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インプラントを除去しなければいけないケースとは?除去方法と費用も解説

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

3本のインプラントのイメージ図

歯を失ったところに噛む機能をもたせるためには、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの装着が主な治療方法です。その中でもインプラントは、入れ歯やブリッジと比較して装着感が少なく、見た目の審美性もよく、強く噛むことができるため、機能面で優れた治療です。

ただし、インプラント治療後に、インプラントを除去しなければならないケースがあるため、治療前にこの点も含めてインプラントするかどうか検討する必要があります。

インプラント治療とは

インプラントのイメージ図

インプラント治療とはどのような方法であるか、簡単に説明します。

インプラント治療では、インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、定着したらアバットメント(結合部品)と被せ物(上部構造)を装着します。インプラント体を固定するための顎の骨が足りない場合、骨を作る手術も併用して行われるでしょう。

治療期間は、インプラント体の埋入から上部構造の装着まで、数か月から1年ほどかかります。また、インプラント治療は基本的に保険適用外(自由診療)で行われ、インプラント1本を埋入する費用の相場は、20~40万円です。

インプラントを除去しなければいけない原因とは

顎に手を当て不思議そうにしている女性

高い機能性をもつインプラントですが、場合により、治療後にインプラントを除去しなければいけないケースがあります。主な要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。

以下で詳しく解説します。

インプラント周囲炎

インプラントの除去で多い要因が、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とは、埋入したインプラント体の周囲組織に発症する炎症性の疾患です。

インプラント周囲炎になる原因

インプラント周囲炎が発症する主な原因は、清掃不良やメンテナンス不足による細菌感染、インプラント体に過度の負担が加わるオーバーロードなどがあげられます。

インプラント治療の際、医師は適切なインプラント体の選定、綿密な治療計画を組む必要があり、治療後のメンテナンスの重要性を患者さまにご理解いただかなければいけません。患者さまは、定期的に歯科医院で診断とメンテナンスを受け、インプラント治療部位を清潔に保つことが重要です。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎が発症すると、インプラント体の周囲組織の炎症に加えて、インプラント体を支える顎の骨が減少する骨吸収も起こります。

骨吸収が進行すると、インプラント体の固定が弱まり、ものを噛んだ際にぐらついてしまうのです。この骨吸収は度合いにより、歯科医院でリカバリーができないことがあり、インプラントの除去となるケースがあります。

なお、骨吸収を伴わない炎症は、インプラント周囲粘膜炎と区別されており、インプラントの固定に影響は少ないとされています。インプラント部分に異常があると感じたら、早めに歯科医師に相談し、早期発見や治療を心がけましょう。

インプラント体の破損

インプラント周囲炎だけでなく、インプラント体が破損した際にもインプラントの除去が行われます。インプラント体はチタン合金などの金属で構成されており、長期間、体内で力がかかっても耐えるよう形状、表面処理などの工夫がされています。

しかし、耐久性に優れたインプラント体であっても、数十年経つと少しずつ劣化し、破損することがあります。インプラント体が破損した状態で放置すると、インプラント周囲炎や咬合不良などのリスクがあるため、インプラントを除去しなければなりません。

インプラント体の体内への迷入

上の奥歯部分の近くには、上顎洞とよばれる鼻腔(空間)が広がっており、顎の骨が薄いため、インプラント治療の際には骨を作る手術も併用されるケースがあります。そこにインプラント体を埋入すると、インプラント体が上顎洞側へ移動して、まれに鼻腔の中に入り込んでしまいます。

この状態は「インプラント体の迷入」とよばれており、迷入したインプラントは一度除去しなければいけません。迷入したら、鼻から膿が出る、違和感があるなどの症状が出るため、少しでも自覚があれば、治療を受けた歯科医院、もしくは耳鼻咽喉科へご相談いただくとよいでしょう。

神経麻痺

顔には多くの神経が走っています。

お口周りも例外ではなく、医師は治療するうえで神経を損傷しないよう気をつけなければいけません。特に、下の顎に伸びている下歯槽神経は歯根の近くにあり、親知らずの抜歯では、治療後に下唇の知覚麻痺を起こす可能性が2%ほどあるといわれています。

