までできる優れものです。口臭予防に使われることが多いですが、インプラントにも有効です。出先などでも気軽に使えるので、ぜひ試してみてください。

しかし、インプラントを埋め込んですぐはデンタルリンスは使用できません。デンタルリンスを使用したいときは、歯科医師に確認をしておきましょう。

まとめ

インプラント

今回は、インプラントのメンテナンスについての解説をしました。

自分の歯のように噛んだり話したりできることがインプラントの最大のメリットですが、10〜15年で交換が必要で、年2〜3回のメンテナンスを受ける必要があります。メンテナンスやセルフケアをしっかり行うことで、インプラントのメリットを最大限に生かしつつ長持ちさせることが可能です。入れ歯と違い、インプラントは、今までと変わらない生活を実現することができるでしょう。しっかりメンテナンスをして、大事にしていきましょう。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!