インプラント治療においても、下の顎にインプラント体を埋入する際は神経を傷つけないよう、細心の注意を払います。それでも神経を損傷することがあり、知覚麻痺が確認されたら、インプラントを除去して神経の治療を行わなければいけません。

金属アレルギー

金属アレルギーの方にとって、インプラント治療を行うことができるのか気になる方も多いと思いのではないでしょうか。

結果からいえば、金属アレルギーの方でもインプラント治療は可能です。インプラント体はチタンで構成されるため、金属アレルギーの原因とされる金属(ニッケル・コバルト・水銀・パラジウム・クロムなど)は含まれていないからです。

ただし、ごく稀にアレルギーを発症することがあり、チタンが原因と確認された場合は、インプラントの除去を行います。

インプラント除去の方法

患者と患者の歯を見ている歯科医師

インプラント周囲炎などの要因でインプラントを除去するためには、埋入時と同じく、局部麻酔のもと、外科手術が行われます。

骨吸収が進んでいるケースであれば、軽く引っ張って抜くことができますが、通常は専用の器具を使用して除去します。インプラント体はねじのような形状で、埋入時はトルクをかけるため、除去する際は逆回転させることで抜くことができるのです。

なお、患部の状態によっては、多少骨を削ることもあります。

インプラント除去にかかる費用

費用をあらわすイメージ図

インプラント除去の費用は、保険適用のケースと保険適用外(自由診療)のケースがあります。

以下、それぞれ解説します。

保険適用の場合

保険診療でインプラント除去するには、インプラントを埋入した歯科医院以外の施設で治療を受けなければいけません。さらに、摘出前のレントゲン画像をそろえる必要があります。

一般的なインプラント体の除去は、1本あたり保険点数460点(4,600円)です。保険診療の場合、治療費を3割負担と想定すると、1,400円ほどが自己負担額となるでしょう。

保険適用外の場合

保険適用外で治療を受ける場合は、全額自己負担です。

歯科医院によっては保証制度を設けている場合もあるので、インプラント治療を行った歯科医院にご確認ください。

インプラント除去後に再手術はできる?

両手で疑問のポーズをしている女性

インプラント除去について説明しましたが、除去後に再度インプラント手術を行うことはできるのでしょうか。

できる場合とできない場合に分けて、以下それぞれ説明します。

再手術ができる場合

再度インプラント手術ができる条件は「除去した原因を改善できていること」が挙げられます。

インプラント周囲炎であれば、細菌感染部の除去や炎症の改善、インプラント体の破損であればその除去、神経損傷であればインプラント体の除去と知覚改善などです。

再手術ができない場合

続いて、インプラント除去後に再手術ができないケースをご紹介します。

基本的に、除去した原因が改善できていなければ再手術はできません。具体的には、炎症が治まっていない、癖や生活習慣が改善されていないなどがあげられます。

炎症が治まっていない

インプラント除去後は、一日でも早く再手術して噛める状態に戻したいものです。

しかし、炎症や細菌感染源が改善していないにも関わらず、インプラントを埋入すれば、再度インプラント周囲炎を起こすリスクが高いです。再手術は治療後に計画されるでしょう。

歯ぎしりや食いしばり癖がある

インプラント埋入部の骨吸収が起こる要因は、インプラントに過度の負担があり、歯ぎしりや食いしばり癖がある方にみられます。これらの癖が改善されないうちは、再度インプラント手術を行っても、新しいインプラントに過度の負担がかかるため、癖の改善が必要です。

喫煙習慣がある

インプラント治療において、喫煙者は不利になる傾向があります。タバコを吸うことで血流が悪くなり、インプラントと顎の骨の固定を遅らせる、口内環境を悪化させて細菌感染率を高めるなどのリスクがあるからです。

喫煙者=再手術不可というわけではありませんが、インプラント埋入から除去、再手術の過程で喫煙していたのであれば、喫煙習慣を見直してみましょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

今回は、インプラントの除去について解説しました。

インプラント除去の要因は、インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどが挙げられます。インプラント除去は保険適用と保険適用外があり、保険適用の場合は3割負担で、インプラント1本あたり1,400円ほどです。インプラントに関するトラブルでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントでお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!

インプラント治療後に口臭が!原因と対策を解説!

皆さん、こんにちは。綾瀬市にある武内歯科医院です。

口臭がする人と口臭が気になっている人

インプラント治療後に、口臭が気になるとお悩みではありませんか。インプラントは、自分の歯のような見た目ですが、どうしても段差ができて、磨き残しができやすい形状です。

インプラント治療後の口臭の大きな原因は、きちんと歯を磨けていないことによる磨き残しです。磨き残しを放置すると、インプラントの脱落の原因となる「インプラント周囲炎」を発症するかもしれません。

今回は、インプラント治療後の口臭の原因と対策を解説します。口臭のセルフチェック法や正しい歯磨きの仕方もご紹介していますので、インプラント治療後の口臭にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

インプラントとは

インプラントのイメージ画像

歯科におけるインプラントとは、歯を失ったところに人工の歯根(インプラント)を埋めることで、歯を補う治療のことです。従来の治療法であるブリッジや入れ歯と違い、周りの歯を傷つけることなく、しっかり噛めるのが、インプラントの最も大きな利点です。

また、インプラントには金属アレルギーが出にくいチタンを使用しているので、適用できる方が多いこともメリットでしょう。

インプラントによる口臭の原因

口臭が気になっている女性と口臭がする男性

インプラント治療後に口臭が気になる原因には、以下の3つが考えられます。

磨き残し

歯の汚れであるプラークが溜まることによって、口腔内に細菌が繁殖することが口臭の原因です。

インプラントは、自分の歯のような見た目ですが、自然の歯よりも段差が多い形状なので、磨き残しができやすくなっています。特に、自分の歯とインプラントの歯の間やインプラントと歯茎の間に、どうしても汚れが溜まりやすいため注意が必要です。

磨き残しが多いことで、細菌が繁殖し、腐った生ごみのにおいがするガスを発生させます。このガスが、口臭の原因です。

もちろん、インプラント部分だけでなく、ほかの歯に磨き残しが多い場合でも口臭の原因となります。口臭予防には、できるかぎり磨き残しをなくすのがよいでしょう。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯茎が赤く腫れる、出血するといった歯周病のような病気のことです。インプラント周囲炎を発症すると、口臭の原因となることがあります。

そもそも、インプラント周囲炎は、磨き残しがあることや歯石が溜まっているなど、口腔内が清潔に保たれていないことが原因です。インプラント周囲炎を放置すると、顎の骨が吸収され、ぐらつきが起こり、最悪の場合、インプラントの脱落の原因となります。

インプラント周囲炎は、歯周病よりも進行が早いといわれています。そのため、インプラント治療後に口臭がきつくなった場合や歯茎の腫れや出血などの症状がみられる場合は、一度歯科医院を受診しましょう。

インプラントのゆるみ

インプラントは、以下の3つに分けられます。

  • 人工歯(被せ部分)
  • アバットメント(人工歯とインプラントの接続部分)
  • インプラント(人工歯根)

アバットメントは接続部分の「ねじ」なので、段々ゆるむことがあります。アバットメントがゆるむことで、すき間に唾液やプラークが入り込み、細菌が繁殖します。これが、口臭の原因になるのです。インプラント治療から時間が経つことでゆるむことがあるかもしれませんが、もう一度締めなおせば問題はありません。

ただし、インプラント部の噛み合わせが高いことが原因でゆるんだ場合には、注意が必要です。噛み合わせが高いことで、人工歯の破折や顎関節症など、さまざまな影響が出る原因になります。この場合は、調整や作り直しが必要となることもありますので、定期的に歯科医院でチェックを受けるのがよいでしょう。

口臭のセルフチェック方法

自分の手を使って口臭チェックをしている

自分の口臭はなかなか気づきにくいものです。ここでは、口臭のセルフチェック方法を、以下5つご紹介します。

コップや袋に息を吹きかけて嗅ぐ

まずは、すぐに試せる簡単な方法です。清潔なコップや小さめのビニール袋に口を当て、息を吹き込みます。吹き込んだらすぐ、においを嗅いでください。

嗅いだときにくさいと感じるなら、口臭がある可能性が高いです。

フロスのにおいを嗅ぐ

フロスは、歯と歯の間の汚れを落とすものです。使用後のフロスを嗅いで、くさいようなら口臭があるかもしれません。特に、インプラントと歯の間はすき間ができやすく、汚れも溜まりやすい部位です。

フロスは毎日使用することで、においのもととなる汚れを除去し、口臭予防に効果を発揮するでしょう。

舌の汚れをチェックする

口臭は、磨き残しのプラークだけでなく、舌の汚れも原因です。健康な方の舌はピンク色ですが、舌の汚れである舌苔(ぜったい)がついていると、舌は白く汚れています。舌苔は細菌の集まりで、その中に歯周病菌も潜んでいます。

歯の汚れだけでなく、舌の汚れをきれいにすることは、口臭予防、歯周病やインプラント周囲炎の予防に効果的です。

口臭測定器を使う

自分でにおいを嗅ぐのではなく、客観的に口臭があるか知りたい方は、口臭測定器を利用するとよいでしょう。口臭測定器とは、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなど、口臭のもととなるガスを測定します。

取り扱いのある歯科医院で測定してもらうか、市販でも売っているのでご自宅でも使用できます。

第三者に嗅いでもらう

自分のにおいに慣れていると、上記の方法を試しても気づかないかもしれません。そのような方は、信頼している方に口臭をチェックしてもらうのも一つの手です。

ご家族やご友人にお願いして、率直な意見をきくのがよいでしょう。

インプラントが原因で口臭がする場合の対策

歯磨きをしている女性

インプラント治療後に口臭がする場合の対策を、2つご紹介します。

正しい歯磨きの徹底

インプラント治療後に口臭が気になる場合、歯磨きが足りず、磨き残しがあるのかもしれません。

インプラント部分も、基本的には自分の歯を磨くのと同じように磨きます。一本ずつ丁寧に細かく動かし、歯と歯茎の境目を意識して磨きましょう。一本あたりの目安は、10~20往復くらい動かすとよいとされています。

特に、インプラント部分は段差ができて、磨き残しができやすくなります。歯とインプラントの間、インプラントと歯茎の境目部分には、フロスや歯間ブラシをプラスして使うのがよいでしょう。狭いすき間にはフロスを、大きいすき間には歯間ブラシを使ってください。また、インプラント部分の細かい部分には、小さなブラシのタフトブラシを使うのも効果的です。

インプラント治療を受けたところは、虫歯や歯周病などが原因で歯を失ったところです。磨き残しがあって虫歯になった、セルフケアができなくて歯周病になったところなので、インプラント部分は重点的にケアしましょう。

定期健診に通う

インプラントの治療後、トラブルなく快適に過ごすには、定期的に歯科医院のメンテナンスを受けることが必須です。

どれだけ毎日の歯磨きを頑張っても、どうしても磨けていない部分や歯ブラシが届かない部分はあるものです。

定期的に歯科医院に通い、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを受けることで、口臭の予防になります。超音波でプラークや歯石を除去することで、口臭だけでなく、虫歯や歯周病、インプラント周囲炎の予防にも効果的でしょう。

定期健診では、歯科医師によるお口全体のチェックも欠かせません。インプラント部分の経過観察や噛み合わせの確認、インプラント部位のゆるみのチェックなどを行います。また、残っている歯の虫歯や歯周病のチェックによって、これ以上歯を失わないよう、お口の健康を守ることにもつながります。

お口の状態にもよりますが、3~6か月に一度、定期的に歯科医院に通うのが一般的です。

まとめ

ポイントを指さす女性

インプラント治療後に口臭が気になる方は、磨き残しが原因かもしれません。

インプラントは、自分の歯のような見た目でも、どうしても段差ができやすく、磨き残しができやすい形状です。そのため、インプラント部分はフロスや歯間ブラシなどの補助用具を使い、丁寧に歯磨きするとよいでしょう。

また、インプラント周囲炎が原因で口臭となっていることもあります。インプラント周囲炎は進行が早いため、知らずしらずのうちに深刻な状態となっているかもしれません。口臭は、お口の中になんらかのトラブルがあるサインです。インプラント治療後に口臭がきつくなった、歯茎の腫れや出血があるなどの場合は、一度歯科医院を受診しましょう。

インプラント治療後の口臭でお悩みの方や不明点がございましたら、神奈川県綾瀬市にある武内歯科医院にお気軽にご相談ください!